バリアートショールーム オーナーブログ
2016.10.8

絵の具からバリ絵画を見ると 番外編

こんにちは、坂本澄子です。

描き手の視点から絵画を見るこの企画、もともと前編・後編の2回のつもりだったのですが、どうしてもこれはお伝えしたくて番外編を作っちゃいました。

バリ絵画でよく使われるアクリル絵の具、苦手なことはグラデーション、でしたね。でも、花鳥画などで花びらや羽毛に柔らかな陰影をつけたいとき、やっぱり必要なのです。そこで登場するのが竹筆。これを使うと、グラデーションがなんと一瞬でできてしまうのです。

dsc01298竹筆というのはシャープなエッジのついた、竹製のヘラのようなもの。前編でもご紹介した通り、アクリル絵の具は乾くと水に溶けないので、上から色を重ねやすいのが特徴でしたね。その特徴を利用して、少なめの水で溶いた絵の具を竹筆のエッジの部分につけて、最初は強く、後半はシャっと流すようにすると、下色の上に別の色がいい感じにぼけてくれるのです。シャっシャっではなく、狙いを定めてただ一度、シャっ!がポイントです。

上の写真は、画家のエベンさんにバリ絵画の描き方を教わったときのものですが、この技法を使ったのが、白のプルメリアの花びらと中央のバナナの葉の茎の部分のぼかしです。エベンさんはこの竹筆を葉っぱのくっきりとした輪郭線を描く時にも使っていました。余談ですが、輪郭線は東洋絵画に特徴的なもの。光による明暗で立体を表現する西洋絵画ではほとんど見られません。

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「青い睡蓮」RAJIG 50x60cm ¥60,000

竹筆は画家が手作りすることが多く、パーツの大小に合わせて様々な幅のものがあります。

花鳥画と言えばこの人!と言われるラジック氏も10本近い様々なサイズの竹筆を使い分けていました。これで、右写真のような花びらのみずみずしさや野鳥の羽毛のやわらかさを表現していくわけですね。

いかがでしたか?絵の具を通してみたバリ絵画。

描き手の感性があふれた絵作りは、写真とは違う絵ならではの魅力ですが、それを下支えしているのは画家の持つ技術力です。今回ご紹介したように、画家それぞれに様々な工夫をしており、それがバリ絵画の質の高さにつながっています。あなたのご自宅にもバリアートをいかがですか?

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