バリアートショールーム オーナーブログ
2013.9.28

私の感じたバリを伝えたくて

バリ絵画展会場写真こんにちは、坂本澄子です。秋のバリ絵画展がスタートし、毎日を渋谷のアート発信地で過ごしています。会場のWall GalleryはBunkamuraの1Fにあり、奥のお手洗いに行く動線上に位置するため、毎日多くの方が前を通られます。基本的にアート好きな方が多いと思いますが、それでも歩きながらチラチラ見て下さる方は半数程度。じっくり足を止めて観て下さる方となると更に数はぐっと減ります。日本でバリ絵画に対する認知度はまだまだ低いという現実を改めて感じました。それでも、私の説明に一生懸命耳を傾けて下さる方も多く、「バリ絵画は初めて見たけど、なかなかおもしろいね」なんて言っていただけると、もう「やったー」という感じです。

そんな風にこの数日を過ごしながら思うことは、「なぜ私はこんなにバリが好きなんだろう」ということ。原点に返ったわけです。それは、初めてウブドに滞在した時、その豊かな自然や人々の素朴な人柄に触れて、「あれ、もしかして私、当たり前のことがちゃんとできなくなってたかも」と思ったことに始まりました。朝、明るく挨拶をするとか、人に優しくするとか、逆に何かしてもらった時には心から「ありがとう」と感謝するとか、そういった小さなことです。それから、時には空を見上げて雲の形が面白いとちょっと感動したりとか。

ブログ67_目の前の風景ウブドのゆっくり流れる時間の中で、目の前に続く田園風景とその上を流れていく雲をぼんやりと眺めていました(写真)。泊まっていた宿(日本の民宿みたいなところ)の家族はしょっちゅう村のお寺に集まって何かやっていましたが、ヒンドゥ教という宗教ではなく、自分たちに恵みをくれる(そこではまだ農業が産業の中心)大地や太陽、水といったものに感謝し、そこに宿る神々にごく自然な行為として祈っている感じでした。そして、自分もこの大自然の一部なのだと気づいた時、ふうっと肩から力が抜けていくのを感じました。日本に戻ってからも、この感じを思い出させてくれたのが絵だったのです。それから時を経て、私は今バリ絵画を扱う仕事をしています。不思議な縁です。

絵画展では、バリ絵画を紹介することを通じて、「この気持ち」も伝えたいと思っています。試行錯誤で、毎日色々工夫していますよ。説明の仕方を変えたり、バリで私が毎日見ていた風景の写真を作品の下にそぉっと貼ったりと…(笑)ウブドに行ったことのある人だと、「ですよねー」と理解してもらえることも多いのですが、そうではない人に一言で伝えるにはどうしたらいいんだろうと。これがなかなか難しい。

バリ絵画展@渋谷Bunkamuraもいよいよ後半戦。ぜひ、この機会にお越し下さい。そして、私がバリの文化や歴史をお話している時も、その奥にある本当に伝えたいことはこういうことなのだとわかっていただければ幸いです。開催要領はこちらです。

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2013.9.25

秋のバリ絵画展スタート

こんにちは、坂本澄子です。昨日から秋のバリ絵画展が始まりました。第1期の『海を描かない作家たち』@渋谷Bunkamura Galleryは、バリ絵画の代表的なスタイルを一流作家の作品を通じてご紹介するもの。バリアートショールームで応援している9人の作家たちの作品11点を展示中です。

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実は、セットアップ中にハプニングが。Bunkamura Wall Galleryは横幅が6mあります。額縁のサイズを含めてきちんと採寸し、絵と絵の間のスペースも考慮した上でレイアウトを決めたはずだったのですが、いざ現地で置いてみると入りきらないという事態が発生。「あれれ?」それでも無理矢理作業を続行していると、Bunkamuraのスタッフの方が「あんまりキチキチに飾らない方がいいですよ、一列抜きましょう」悩みに悩んでサイズの小さいGALUHさんの作品を外すことにしました。

しかし…、GALUHさんと言えば、バリアートショールームでもアクセスが最も多い人気アーティスト。しかも、バリ絵画を代表する一流作家と展示内容を謳っている以上、GALUHさんの作品がないなんて…。すると、スタッフの方が、イーゼルを持って来て下さり、ニッコリと「こちらにどうぞ」。これで何とか面目がたちました。

ブログ66_Bunkamura3で、無事に迎えた初日、地下のミュージアムではレオナール・フジタ展、同じ1Fの向かいのGalleryでも美しい万華鏡や切り絵の展示をしており、アート好きな人が集まる場力のようなものを感じます。

嬉しかったことは、このサイトを見て足を運んで下さった方が回を追うごとに増えているということ。これは本当にありがたいです。サイトで事前調査して、実物を見ていただくが、「バリアートショールーム」のコンセプト。絵も人と同じで一期一会だと思うので、こういった出会いの場をワクワク感と共に、これからも継続したいと思いました。中には、私のプロフィールまで見て来て下さる方もあり、これには嬉しいやら、照れくさいやら。

通りがかりで見て下さる方の多くは「あら、安いのね」と驚かれます。はい、バリ絵画は決して安物の絵ではありません。でも、日本に比べて物価水準が低いので、その分、価格メリットがあるのは事実。それを享受していただける価格設定にしているのです。

ということで、今日もあなたのお待ちしています。渋谷Bunkamura Wall Galleryへのアクセスはこちらです。バリ絵画の歴史とスタイルがわかる小冊子を差し上げてます!

 

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2013.9.21

バリアートのある暮らし⑥自分の価値観や思いを代弁

中秋の名月こんにちは、坂本澄子です。一昨日の中秋の名月、きれいでしたね。私の住んでいる街では、雲ひとつない澄み渡った空に満月がぽっかりと浮かんでいました。皆さんのところはいかがでしたか?

バリアートのある暮らし、今日で6回目となりました。40代女性・会社員K様からのメッセージです。管理職として大きな組織の中でバリバリ仕事をされる毎日、Baliという非日常によって、ふっと力が抜けるような開放感を味わっておられるそう。

でも、この作品を買おうと決めた本当の理由をお聞きして、この場でご紹介すべきかどうか、正直悩みました。というのは、K様は元同僚で、今でも個人的に親しくさせてもらっている間柄。これまで一緒に仕事をしてきた中で、私自身の生き方や考え方にある意味共感してくれたからこそ、タイトルにある『自分の価値観や思いを代弁』という言葉が出て来たとも言えるからです。

それでもここでご紹介しようと思ったのは、バリ絵画やそこにある世界観をご紹介することを通じて、このブログを継続的に読んで下さっている皆様とも思いを共有していきたいと思っているからです。私がBaliにのめり込んだ理由は手記『ここに、あなたが知らないバリがある』にも書いていますので、よろしかったら読んで下さいね。そんな訳ですので、今回はパーソナルな視点も入っていますが、お許しいただければと思います。

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絵は「この人から、もしくはこのギャラリーから買いたい」というポジティブな気持ちを持った瞬間に買うものだと思うのです。自分の価値観や思いを代弁してくれるという意味で。

バリアートには以前から興味はあったのですが、これまでキッカケがありませんでした。ネットで事前調査ができ、そして、実物を見ることができ、坂本さんという自分にとってあこがれる存在から購入できるという事が引き金でした。

部屋に飾ってからは、バリから伝わってくる非日常感を味わっています。そうすると、ストレスから開放される感じがします。この絵の場合は坂本さんつきなので、エネルギーと明るさ、そしてやさしさと安心も持ってきてくれます。何かしたい、と思ったときは坂本さんのバイタリティー付で「さっさとやろうよ!」と言ってくれ、夜疲れて帰宅した際は「お疲れ様」と言ってくれます。

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世田谷区K様のリビングの写真ドラゴンフルーツの花を描いたこの作品、K様がもう何十年も大切にされているサボテンの花に似ていることも親しみを感じた理由だそうです。彫刻をほどこした重厚感ある額縁がモダンなソファに合うかどうか、かなり心配されていましたが、ファブリックなどを工夫され、写真のようにバリの癒し感が漂う素敵なお部屋になりました。

11月にサイト上でインテリア特集をやる予定ですが、それを思いついたのも、もとはK様のことがあったから。アートにバリ風の小物を組み合わせるだけで、随分お部屋の雰囲気が変わるものだと関心したからなのです。

秋のバリ絵画展第1期『海を描かない作家たち』@渋谷Bunkamura、いよいよ24日(火)からです。バリアートショールームが応援する9人の一流作家による作品11点をWall Galleryに展示します。10:00-22:00までご自由に見ていただけますので、気分転換にぜひお立ち寄り下さいね。開催要領はこちらです。

<関連サイト>

手記『ここに、あなたが知らないバリがある』

秋のバリ絵画展開催要領

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2013.9.18

「見たいと思った時にすぐ!」を目指して

こんにちは、坂本澄子です。台風一過、爽やかな秋の空が戻ってきましたが、連休中に日本列島を駆け抜けた大型台風は各所で大きな被害をもたらしました。被害にあわれた方、心からお見舞い申し上げますと共に、一日も早い復旧をお祈り致します。

「バリアートショールーム」はネットで事前調査して、現物を見て購入できることをコンセプトに、定期的に絵画展を開催しています。そうは言っても、開催は今のところ東京だけで、期間も3ヶ月に一回、場合によってはそれ以上開いてしまうこともあります。理想は、サイトを見て「あ!これいいな」と思ったら、その週のうちに実物を見れるスピード感ですよね?これを実現するために、今既にやっていること、そして、今からやろうとしていることについて、今日はお話したいと思います。

まず、既にやっていることですが、交換・返品に関する規定の通り、1週間以内の交換・返品をお受けします。実際に絵を飾ってみたら、「写真の色合いと異なる」「サイズが大き過ぎた」「お部屋の雰囲気に合わない」など、商品の不具合以外の理由で、ご満足いただけない場合があるかも知れません。そんな時は遠慮なくご連絡下さい。注文制作、及びお客様の取り扱いが原因による破損・汚損以外、誠意をもって対応させていただきます。ですので、「これは!」と思ったら、安心して、カートに入れて下さい。*お客様理由による交換・返品の場合、往復の送料のみご負担をお願いしています。バリ直送品の場合も戻し先は東京ですので、ご安心下さい。

お店に絵を飾るそして、今後やろうとしていることですが、インドネシアやアジアをテーマにしたお店とのコラボを考えています。定期的な絵画展の間をうめる形で、バリアートショールームの作品を気軽に見ていただける場所を各地に作っていきたいと思っています。Facebook pageにいいね!して下さっている方はお気づきかも知れませんが、最近、インドネシアレストランで食事した際のお料理の写真を掲載しています。実はこれ、パートナー探しに回っているのです。作品は私にとってはまさに「子供たち」なので、作品を大切に扱って下さる心あるオーナーさん、店長さんであること、レストランの場合は当然のことながら、食事が美味しく、絵のある空間が楽しめる場所であることが絶対条件。そういった意味で、ここは素敵だなと思ったお店に、ラブコールを兼ねて、Facebookに写真を掲載させてもらってます。

もちろん逆提案も大歓迎。ブログを読んで下さっている皆様の中に、お店をやっておられて「こんな組み方ができるよ」という方がおられましたらバリアートショールーム坂本(contact@balikaiga.com)までご連絡下さい。新しい出会いをお待ちしています!

秋のバリ絵画展、開催が近づいてきました。皆様にお会いできるのを楽しみにしています。開催要領はこちらです。

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2013.9.14

秋のバリ絵画展まで後10日

こんにちは、坂本澄子です。え?また登場?!という声が聞こえてきそうですが、すみません、バリの作家の作品がいつもどんな風にして日本に届いているのか、ファンの皆さまにも是非知っていただきたいと思い、再びパソコンに向かいました。

東京税関今週、バリから荷物が届き、成田に通関手続きに行ってきました。普通の人はあんまり行かないと思いますが、第二旅客ターミナルから徒歩10分、ゲートの向こうのセキュリティエリアに貨物区があります。航空便で届いた荷物はそこに一旦保管され、添付された梱包明細書類を受け取って、税関で税金を収めた後、やっと出庫ができる状態になります。 税金の計算はパソコンを使ってやるのですが、どこまで審査するかは税関の係員によってまちまち。今回は現物検査は免れましたが、中国に画家のタマゴ(美大の学生)が集まっている地域があり、百何十年前の作品を模写したものを日本に持ち込んでは高く売っていた悪徳業者がいたそうで、「バリの絵は大丈夫ですか?」といきなりの職務質問。もちろん大丈夫!お勤めご苦労さまです。

翌日、有明ショールームは大忙し。厳重に梱包された荷物をほどき、作品を一点ずつ確認していきます。今回新たに仕入れたのは、秋の絵画展用にお願いしていた11点。いつもは仕入れの際、バリに出向くことにしているのですが、今回は絵画展のテーマ『秋の夜長を愉しむ〜すてきなひとりぼっち〜』にあわせて新たに描き起こしてもらった作品ばかりだったため、こちらからテーマとサイズをお伝えした後は、画家さんのインスピレーションにお任せしました。途中のフォローは現地パートナーがしっかりやってくれましたが、こちらの意図がきちんと伝わったか、出来上がった作品を見るまで、正直かなり不安でした。ありがたいことに、それは杞憂でしたけどね。

アンタラ三部作写実人物画のアンタラさんには、5月にアトリエを訪ねた際に、女性が年を追うごとに外面、内面共に成長する姿を連作で表現してほしいとお願いしていました。7歳、15歳、17歳、21歳の4点が出来上がり、そのうち17歳、21歳を購入したのが、「祈りの朝」と「凛」です。出来映えはすばらしいです。以前からあった「夢見る頃(13歳)」と3作並べると、ほらこの通り。本物の金箔を使って描かれたブレスレットとイアリングがとてもゴージャスです。

ブログ62_ライ作品それから、クリキ村の細密画家ライさんの作品、これもまたスゴイの一言。1枚仕上げるのにおそらく1ヶ月はかかったでしょう。25cmx35cmの小さな作品ですが、ケチャダンスを踊る少年たちの真剣そのものの表情が、ひとりひとり違った風に描かれています。緻密な筆遣いに画家の息吹が込められているのを感じました。

お部屋に飾る際のアドバイスをいただくため、今回はプロのカメラマンとスタイリストさんに写真撮影をお願いしました。絵とちょっとした小物を使うだけで、いつもは殺風景な有明ショールームが大変身。ちょうど夏の暑さが戻った日で、みんな汗だくにな

撮影風景

手前がスタイリストの菅原さん、その向こうがカメラマンの大野さん。働く女性ってかっこいい!

りながら、絵を掛けたり、周囲を整えたり、光の加減を調節したりと大忙しでした。全員が女性だったのですが、いや、すごいです。妥協せずとことんいい写真を撮っていただきました。私もおふたりのアシスタントとして働きました。絵を掛けていると、横からすっと手が伸びてきて支えて下さったりと、久し振りにチームで仕事をする楽しさを味わうことができ、嬉しくなっちゃいました。

リビング、寝室、ダイニング、書斎、玄関など、絵を掛けたい代表的な場所について、プロのスタイリストさんからとっておきの演出方法を教わりました。これらは写真解説付きで11月に「バリ絵画のあるお部屋」特集としてサイト掲載する予定ですが、10月6日(日)の絵画展にお越しいただいたお客様には特別に見せちゃいますよ。

これからの秋の夜長、家族や友人と過ごすのはもちろんですが、時には「すてきなひとりぼっち」はいかがですか。そんな時間を愉しんでいただける作品を集めました。 是非覗いてみてくださいね。開催案内はこちらです。ご希望の方には案内状をお送りします。リンク先特集ページのフォームから申し込んで下さい。

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2013.9.14

バリアートのある暮らし⑤ある家族の肖像

こんにちは、坂本澄子です。今週はバリから新作が届き、成田に通関手続きに行ったり、届いた作品を写真撮影したりと、10日後に迫った秋の絵画展の準備に忙しくなってきました:)

今日はある家族をご紹介します。お父さんにお母さん、5歳と1歳の男の子の4人家族です。7月の絵画展にお父さんが来られ、悩んで悩んで、そして、エベンさんの野鳥画に決められました。その時、奥様とメールでやりとりされている姿がとっても微笑ましく、私も暖かい気持ちになりました。そこにはこんな素敵な物語がありました。

「この絵は家族をイメージして買ったんだよ」ー 30代男性・会社員M様

そもそもどうして絵を?

中央の赤い鮮やかな鳥が奥様、右の小さな2羽が子供たち(M様談)

M様によると、中央の赤い鮮やかな鳥が奥様、右の小さな2羽が子供たち、そして左端の黄色い鳥がご自身だとか。

 年齢を経てくると志向が変わってきまして、学生時代や社会人でも若いころは、洋服とか友人との遊びとか、そういったものにお金を使っていたのですが、結婚して家族中心の志向になると、買うものが変わってきているんですね。昔は一生マンションなんて買うつもりなかったのですが、子供が生まれるタイミングで買ったりですとか。

そんな中、自分が一番、家族といて心地が良い家という場所を、更に快適になるよう、絵を飾ってみたいなあと思ったんです正直、一生、自分が絵を買うようなことがあるとは、思ってもみなかったのですが、不思議です。

プルメリアと野鳥、どちらにするかでかなり悩まれていましたね。

 改めて今回の絵にして良かったと思うのですが、4人家族で4羽の鳥で、子供が小さい頃の一つの記念になったと思います。そして、「この絵は家族をイメージして買ったんだよ」と子供たちに、今だけでなく、将来にわたって話ができる、そうしたいと思うのは、この作品が私に与えてくれる一番大きいことじゃないかと思います。子供が大きくなると、「それは何度も聞いた。もういいよ」とか言われると思いますが(笑)

実際に書斎に飾ってみて、いかがですか?

 この絵を見ていると、幸せな気持ちになります。家族が絵の周りに集まったり特に、下の子は小さいので動物が大好きで、よく絵を指差しながら「オーッ!」とか言ってます。

それから、ここで仕事をすることが多いのですが、少し疲れたときに、絵をみていると、気持ちが落ちつきます。休憩の時に、よくボーっとみています。

 

もともと仲のよいご家族ですが、その絆をさらに強めるために、この絵が一役買っているとお聞きして、私も本当に嬉しいです。

<参考サイト>

秋の絵画展特集

お客様から送っていただいたお部屋の写真(8/10ブログより)

エベン作品 ちなみに、M様が悩まれたもうひとつの絵「プルメリア」もエベンさんの作品です。

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2013.9.11

すてきなひとりぼっち

こんにちは、坂本澄子です。「バリアートのある暮らし」は一回お休みして、今日は別の話題におつきあい下さい。

先日、ジュンク堂書店をぶらぶらしていた時のこと。文芸コーナーの書棚から谷川俊太郎氏の詩集が目に飛び込んできました。それが今日のタイトル『すてきなひとりぼっち』です。その時の私の気持ちにピタリとハマって、抜けなくなってしまいました。

バリの月夜実は、秋の絵画展のテーマ『秋の夜長を愉しむ』もまさにそんな気持ちでつけたのです。秋は空が澄んで、中秋の名月と言われるくらい月がきれいですよね。バリでも満月の夜は寺院祭礼を行うほど、特別な夜なんです。確かに蒼白い光に包まれた世界は何とも言えない不思議な魅力がありますよね。

上の写真は初めてバリに行った時に、思わずシャッターを押していたもの。空がかなり明るく写っていますが、これ完全に夜です。しかも街灯がほとんどない村です。

アリー・スミット作品蒼白い月夜の晩を描いたのがオランダ人画家、アリー・スミット(写真左)。以前もブログで紹介させていただきましたが、この色使い、なんとも言えませんよね。祭礼が終わり女性たちが帰っていくところですが、不思議な静けさがあたりを支配しています。彼の作品の中で一番好きな絵です。

この雰囲気を私も絵にしてみました(写真下)。秋の絵画展の図録の表紙に使おうと思っていますので、会場で見かけられたら、「あ、これね」と笑って見て下さい。

満月の夜こんな夜に、お気に入りの音楽を低くかけて、好きな絵を見るのはこの上なく贅沢な時間。こんな時は想像力をかきたててくれる細密画をおすすめします。どうして田植えをしている横で稲刈りをしているんだろう…とか、田んぼにいる家鴨は夜はどうしてるんだろう..とか、次々と疑問が湧いてきます。こんな素朴な疑問をつなげていくと、その背後にバリに暮らす人々のある世界観が見えてくるのです。10月6日のバリ絵画展、17時からのギャラリートークでは、こんなお話をしたいと思っています。そして作品をもう一度見ていただくと、「?」→「!」になっているはずです*^^*

<関連サイト>

2013/4/3ブログ バリ絵画に色彩を与えたオランダ人画家アリー・スミット

すてきなひとりぼっちを愉しむ作品を集めました

ライ作品 … 細密画発祥の地でクリキ村で伝統絵画を守り続ける

アリミニ作品 … 女性ならではの柔らかな色使いと流れるような構図

ソキ作品 … ポップな色使いでバリの伝統を描くヤング・アーティスト・スタイルの第一人者

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2013.9.7

バリアートのある暮らし④一瞬であの時間に戻れる

こんにちは、坂本澄子です。今日も広島からお送りしています。一昨日からやっと太陽が顔を見せてくれました。秋晴れの爽やかなお天気です。

絵を見ることで、瞬間的にその時の気持ちに戻ることってありませんか? それが、ある人にとっては、バリで見た風景やその頃の自分だったり、またある人にとっては、子供の頃の思い出だったり。そのたびに、絵には時間や空間を超えて自由に行き来できる入り口のような力があるんだなって感じます。今日は、最近人生の転機を迎えられた埼玉県のO様(50代女性・会社員)からのメッセージをご紹介します。

自分の絵がほしい

絵は今まで父が買ったものしか持っておらず、今回マンションのリフォームにあわせて、部屋の雰囲気と自分の好みにあったものが欲しいと思っていました。バリの絵は、前回の展示会の時からきれいな色あいと動物や森といった自然のモチーフリーズナブルな価格に惹かれていましたが、初回は予定が合わず、7月の絵画展はぜひにと思い伺いました。

蓮 … これまでの自分を思い出す存在

RAJIG『蓮』蓮の花には特別な思いあります。(バリのLotus Cafeも行きました!)大好きだった仕事やその頃の仲間を思い出して懐かしいような、そして昔の彼氏を思い出すような(?!)、なんとなくほっこりした気持ちになれるんです。やはり生活の中に絵があるというのは、気持ちのゆとりを感じます。

私にとって部屋の中の絵は、美術館の絵画とは違い、そこにあるのが当たり前、というくらいその場所に溶け込んでいて普段は気付かないくらい自然なもの。なので、普段はあらたまってじっくり鑑賞する、ということはありませんが、植木に水をやるときや、掃除機をかけているとき、洗濯物を干すとき、そういう生活の場面の中でふと目にして、好きな絵があることの小さな幸せを感じる、、、そんな存在になっています。

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私もバリで買った絵を部屋に飾っていますが、近所にあった大きな原っぱ(今はマンションが建っています)で遊んだ子供の頃を思い出すんです。もう想像がどんどん膨らんでいって、土を踏む感触や草のちょっと青臭い匂いなどが五感を総動員して甦ってきて、いつの間にか絵の向こうにある風景を歩いているような感覚になることも。そんな時、O様みたいに、ほっこりした気持ちになり、ちょっと凹んでいるときも「また頑張ろう」って思えるんですよ。

<関連サイト>

RAJIG作品 ・・・O様が購入された作品のアーティスト

「ある夏の日の思い出」・・・蓮を描いたこんな作品もあります

秋のバリ絵画展特集

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2013.9.4

バリアートのある暮らし③見るたびに新しい発見

こんにちは、坂本澄子です。今週は生まれ故郷の広島に帰ってきています。残念ながらずっとお天気が悪く、今日は朝からずっと雨で肌寒いくらい。週末には高校時代に所属したブラスバンド部の友人たちに◯◯年ぶりに会います。昔の友人に会っていつも思うことは、不思議とすっと時間が戻るんですよね。人は環境によって変わる部分もあるけれど、本質的にはやはり変わっていないような気がします。どう思われますか:)

「バリアートのある暮らし」、今日はバリの細密画をご自宅に購入された東京都町田市Y様からのメッセージです。Y様はそれがきっかけでバリに興味を持ち、その後初めてバリ島を訪れたそうです。

絵を持つ生活ってどんな感じなんだろう

絵を持つ生活というのがどんなものかそろそろ味わってもいいかなと思いました。美術館にはよく行くけど、家で見るのはせいぜいポスター。バリ絵画は手の届く価格でいい作品が多いので、プロの画家さんの肉筆に日々触れ合う生活を試してみたくなりました。

ほんのりピンクと青みがかったグレー

ライさんの絵「牛飼いのレース」を見たのは4月の絵画展の時でした。美少女や、存在感ある豹や蛙、熱帯花鳥の中で、細密画はちょっと地味なので、最初はあまり注目していなかったのです。

「牛飼いのレース」

確かに旗に数字が書かれ、牛は二頭ずつ繋がれている

ところが、あらためて近づいて見て、最初に気がついたのは旗に数字が書いてあることです。「081」とか「916」とか。ということは、これは昔話の絵ではなくて、わりと最近の風俗なんだと気が付きました。そう思って見てみると、二頭ずつ組んだ牛が牽いている車に御者が乗り、綱を引きながら鞭を揮う、それが何組も何組もひしめき合う、というとてもダイナミックな構図だと気づきました。「犇めく、とはまさにこのことだ!」と愉快になりました。

登場している人物が皆んな楽しそうに見えてきて、まだ行ったことがない(その時点で)バリ島の、威勢良い楽しげな生活が想像出来ました。そして、遠くからぼんやり見ていた時には、あまりぱっとしない中間色の絵のように感じていたのですが、興奮した牛や観客たちのほんのりピンクがかった肌の色と、遠景の淡く青みがかったグレー、という色彩の対象がとても鮮やかに感じられることに気が付きました。

大きな題材を描いた印象的な絵は、玄関とかリビングとかお客様を招く場所に向いているでしょうけど、寝室にはこういうよくよく見ると味がある絵の方が、毎日毎日見ても飽きないです。

 違う刺激が気持ちいい

バリ島に行く前は、どんなところだろうかと色々と想像するきっかけを与えてくれました。そして、バリに行った後は、現地の風景や現地でみた絵画を懐かしく思い出しています。あと、普段目にするもののほとんどが、文字(文書)か動画(テレビとか)なので、目に対して違う刺激を与えてくれて、気持ちよいです。

Y様、分析的な感想をありがとうございました。バリの伝統モチーフをびっしりと描き込んだ細密画は見れば見るほど味があります。Y様のように小さな作品の向こうにある”まだ見ぬ土地”に思いを馳せるのも、絵画の楽しみ方のひとつですよね。それがきっかけでバリに旅したり、また逆に、その時の光景を思い出したり。

秋のバリ絵画展「秋の夜長を愉しむ」では、そんなバリの伝統絵画の小品を集めます。10月6日(日)限りの開催ですので、今からスケジュール入れておいて下さいね。併設コーナーでは、「バリアートショールーム」掲載作品のほとんどをご覧になれますよ。(バリ直送作品を除きます)

<関連サイト>

ライさんの細密画・・・クリキ村で培われた精緻な細密画の世界

アリミニさんの細密画・・・バリ絵画を代表する女流画家です。漫画家さくらももこさんも絶賛。

秋のバリ絵画展の開催要領

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