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2016.4.23

二毛作的な生き方 伊藤若冲展

こんにちは、坂本澄子です。

大変光栄なことに、私の二毛作的な生き方をノンフィクション・ライターの大宮知信さんが、著書『人生一度きり!50歳からの転身力』(電報社)で取り上げてくださいました。この本には他にも、人生の後半戦を別の世界で生きる決意をした50人が紹介されています。それまでのキャリアの延長線で独立・転職するのとは違い、リスクを伴いますが、それぞれに思いがありチャレンジする姿には、「私たちもまだまだいける」と思わされます。

そんなふうに、それまでと180度違う生き方をして画家になった人がいます。前回ご紹介したアンリ・ルソーもそうですが、日本人にもすごい画家がいました。伊藤若冲、江戸時代中期の画師です。

1716年京都の生まれ。実家は京都の青物問屋で、23歳の時に父の後を継ぎますが、40歳の時に弟に家督を譲って隠居の身となり、画師としての遅いスタートを切りました。どの画派にも属さず、試行錯誤を重ねながら独自の画風を確立、85歳で亡くなるまで制作意欲は衰えず、好きな画業に打ち込み続けました。

gunkeizu_jakuchu (1)生誕300年となる今年、東京都美術館若冲展が始まり、さっそく行ってきました。寺院に伝わる襖絵などから中国渡来の花鳥画を模写し、写実絵画を学んだ若冲は、身近な動植物を題材にした花鳥画、鳥獣画を多く残しています。

一番惹かれたのは、10年以上の歳月をかけて相国寺に寄進した30輻の「動植綵絵」。思わず見入ってしまうほど、精緻を極めた動植物図。梅、桃、鳳凰、孔雀などの華麗な題材はもちろん、魚、貝、水辺の虫、爬虫類、両生類に至るまで徹底して描きこまれた作品は、まさに生命の謳歌と仏様への感謝です。特に鶏は自宅の庭で何羽も飼い、写生を重ねたというだけあって、その力強い生命力はひしひしと伝わってきます。

でも、若冲の魅力はそれだけではありません。そう感じたのが、二双の屏風からなる『鳥獣花木図屏風』。動物たちが集まった地上の楽園が描かれています。

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『鳥獣花木図屏風(一双)』伊藤若冲 江戸時代

060721_06よく見るとモザイクのように小さなマス目があり、その一ます一ますに違った塗り方がされ169x374cmの大作を構成しています。写実を極めたからこそできる簡略化と想像力によって、モダンアートと見紛うような新しさを感じました。おそらく後期の作品だと思いますが、画師としての評価を得た後も、常に新たなテーマにチャレンジし続けるところはすごいと思いました。

どれも実物をぜひ見ていただきたい作品ばかり。開催は5月24日まで。5月8日までは8Kスーパーハイビジョンの特別映像もあり、こちらもちょっと見物です。

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51dDLZQJX3L._SX339_BO1,204,203,200_娘がこの4月から就職し新しい道を歩き始めました。毎日悩んでは立ち止まり、また歩き出す姿は約30年前の私と同じ。若冲の生き方を見ると次の30年は、もう一回分別の生き方ができると勇気をもらえました。

このブログを読んでくださっている方には同世代の方も多いと思います。そこで、冒頭にご紹介した、『人生一度きり!50歳からの転身力』(大宮知信著)を3名の方にプレゼントしたいと思います。応募多数の場合は抽選とさせていただきますので、4月30日までにこちらのフォームに書籍希望と書いてお申込みください。

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