バリアートショールーム オーナーブログ
2016.2.3

バリの音と風景画

こんにちは、坂本澄子です。

昨日、JALの機内誌「JAL SKYWARD」の2月号が届きました。前座席のポケットに入っているので、愛読されている方も多いのでは。かく言う私も毎号楽しみにしている雑誌のひとつ。丹念な取材を通じて、その土地の風物や人々の素顔が紹介される旅の記事は、いつも旅情を誘います。

その「SKYWARD」にバリ島が紹介されていました。「音、降る島へ」というタイトルの通り、ガムランの音色に関するお話をテーマに、バリ島の自然や暮らしが丁寧に紹介されており、既に知っていることであっても、的確かつ美しい言葉で綴られると、新たな共感を呼び起こします。

「深い森の中を歩いていると、ふと不思議な感覚にとらわれた。周囲を包み込む様々な音が、突如、整然としたリズムをもつひとつの音楽のように耳に響き始めたのだ」という冒頭の文から、「そう、そう!」と引き込まれ、7ページの特集を一気に読みました。そういえば、私も夜更かしして本を読みながら、風に揺れる椰子の葉擦れや川のせせらぎ、カエルやトッケイの鳴き声などとともに、時折交じるガムランの低い音色。そんな音を、まるで音楽のように感じたことがもありましたっけ。

gamelinへえ〜と思ったのは、楽隊を持つバンジャール(村の地域共同体)ごとにそれぞれ異なる音色があるということ。ガムランというのはご存知の通り、青銅と竹から作られる鍵盤打楽器によるオーケストラ。その歴史は紀元前に東南アジア一帯に興った青銅器文明・ドンソン文化にまで遡り、豊富な楽器の種類と編成によって、奏でる音色は随分変わってくるのだとか。

バリ島のガムランには「コテカン」と呼ばれる特有の入れ子構造のリズム技法があり、人によって楽器を叩くリズムを変えているのだそう。音の数とリズムの違いからくる音の粒ひとつひとつが、まるで「点描画のようにその場を埋め尽くす」というわけです。バリのガムランに感じる多重的な広がりはここから来ていたのかと納得。

ガルー「黄昏の静謐」絵にもそんな多重的、多次元的な広がりを感じることがあります。女流作家ガルー(Galuh)の描く幻想風景画はそんな不思議さを感じさせてくれる魅力に包まれています。目で見る風景の広がりに加えて、先ほどからの様々な音や土の匂い、足先にあたる柔らかい草の感触などが、まるでその場にいるかのような感覚を伴って迫ってきます。

PS005「私が感じたものを、絵を見る人にも感じてもらい、穏やかな気持ちになってもらえれば。そんなふうに考えて、いつも絵を描いています」と言ったガルーさん。バリの様々な音の中で、今も耳に残る彼女のやわらかな声が、一番心地よいかも知れません。

 

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ガルー作品ページ 美人人気画家が描く幻想的な風景画

 

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