バリアートショールーム オーナーブログ
2015.6.11

今月の絵『ハヌマンの誕生』

こんにちは、坂本澄子です。

前回のブログでもお伝えしました通り、今月から第4土曜日に「バリアートサロン」を開催させていただきます。サロンとはフランス語で宮廷や貴族の邸宅を舞台にした社交界のこと。主人が、文化人、学者、作家らを招いて、知的な会話を楽しんだそうです。そんな素敵な雰囲気にあやかりたいと、「バリアートサロン」と名前をつけさせていただきました。

今月のテーマは「バリ絵画に見る神話の世界」。

バリ島はもともと多神教。自然の中に神々が宿ると言われ、先祖などの精霊を尊ぶ風習が今も多く残っています。絵画においても、古くから神話の場面がモチーフとして取り上げられ、信仰に根ざした民衆の生活を描いた作品が多く描かれてきました。

そこで「今月の絵」としてご紹介するのが、こちらARIMINIの『ハヌマンの誕生』です。

ブログ212_ハヌマンの誕生

『バリ島物語II ハヌマンの誕生』ARIMINI

この絵の素晴らしいところは何と言っても流れるような構図。花の配置によって、斜めの動線を創り出しているのがおわかりでしょうか。それがこの作品を生命感を与え、見ている人まで元気にしてしまうのです。色使いもとてもきれいですね。中央に描かれているのはゴア・ガジャの洞窟寺院遺跡です。

この作品の主役である猿王ハヌマンは、インド叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する英雄。物語の中では、ウィシュヌ神の化身であるラーマ王子に従い、魔王ラワナに誘拐されたシータ妃を取り戻そうと、手下の猿軍団を率いて大奮闘します。

そんなハヌマンでもかつては失敗をしたことも。赤いものは果実だと教えられ、太陽を取ってこようと天へ昇ったのです。途中顎を砕かれ転落、一度は命を落としたものの、風神ヴァーユ(ハヌマンの父親とする説もあります)の助けによって甦り、不死と決して打ち破られない強さと叡智を与えられたと言われています。

アリミニ(ARIMINI)の制作テーマは神話の世界とバリの民衆の暮しの融合。神々は自然の至るところに宿り、その恵みによって人々の生活が守られていることを描き続けています。

アリミニの作品はこれが最後の一点となりました。どうぞお見逃しなく!

<関連ページ>

アリミニ 作家&作品ページ

「バリアートサロン」6月の開催要領

 

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