バリアートショールーム オーナーブログ
2013.5.13

バリ旅日記② エアコンがないバリの民家

椰子の木の向こうの田園を夕陽が沈んでいく

こんにちは、坂本澄子です。バリ2日目、今日は画家さんを訪問しました。先程宿に戻り、テラスで夕陽を眺めながらビンタンビールで喉を潤しています。

今日一日で、打合せが必要な画家さんをほとんど回りました。ウブド近郊に画家のアトリエが集まっているのと、ノーアポで行ってもだいたい会えるので助かります。近況をお聞きしたり、制作中の作品を見せてもらったり、そうそう、4月の展示会の様子もお伝えしました。その時の写真やバリアートショールームのホームページを見てもらう度に、iPadのプレゼン威力を感じました。7月の展示会のイメージはしっかり伝わったと思います。

そうこうしている間に、珍しく一雨きました。30分ほどで上がり、後はぐっと涼しくなったので、まさに恵みの雨です。おかげで汗がすっと引きました。ここウブドでは一般の民家にはエアコンはほとんどありません。しかも、「コーヒーはいかが」と言って出されるのは常にホットコーヒー。アイスコーヒーを飲む習慣はないのです。窓や扉を全開にし自然と一体になった住居で生活しているため、壁にかかった作品を動かそうものなら、ヤモリの影がさささっと視界の端を横切って行きます。体長20センチ以上もある大トカゲ(ヤモリのように壁の高い場所にはり付いています)に出会うこともしばしば。最初の頃はその度にキャーキャーと騒いでいたのですが、バリの人は「ヤモリは家を守ってくれるのだ」とケロリ、今では私もあまり気にならなくなりました。

ブログ20パダン料理3お昼はパダン料理を食べました。パダン料理とはインドネシアのスマトラ島の料理を総称して言います。魚を一匹まるごと素揚げにしたもの、鶏肉のフライ、野菜をスパイシーなスープで煮込んだものなど20種類はあるでしょうか。そこから好きなものを選んでご飯と一緒にお皿に盛ってもらいます。私は魚、鶏肉、ゆで卵、野菜の煮込みを注文。これだけ食べてもわずか200円、しかも結構満足できる内容でした。私が行ったのは庶民的なお店なので、写真のようなショーケースから料理を取ってもらいましたが、本来のスマトラ流は一品ずつ乗せられた小皿がテーブルの上にずらりと並べられ、食べた分だけお金を払うというシステムだとか。ついつい食べ過ぎちゃいそうですね。

明日は昨日お話したウブド王族の火葬式なので、中心部は人出でごった返しそうです。私は人ごみを避けて朝から郊外に出掛け、ウィラナタさん(シュピース・スタイル画家、ガルーさんの実弟)を訪ねます。

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2013.5.12

バリ旅日記① 所変われば品変わる

テラスに座ると、小川のせせらぎ、鳥や虫の鳴き声など、色々な音が聞こえてきます

テラスに座ると、小川のせせらぎ、鳥や虫の鳴き声など、色々な音が聞こえてきます

こんにちは、坂本澄子です。

昨夜遅く、無事ウブドに着きました。実は、乾季のバリは初めての私。満天の星空に迎えられ、今こうして宿のテラスで田園を渡る爽やかな風に吹かれていると、ますますバリが好きになってしまいます。画家さんとの打合せは明日からなので、今朝は少しゆっくりして、先程買い出しに行ってきたところです。額縁の試作品も見せてもらいましたが、あと少し手を入れるとぐっとよくなりそうです。それはまた改めてお知らせしますね。

さて、今日は珍しいものに出会いました。ウブド王族の葬儀です。火葬式は明後日とのことで、王宮前の広場では、ワデ(亡骸を墓地に運ぶための搭状の御輿)とランブー(亡骸を火葬するための牛を象った棺)が造営されているところでした。

これがランブー。 背中の部分が開き、遺体を入れて火葬する。

これがランブー。背中の部分が開き、遺体を入れて火葬する。

バデとランブー、そしてそれを運ぶ村人たちの姿は絵画のモチーフによく取り上げられますが、本物を見るのはこれが初めてで、思った以上に迫力ある姿にビックリ。これが墓地に運ばれていく様子はさぞかし壮観だろうと想いを巡らせたのでありました。ちなみに搭状のワデは層の数が3から11の奇数と決まっており、地位によって層の数、つまり高さが変わるそうです。塔の真ん中あたりに遺体が置かれるため、それを上げ下げするために、鉄パイプを組み上げた、バンジージャンプ台かと思うような階段が使われます。ワデもランブーも金箔をふんだんに使った装飾が施され、これが一瞬で燃やされ灰になってしまうのは残念なほどです。

一方、一般の人たちの葬儀はと言いますと、これがまた一風変わっていました。朝から宿の奥さんが何やら忙しいそう。聞けば親戚の葬儀の準備とか。私「今日ですか?」奥さん「いえ、来月です」私「???」聞き違いかと思いましたが、村人が亡くなると、一旦土葬した後、後日良いお日柄を選び、合同で火葬するのだそうです。今回もなんと31人の合同葬儀。費用もかかることなのですぐには火葬せず、後日合同でこれまた盛大に執り行うのがバリ流なのだとか。後日というのが何年も先になることも。所変われば品変わると言いますが、まさに!の体験でした。

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2013.5.8

バリ絵画を愉しむヒント③ 作品に見るバリの文化と風習

こんにちは、坂本澄子です。GWも終わり、昨日から仕事に戻られた方も多いことと思います。久しぶりに出社する日の前の晩はちょっと憂鬱でも、一日過ぎてしまえば不思議といつものペースに戻っているものです。今週もどうか頑張って下さいね。

GW中、私も嬉しいことがありました。3月にブログを先行して開始し、4月18日に全面公開した、この「バリアートショールーム」ヘの来訪者が1000人を超えました。いいね!やコメントをいただく度に励まされ、さらに内容を充実させていきたいと気持ちを新たにしています。それについては、また改めてお話させて下さい。

今日はシリーズ第三回、前回に引き続き、実際の作品を例にバリの文化と風習を見ていきたいと思います。今回はヤング・アーティスト・スタイルの第一人者、ソキさんの「実りの季節」を取り上げます。まず作品をじっくり見て下さい。これからお話することはどこ描かれているでしょうか。写真をヒントに見つけてみて下さいね。

ソキ「実りの季節」 アクリル/キャンバス

ソキ「実りの季節」
アクリル/キャンバス

日本語タイトルを「実りの季節」とつけましたが、実はこの作品には、①収穫期を迎えた田んぼだけでなく、田植えの水田、まだ実の若い青田も描かれています。バリ島では稲の三期作が行われているため、一つの絵の中に異なる成長段階の田んぼが混在することは珍しくありません。それだけ肥沃な土地なのです。そのため、バリの人たちは神や大いなる自然に対して祈りを欠かしません。

バリのヒンドゥ教には様々な神が存在します。宇宙の創造を司る神ブラフマー、宇宙の維持を司る神ウィシュヌ、宇宙の終わりに世界の破壊を司る神シヴァの三大神、そして女神たちもいます。これらはただ一人の神(唯一神)が別の現れ方をしたものとされています。農業に関係するのはデウィ・スリ。田んぼや稲の女神で、右手に聖水の入った壷を持った姿で描かれます。②バリで田園地帯を歩いていると、田んぼのところどころに灯籠のような形をした祠が見られますが(写真左)、これはデウィを祀ったもの。毎日の祈りと供物はもちろんのこと、収穫の季節には厚い感謝が捧げられます。③女性は供物などを頭の上に乗せて運びます。男性が肩に乗せて運ぶのと対象的ですが、バリの女性は働き者で、最近では建築現場で資材を頭の上で運ぶ強者女性の姿も見られます。

④農作業はバンジャールと呼ばれる自治組織での共同作業で行われ、稲穂の部分だけを刈り取っているのがわかります。また、以前に比べると減りましたが、⑤農作業には牛も使われます。それから、⑥田んぼでよく見かけるのが家鴨(写真中央)。家鴨飼いの少年に誘導され、田んぼを順番に回っていきます。虫を駆除するためですが、田んぼの持ち主から謝礼をもらうのではなく、家鴨飼いは家鴨の肉や卵を売って生計を立てているそうです。⑦時折、鷺の姿も見られます。青々と育った稲を白い鷺の群れが一斉に飛び立つ様は清々しく、そして壮観です。

⑧作中にはペンジョールと呼ばれる竹飾りが見られます(写真右)。これはヒンドゥ教のお祭り「ガルンガン(ウク暦の正月)」に祖先の霊を迎えるためのもので、各家の前に飾られます。弓状に先をしならせた長い竹の先に椰子の葉飾りがついていますが、先祖の霊が迷わず戻ってこれるようにするもの。日本の七夕飾りも元はお盆行事の一部として祖先の霊を迎えるために立てられたと言われ、意外に共通点のある日本とバリ、ちょっと興味深いですね。

以上、バリの風物のご紹介でした。皆さんはいくつ見つけられましたか?

風物詩写真

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2013.5.4

バリ絵画を愉しむヒント② 作品に描かれるモチーフ

こんにちは、坂本澄子です。ゴールデンウィーク後半、いかがお過ごしですか?私は毎日美術館巡りをしており、昨日は上野の国立西洋美術館のラファエロ展へ行ってきました。ルネッサンスの三大巨匠と言われるラファエロ、わずか37年間の生涯のうちに様々な作品を残しています。教会の壁画や天井画など大型の注文を受けた時は、多くの弟子を抱える工房でそれぞれの力量に応じた仕事を割り振ったそうです。それによって弟子が育ち、彼の偉業が後世に伝えられることになったのですね。また、こうした教会内部を目にする機会がない当時の一般の人々のために、その素描画を元に銅版画を作らせ、広く売りさばいたとも言われています。ビジネスの才覚もあった人なのだとちょっと驚きました。

さて、バリ絵画を愉しむヒント、前回はバリの人々の思想、そこから来る文化や風習についてお話しましたが、今日はそれらが実際の作品の中でどのように描かれているかをご紹介します。作品は「バリ島物語」アリミニ作、バトゥアン・スタイル)を取り上げます。このサイト内でも原画を展示販売していますので、あわせて見て下さいね。

この作品はウィシュヌと村人たちの生活を描いたものです。ウィシュヌはヒンドゥ教の三大神の一人、インド神話「ラーマーヤナ」「マハーバーラタ」では化身として勇士となって活躍しており、バリの人たちに大変人気のある神様です。この作品「バリ島物語」の中でも慕われる神として中央部分に描かれ、そこから湧き出る泉が村人たちの生活を潤すという構図になっています。周辺部に描かれた村人たちの生活シーンは前回のブログでもご紹介したバリの風習が描かれています。以下にそれぞれを詳しくご説明しますね。ブログ15_作品解説

 次回も引き続き、作品の中にバリの風習・文化が描かれている例を見て行きたいと思います。作品はヤング・アーティストの草分けソキさんの「実りの季節」です。お楽しみに。

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2013.5.1

バリ絵画を愉しむヒント① バリ人の精神生活

こんにちは、坂本澄子です。バリ絵画には様々なスタイルがあり、風景画や花鳥画のように日本人にも馴染みやすいものから、バリ人の信仰や風物、さらにその背景にあるヒンドゥ教の教えや神話の登場人物を知っていないと理解が難しいものまで多岐に渡ります。そこで、知っているとバリ絵画が面白くなる豆知識をシリーズでご紹介します。1回目はバリ人の精神生活。と言うとちょっと大げさですが、多くのバリ人、特にウブド周辺の村人に共通する価値観をご紹介します。

【神々の棲む島】

”精霊の通り道”を抜けると風情ただよう下町の風景に

バリは年に3回もお米が穫れるほど豊穣な大地、恵まれた自然環境にあります。そのため自然に対する畏敬の念が強く、毎朝夕、祈りと供物を欠かしません。彼らの信仰はヒンドゥ教と古来の土着信仰の融合体であり、精霊を敬う独特な考え方があります。よい精霊だけでなく悪霊もあり、供物(チャナン)を地面に捧げたり、闘鶏を行うのは悪霊を鎮める意味があるそう。精霊は渓谷や道の交わる場所に棲むとされていますが、自由に移動できるよう街の至る所に”精霊の通り道”と呼ばれる幅2〜3mくらいの細い道が作られています。そんな場所を通り過ぎる時には失礼しますとそっと呟くのだそう。

 【共同作業が基本の村の生活】

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穂の部分だけを刈り取る。稲刈りが終わった田んぼ。

昨年世界遺産に認定されたジャティルイの田園地帯。棚田の美しさもさることながら、1000年以上も続く伝統的な水利システム”スバック”(流水の分配という意味)が高く評価されたとのこと。このようにバリの人たちには何かを共有し共同で事に当たるという考え方があります。周囲との調和を重んじるところは、同じ島国の日本と似ているかも知れません。例えば、農作業はバンジャールと呼ばれる自治の最小単位での共同作業で行われます。トラクターの導入など一部機械化もされていますが、大半はまだ手作業。稲刈りもバンジャールの構成員総出で行い、穂先の部分だけを手で刈り取ります。

【バリ暦による祭礼中心の生活】

各家の門口に立てられた竹飾りペンジョール

各家の門口に立てられた竹飾りペンジョール

島民の95%がヒンドゥ教徒。210日で一回りするバリ暦に基づいて執り行われる祭礼を中心に、村人たちの生活が回っていると言っても過言ではありません。祭礼には様々なものがあり、夕暮れと共に伝統楽団ガムランの音色が低く聞こえてきます。特にクンニガン後の一ヶ月はオダランと呼ばれる寺院祭礼が集中しています。手をかけて準備した色とりどりの供物で寺院を埋め尽くし、僧侶が招かれ神々を召喚します。クンニガンは善が悪と戦って勝利したことを祝う行事、祖先の霊が各家に降り立つ日とされています。祖先の霊を迎えるために、各家の門口にペンジョールと呼ばれる竹飾りが立てられた村道の様子は壮観です。ちょっと日本のお盆に似ていますね。

次回は今日お話した祭礼や風物が絵画の中にどのように表現されているかをご紹介します。

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