バリアートショールーム オーナーブログ
2016.1.30

日本の狭い住宅事情には縦長の絵

こんにちは、坂本澄子です。

前回のブログでお話した台湾の故宮博物院、2階の絵画コーナーには水墨画が展示されていました。その多くは山水画で、手前にある人里から遠くの山並みへと続いていく壮大な風景が、墨の濃淡だけで描き出されているのがとても印象的でした。

山水画は下から上へ、近景→中景→遠景の3つに描き分けられているため、下から上へと視線を動かしていくと、近くから遠くへと、まるで絵の中を旅しているような感覚が味わえるとともに、距離だけでなく時の流れを感じることができるのだそうです。そう言われてみると、掛け軸もよく床の間の前に座って見上げるように鑑賞しますが、理にかなっているというわけですね。

バリ絵画でも、近くのものを下に、遠くを上に描くことで、遠近感を表現します。一昨年、ウィラナタのアトリエを訪ねたとき、畳ほどの長さの風景画が立てかけてありました。まだ、製作途中でざっくりと陰影をつけた段階だったのですが、それがかえって水墨画のような魅力を醸し出していました(youtubeで動画公開中)。ウィラナタが山水画を意識したかどうかはわかりませんが、彼の作品のファンは華僑の人たちにも多いのは、そんな共通点から来る懐かしさに惹かれるせいかも知れませんね。

彼のこれまでの作品をみると、ほとんどが注文製作のため様々な大きさの絵があります。きっと、注文主が飾る場所にあわせて趣向を凝らした結果なのでしょうね。今日はその中から山水画を思わせる縦長の風景画をご紹介します。下から上へ、絵の中を旅するようにご覧になってみてください。

『sawah di kaki bukit」山の麓の棚田の風景 Wiranata 2007年 (150x100cm)

スクリーンショット 2016-01-29 22.02.32見上げるような大作です。手前の近景には、2人の農夫がまだ薄暗い谷間の棚田で田植えをしています。やがて昇ってきた朝日が彼らの影を落とすと、水田の澄んだ水に映り込んだ景色が浮かびあがり、暑い1日が始まります。

中景には、差し込んだ朝日が椰子の葉と戯れています。右側に視線を移すと東屋があり、2人の子供が相撲のような遊びをする姿に、奥に座った老人がやさしい眼差しを向けています。

さらに遠くにも人がいるようです。右手に子供を抱え、頭の上で荷物を運ぶ働き者のバリの女性、男性は窯の手入れをしています。これから草刈りでしょうか。奥では牛が静かに出番を待っています。雲海を隔て、景色はさらに高い山々へと連なっています。のどかで、そして荘厳なバリの朝のひとときです。

 

「Turun ke sungai」川へ降りる道 Wiranata 2008年 (100x60cm)

side boardこちらも谷間の水田に朝日が差し込む風景を描いた作品。牛を連れて野良仕事へと道を下っていく農夫になったつもりであたりを見回してみると、川を流れる水の音など、実に多くのものが五感に迫ってきます。ノスタルジックな気持ちにさせてくれる色使いもいいですね。

(画像をクリックすると、作品の拡大写真へ)

手狭な日本の住宅事情でも、縦長のスペースならば意外に見つかるんじゃないでしょうか。玄関の吹き抜けや階段の踊り場のように、下から上へ見上げる場所もおすすめです。また、民芸調の家具や和テイストのローボードの上にも、バランスよく飾れます。(写真: 時代箪笥)その際、額縁を家具の色合いや素材に合わせるのがポイント、場に統一感が出ます。

一方、ご自宅を新築、改築された際には、1箇所でも絵を中心に空間設計をされると、求心力のある素敵なスペースが作れます。ご注文製作はそんなご要望にお応えします。絵を飾りたい場所の写真をお送りいただければ、無料でコーディネイトのご提案をします。お問い合わせはこちらからどうぞ。

<関連ページ>

Wiranata作品ページ バリ島の美術館で作品所蔵される人気アーティスト

バリ島の熱帯幻想風景画 早暁、夕暮れの光の幻想的な風景をお楽しみください

コメントをどうぞ

※は必須