バリアートショールーム オーナーブログ
2014.5.3

アトリエ訪問 〜 田園風景を眺める場所から

こんにちは、坂本澄子です。

アトリエにあった作品その人の内面にまで迫る描写力で定評のある写実画家のWayan Bawa ANTARA(アンタラ)。いつか私を描いてほしいという願いがついに実現しました。昨年完成したウブド郊外の新しいアトリエも気になっており、現地パートナーの木村さんにさっそく取材に行ってもらいました。

制作中のアンタラ氏

 そのアトリエは、大きく開かれた2階の窓から田園風景が見渡せる場所にありました。バルコニーに出ると、田んぼはちょうど刈り取りを終えたところで、普段は湿気の多いバリですが、その日は心地よい風が感じられるほど。

アンタラさんにはこれまで何度かお会いしていますが、気に入った写真をお渡し、それを元に描いてもらうことにしました。

IMG_3170広いアトリエのほぼ中央には、原木から切り出した一枚板の大きなテーブルが置かれています。アンタラさん、ここにスケッチブックを立てかけるようにして座ると、チャコールペンシルを持つ手が猛スピードで動き始めました。その集中力たるやすごいものです。見る見るうちに白い画用紙に輪郭が現れ、目を描くとそこにいのちが宿りました。

 

水の女神デウィ・ガンガ

吹き抜けになった場所に箱庭がもうけられ、
水を司る女神のデウィ・ガンガの石像が

待っている間、アトリエの中を見せてもらっていると、きれいな装丁の画集が目にとまりました。昨年ジャカルタの老舗ギャラリー”GALERI HADIPRANA”が開催した、国内で最も輝いているアーティストたちの作品展『Bridging two worlds』向けに作られたものです。ぱらぱらとめくってみると、このアトリエの紹介とともにアンタラさんの作品が大きく取り上げられていました。”Golden Harvest”をテーマに描いたという黄金色に輝く抜けるような田園風景は、まさしくこのアトリエのもたらした新たなインスピレーションでしょう。

グループ展の立派な画集 IMG_3155 IMG_3156

近年の経済の発展は目覚ましいものがあり、首都ジャカルタなど大都市の富裕層、中間層を中心に、アンタラさんのような人気作家の作品が飛ぶように売れているそうです。

そうこうしているうちに絵が完成しました。

  *****

 後日額装してこんなに立派なポートレートに。ちょっぴりくすぐったい気分です。

sakamoto-portrait「いくつになっても精一杯生きていたいし、そんな自分を信頼する画家の手によって残しておきたい」、アンタラさんには私の気持ちをしっかりと受けとめてもらえました。宝物としてずっと大事にします。

一方、木村さんから送ってもらったこれらの写真を見ながら、日本は経済だけでなくアートに於いてもアジアの中心にいると言えるだろうか…と考えさせられました。

絵画だけでなく、音楽や文芸、日本の伝統芸能など芸術全般に対して政府や民間企業が拠出しているお金は、日本とインドネシアの経済規模を考えたとき桁違いに小さいのではないでしょうか。芸術家が日本で食べていくのは難しいし、優秀な人は海外へ活躍の場を求めて出て行ってしまう。鑑賞する側も美術館には行っても、日常の中で身近にアートを愉しむという発想になかなかなれないのではないかと思いました。

日本人は毎日を心豊かに過ごすことをもっと考えてもいいのではないでしょうか。私も微力ながら、アートのある毎日を愉しむ提案を続けていきたいと思っています。

アンタラさんの肖像画制作に関するお問合せはcontact@balikaiga.comまで。

<関連ページ>

日本で実物が見れるアンタラさんの作品

 

2014.4.2

ただいま制作中! ウィラナタ70cmx100cmの大作

こんにちは、坂本澄子です。

「バリアートショールーム」1周年記念展示会にご来場ありがとうございました。人気の花鳥画を中心に一部の作品につきましては感謝セールを継続しています。対象作品はこちらをご覧下さいね。

東京では桜がちょうど見頃を迎えています。ケンのお散歩は毎朝学校の回りを一周するので、薄紅色の花景色にやさしい気持ちになります。

バリ島では一昨日(3月31日)はニュピ(バリ暦での新年)でした。ニュピについては以前ブログでもご紹介しましたが、島全体を清める儀式が数日前から始まり、当日は誰もが家で静かに祈る静寂の一日となります。ウブドはこの夜空が澄み渡り、星がとても綺麗だったそうです。

それぞれの国にそれぞれの美しさがありますね。

さて、今日はドイツ人画家シュピースの影響を強く受け、幻想的な熱帯風景画で世界中に熱烈なコレクターを持つWiranata(ウィラナタ)さんの近況のご紹介です!

Wiranataアトリエ前にて

アトリエ前にて

インドほど厳密ではありませんが、ヒンドゥ教徒が90%以上を占めるバリ島にもカースト制度が残っています。Wiranata、お姉さんのGaluh(ガルー)、弟さんのKepakisan(ケパキサン)たちAgung Familyはカーストの最上位レイヤー(王族,僧侶)に属し、中でもWiranataさんはファミリーの長男として一族の祭事に関する責任をずっしりと負っています。

バリ島では通常男性は結婚しても生家に留まります。そのため、敷地の中にそれぞれの家族が住む棟が立ち並び、東側に人間に関する儀礼を執り行う棟(Bale Dangin)が、家寺改修の祭事そしてアグン山側の角には祭礼を行う家寺(Sanggah)が建っているのが、バリ民家の一般的な構造です。Wiranataさん一家も弟のKepakisanさん一家と同じ敷地内に住み、アトリエも共用です。

Wiranataさんのお宅ではこの家寺の100年ぶりの改修工事が行われました。一族全員が集まるのも100年ぶりとのことで、総出(きっとすごい人数)で儀式、奉納を執り行なったそう。写真を見ても気合いのほどが伝わってきますね。

Wiranata制作中そんな中、昨年10月にお願いした70cmx100cmの新作は、ジャカルタ、シンガポールのギャラリーからも注文が相次ぐところようやく着手してもらい、構図が出来上がったところです。

先日の展示会でも、「朝のひんやりとした空気が伝わってきますね」と言われた方がおられましたが、本当にそうなんです。姉のGaluhさんが水田の水面に写る空を描くことでやわらかな光を表現しているのに対して、Wiranataさんの作品は光と影のコントラストから来る強さを感じます。

この新作、これからどんなふうに仕上がっていくのか楽しみですね。

9. kampung pohon bambuWiranataさん、Galuhさんの作品は首都ジャカルタでもここ数年価格が上昇傾向にあり、新作はもちろん、絵画オークションなどの二次流通でも安定した価格で取引されています。インドネシアの経済成長を反映してか、物価が5分の1以下の現地にあっても高価な作品がどんどん売れています。

「バリアートショールーム」ではこれからも現地並みの価格で作品をご提供していきます。

<関連ページ>

 Wiranata 作家&作品紹介

Galuh 作家&作品紹介

ウィラナタ、ガルー作品の実勢販売価格

1周年記念セール継続中

 

2014.3.15

観光客とバリの人々との出会いを描く

こんにちは、坂本澄子です。

前回のブログで、ユニークなおサルさんの絵で有名なASTAさんをご紹介しましたが、実は他にも気になっている画家さんがいるんです。

I Ketut Sadiaさん。ジャーナリズムや観光客とバリの人々の出会いを題材に取り上げて注目を集めている画家です。

SADIA作品ウブドから車で30分、バトゥアン村に彼のアトリエを訪ねてみました。ここはオランダ植民地時代も外国人が少なかった地域で、そのため西洋絵画の影響を受けず、バリ伝統絵画の特徴が現在も色濃く残っています。暗めの色彩を用いて神話などの場面をぎっしり描き込むのがこのスタイルの特徴の中、Sadiaさんのポップで明るい作風は異彩を放っていました。

実は、Sadiaさんを紹介してくれたのは、同じく画家の兄のBendiさんなのです。アジア芸術への玄関口としての役割を担う福岡県立美術館。ここで企画展を行ったこともあるというBendiさんの作品をプリ・ルキサン美術館で見てご自宅を訪ねたのです。アトリエにはたくさんの作品があり、どれもすばらしいかったのですが、お部屋に飾ることを考えたときに、バトゥアン・スタイルに特徴的な暗めの色遣いがちょっと気になりました。するとBendiさん、「弟の作品なら気に入るんじゃないかな」となった訳です。

制作中のSadia氏アトリエに伺った時、Sadiaさんは写真のように大きな作品を制作中。中国の方からの依頼とのことで、中国風の建物とバリの人々が描かれていました。そういえば、ここ数年中国からの旅行者が急増しており、バリと中国を融合させた作品の注文が多いとか。日本+バリをテーマに描いてもらうとどんな作品になるのでしょうね。いつかお願いしてみたいと思っています。

バトゥアン村ところで、バトゥアン村はウブドとは趣が異なり、時の積み重ねを感じるしっとりした住宅街です。どことなく生まれ故郷の街並みに似ているような気もしますね^_^

「バリアートショールーム1周年記念 展示即売会」では、バリ絵画の様々なスタイルの作品約40点がご覧いただけます。バトゥアン・スタイルARIMINI氏の作品を展示します。ぜひ遊びに来て下さいね。3月29日(土), 30日(日)@表参道でお待ちしています!

「バリアートショールーム1周年記念 展示即売会」開催概要

 

2014.2.8

絵の風景に自分もいるみたいに

こんにちは、坂本澄子です。
前回、ガルー(Galuh)さんのまねをして朝日を見に行ったお話をしましたが、実は彼女に影響されたことはもうひとつあるのです。

残照の家路ガルー(Galuh)さんが絵を描く時に意識していること、それは自分もその場にいるかのように五感と想像力を働かせることです。この作品もそうで、家路につく農夫に自身を重ねて描いたそう。その穏やかに満たされた気持ちが見る人にも伝わるからこそ、共感を呼ぶのだと思います。そう思っているうちに、すぐに売れてしまいました。お客様からのお便りはこちらを見て下さいね。

そこで、私も絵の中に自分がいると意識しながら描いてみました。

灯りに照らされた空間素敵な写真に出会うと、投稿者にお願いして描かせていただくことがあります。先日、とても雰囲気のある写真をFacebookで見つけました。それがこの作品です。(写真左)

真っ暗な山道にぽっとあかりの灯ったこの風景。闇があるからこそ、あかりの優しさ、温かさが一層際立っているように感じます。空もこれに呼応するかのように、雲の割れ目から月の光が…。「これ、描きたい!」そう思う一方で、写真だからこそ素敵なのであって、絵に描いたとたん輝きを失ってしまうのではないかという不安が。そう思いながらも諦め切れず、闇の部分に目を凝らして見ると。そこは真っ暗ではなくて、うっすらと空間が広がっているのが見えました。

灯りに照らされた風景そこで、その風景の中に今自分がいると想像し、目の前に見える(であろう)風景を描いたのがこちらです(写真右)。嬉しかったのは、ご本人(J.K.さん)に送ったところ、とても喜んでもらえたこと。ここは大学の帰りに毎日通る道なのだそうです。近くには森林公園があり、きっとお気に入りの場所なのだと思います。私が描いた風景はJ.K.さんが見ているのとは違うかも知れないけれど、そこから感じたものを私なりに表現するとこうなったということを理解してもらえたことに感激しました^_^

2つの時空間J.K.さんとの出会いも一枚の写真がきっかけ。それがこの作品(写真左)でした。1枚の写真の中に2つの時空間が存在するとても不思議な感じのする作品です。これを見た時、シュピースの『風景の子供たち』を思い出したんです。シュピースはバリ現代芸術の父と呼ばれ、バリ絵画に大きな影響を与えたドイツ人ですが、逆にバリ伝統絵画からも影響を受けたと思えるふしがあるのですよ。

物語の場面を描いたカマサン・スタイルバリ絵画はもともとインド神話の物語の場面を題材としていましたが、絵巻物なので1つの絵の中に複数の場面(時空間)が描かれています(写真右)。線で区切られたところがひとつの場面。シュピースのバリの風景を描いた作品にも、森で区切られた複数の時空間が共存しているのですよ。もしかするとここからヒントを得たのかも知れませんね。そして、ガルーさんもシュピースの幻想的な作品に惹かれて、現在の作風になったと言います。感動が感動を呼び、時代や空間を超えて繋がっていく、とっても素敵ですね。

 先月の作品展の余韻に浸りながら、ガルーさんの作品の特徴をお話してきました。次回はバリの明るい色たちをご紹介します。今朝は東京も雪が降りました。寒いこの季節だからこそ、ちょっと明るい気分になりたいですよね。

<関連ページ>

ガルー経歴&作品

シュピースの作品と影響

シュピース・スタイルの作家たち

 

2014.1.25

ガルーさんにインタビューしてきました(後編)

こんにちは、坂本澄子です。ここ数日、暖かいですね。東京は4月上旬並みになるとか。 あなたの街はいかがですか?

好評開催中のガルー作品展『静謐のとき』、見に来て下さった方が口々に言われるのは、作品の持つふんわりとした優しさがいいね!ということ。遠景になるほどふわっとぼかして描く遠近法によって、温かみのある空気感が生み出されてるからでしょう。

キャンバスの待ち行列人気作家のガルーさんはジャカルタやシンガポールの有名ギャラリーからひっきりなしに注文が入り、そのサイズも写真の通り大きなものばかり。畳1帖分のサイズで3〜4ヶ月、もう少し大きなものになると半年がかりだそうです。この間、作品に対する集中力を維持するのは大変なこと。そんなとき、私がお願いする小さめの作品はちょうどよい気分転換になるそう。そんなふうに上手にバランスを取りながら、一点一点思いを込めた作品を描いています。

今日は、そんなガルーさんへのインタビューの後編をお届けしまーす。

 

Q5 スランプに陥った時ってどうしてますか?

アトリエで制作中の画家結構、そういうことありますよ(^_^)  そんなときは無理して描くのはやめて、バイクに乗ってぱっと出かけちゃいます。主人も画家なんですけども、二人で海を見に行ったり、山に登ったりすることも。自然の大きさにいだかれているうちに気持ちが切り替わり、新たなインスピレーションをもらうこともあります。

これ私たちも使えそうです。仕事でも勉強でも行き詰まったときには机にかじりつかず、一旦横に置いて別のことをやってみる。で、気持ちを切り替えて戻ってくると、別のアイデアが浮かんでくるって結構ありますよね。

Q6  今まで一番嬉しかったことって何ですか?

’95年に招待留学でヨーロッパを3週間に渡り旅行できたことです。ドイツ、フランス、オーストリア、オランダを回りました。ドイツではちょうどシュピースの生誕100周年で、原画を見ることができ本当に感動しました。持参した作品3点と滞在中に描いた4点の合計7点が現地で売れ、プロの作家としての自信にもつながりました。

今でもバリの人が島から出て旅行をすることはあまりありません。バンジャールと呼ばれる隣組ごとにお祭りや農作業などが共同で行われるため、留守にしずらいという事情があるのです。ましてや20年前と言えばインドネシアからの出国が制限されていた時代。招待留学というのはとても珍しいことなのです。画家としてのスタートが23歳。そのわずか4年後ですから、才能に恵まれた人なんですよね。

Q7  今後の目標を教えて下さい

画家としてさらによい作品を描き続けていきたい。

ちなみにガルーさんの好きな画家はと訊いてみると、アンリ・ルソーとルーベンスだそうです。バリ絵画が好きな人にアンリ・ルソーのファンは多いです。実は私も…特にジャングルを描いた作品、素敵ですよね。

Q8  日本のファンへ一言メッセージをお願いします

私の作品を見て、幸せで穏やかな気持ちになってもらえたら嬉しいです。

ブログ115_ポストカードガルー作品展、いよいよ来週いっぱいとなりました。26日(日), 31日(金)は私も会場でお待ちしてますので、ぜひ観に来てくださいね! 新作のポストカード2枚組もプレゼントしちゃいます。

 

<関連ページ>

ガルーさんにインタビューしてきました(前編)

ガルー作品展『静謐のとき』開催概要

ガルー経歴と作品

 

2014.1.18

ガルーさんにインタビューしてきました(前編)

IMG_2073こんにちは、坂本澄子です。飛び石で1月開催中のガルー作品展『静謐のとき』、2日目が終わりました。昨年から二度三度と足を運んで下さる方、今回初めて来て下さった方、本当にありがとうございます。ネット上での出会いが、対面というリアルな繋がりになることをとても嬉しく思います。作品も写真で見るのとは随分印象が異なります。「百聞は一見にしかず」、ぜひこの機会にガルーさんならではのふんわりとしたやさしい光の表現を見にお越し下さい。

さて、今回の作品展の開催にあたり、ガルーさんにいくつか質問をしてきました。画家としてのバックグラウンドや人となりを知ると、作品の味わいがまた一層深まってきます^_^

ウブド王族を親戚に持ち、父、叔父(グラカカ氏)が高名な画家という恵まれた環境に生まれ育ったガルーさんは、幼い頃から自然に絵を描き始め、海外に行く人がほとんどいなかった時代にドイツへの短期留学を果たし、流暢な英語を話します。プロの画家としてのスタートは意外に遅く、結婚後のことでした。

 

アトリエ2Fがギャラリー。ファミリーの画家たちの作品が展示されています。

アトリエ2Fがギャラリー。
ファミリーの画家たちの作品が展示されています。

【Q1】絵を始めたのはいつ頃?

6歳の時に画家だった父親から紙と絵の具を与えられ、自由に描かせてもらったのが絵との出会いです。その後、趣味で続けていましたが、’91年に女性画家で構成されるスニワティ・ギャラリーが主催する公募展があり、画家の夫に勧められ出品したところ、ウブドで画廊を営むイギリス人女性オーナーの目にとまりプロの画家としてデビューすることに。

【Q2】今の作風(シュピース・スタイル)で絵を描くきっかけとなったのは?

17歳の時デンパサールのアートセンターで初めてシュピースの作品(複製画)を見てとても感銘を受けました。特に、水面への映り込みや光の表現が素晴らしいと思い、夢中で研究しました。それが今の作品にも生かされていると思います。

アトリエにある愛用の道具。朝のうちにキャンバスに向かいます

アトリエにある愛用の道具。
朝のうちにキャンバスに向かいます

【Q3】ガルーさんにとっての絵の先生は?

父は11歳の時に亡くなったのですが、最初に絵と出会うきっかけをくれ、教えるというよりも自由に描くのを見守ってくれる存在でした。亡くなった後多くの画材が残され、それを使って絵を描き続けられたことも大きかったと思います。

【Q4】制作にあたってのインスピレーションをどのように得ている?

制作にあたっては構図を最も大事にしています。そのため、普段から風景を見ることを心がけています。最近はウブドもホテルなどの建物が増えてきたので、バイクに乗って生まれ故郷のタバナン近くまで出かけます。見晴らしのよい場所に立って眺めていると、色んなアイデアが浮かんでくるんですよ。また、制作中は作品の風景の中にいるつもりで想像力を働かせています。作品の中に描かれた人物は実は自分自身でもあるのです。

続きは次号で。ガルー作品展、来週の開催日は1月22日(水)と26日(日)です。お待ちしてまーす^o^

<関連ページ>

ガルー作品展『静謐のとき』開催要領

ガルー経歴と作品

 

 

2013.12.21

新春1月 ガルー個展を開催します

こんにちは、坂本澄子です。

2階のギャラリースペース東京・日本橋、昭和22年に建てられた木造家屋の2階にまるで隠れ家のような空間を見つけました。Gallery KAI (開)。オーナーの大津さんは以前日本橋にあった東急百貨店の美術部に勤めたアートのプロ。1999年の日本橋店閉店と同時に退職、生家であるこの日本家屋を改造し、1階をカフェ、2階でギャラリーを営んでおられます。カフェにも、同じ日本橋出身つながりからイラストレーターの水森亜土さんの作品が展示され、古きよき昭和の空気が流れています。

天井の梁にも時代を感じるご縁があり、2階のスペースを来年1月にお借りすることになりました。(この不思議なご縁についてはまた別の機会にご紹介します)この静謐な空間にふさわしい作品はやっぱりガルーさんの幻想的な風景画…ですよね。ちょうど新作2点が来週日本に届きますので、これを含めた5点を皆様に見ていただきたいと思っています。実施要領につきましては、近日中にご案内しますので、どうぞお見逃しなく!

なお、1月のプライベート絵画展もこちらで行います。日本橋交差点を一本入った便利のよい場所(東京メトロ三越前駅A6出口から徒歩2分)ですので、ぜひ併せてご利用くださいね。

さて、近年のインドネシアの経済成長には目を見張るものがあります。ガルーさんを始めバリの一流作家たちの作品価格はこの2、3年で軒並み1.5〜2倍近く上昇。古くからのガルーファンは嬉しいやら悲しいやら複雑なお気持ちだと思いますが、考えてみれば、美術館に作品所蔵される一流作家の作品が数十万で購入できる価格メリット(日本とバリの物価の違い)は依然魅力的です。でも、それも今のうち、この差は今後ますます縮まってくるでしょう。ぜひこの機会に、好きな作家の世界にひとつだけの原画をご自宅に持つ生活を始めてみてはいかがでしょうか。

最後の仕上げをするガルー

今回展示する作品に筆を入れるガルー

王族を親戚に持つアグンファミリーはウブドでも名家中の名家。父親も高名な画家だったガルーさん、弟のウィラナタさんは、バリ絵画を代表する作家として相変わらずの売れっ子ぶりです。特に首都ジャカルタやシンガポールでは、新たな資産家層を中心に自宅を彩る作品や投資用として大きな作品に対するニーズが高まっています。新作を受け取りに行ったときも、半年前から制作していた1.5m×1.0mの作品がようやく9割方完成したところで、お次は横3mの巨大キャンバスが制作を今か今かと待っていました。

プライベートでは、家の奥の敷地に貸しヴィラを建設中で、今は基礎工事の真っ最中でした。近年ウブドでも建築ラッシュですが、ガルーさんは工事代金が溜まるのを待ちながら、ゆっくりと建てたいとのこと。バリ島では建築資材は通常施工主が準備するため、工事の進み具合を見ながら現場に資材を運び込んでいるそうです。ヴィラが完成したら、ぜひ滞在したいですね。そうすれば、制作の様子をいつでも見れますし^o^ ちなみに、ガルーさんは朝型で、午前中に集中して作品に向かっているそうです。

<関連サイト>

ガルー経歴と作品

プライベート絵画展 サイト掲載作品を10点まで選んで実物をご覧になれます

歳末感謝セール実施中 人気作家の作品が12月30日まで10〜20%off

バリ絵画展『五感を満たす食卓②バリの妖精たち』好評開催中@バリカフェ・モンキーフォレスト

※土日祝は15時までお店にいます。バリ絵画の歴史や作品説明など何でも訊いて下さいね。

 

 

 

2013.12.18

自然と繋がり、人間らしく生きる

こんにちは、坂本澄子です。

先日、久し振りにロードショーに行ってきました。観たのは『かぐや姫の物語』(スタジオジブリ作品)。誰もが知っている『竹取物語』を高畑勲監督はどのように料理したのだろうと、14年ぶりの氏の新作にワクワク、そわそわ出かけました。声の出演がすこぶる豪華キャストで、求婚者のひとり車持皇子は「顔がそっくり、これはもしや…」と思ったら案の定橋爪功さんだったり、「良家の姫君とあろうもの」が口癖のご教育係を高畑淳子さん、竹取の翁にはこの作品が遺作となった地井武男さんなど、ぴったりの配役にじーんと来たり、大笑いしたり。

この映画が伝えたかったこと、それは自然の中で、人間本来の姿でのびのびと生きることの大切さではないかと思いました。自然+人間本来の姿…最近、気になっているキーワードです。私がバリに惹かれたのもまさにこれだからです。自然とそこに宿る神々に畏敬と感謝を持ち、その圧倒的な大きさに委ねて素朴に生きる姿。そこにはいまの日本人が失いつつある大切なことがたくさんあると感じています。

そんな中、ガルーさんにお願いしていた新作が2点揃いました。心の中にある神様のイメージを表現してくださいとお願いしたものです。朝夕それぞれの静謐さの中で神様を身近に感じる時間を描いてくれました。こうしてみていると、静かな気持ちになれますね。

ガルーガルー 

 慌ただしい毎日の中で、少しでも自分自身にかえる時間を持つことはとても大切だと思います。小さめの23cm×31cmサイズ(本体)ですから、ちょっとしたスペースに飾っていただくことができます。また、以前ご紹介したお客様のように飾る場所を固定せず、ご自分の前に持ってきて、好きな音楽を聴きながら、あるいはいいお酒をちょっとだけいただきながら、自分だけの素敵な時間を過ごすのもいいですね。このサイズのガルーさんの夕景作品を購入下さったお客様からは、「毎日玄関でお帰りなさいと迎えてもらっています。美術館も所蔵する一流作家の作品がある生活、ちょっと自慢です」と嬉しいお便りをいただきました。

作品詳細はこちらをどうぞ

左:朝景『Panen kelapa 〜 椰子の実の収穫』

右:夕景『Mencari Bunga 〜 花を探して』

<関連サイト>

バリ絵画展『五感を満たす食卓②バリの妖精たち』好評開催中!

土日祝の15時までお店におります。バリ絵画のこと、作品のこと、何でも訊いてくださいね。

歳末セール実施中 人気作家の作品が10〜20%off !12月30日まで

ガルー経歴と作品

ガルー紹介ブログ

2013.12.14

注文制作であなたのこだわりの一枚を③ ついに完成!

こんにちは、坂本澄子です。

皆様、覚えておいででしょうか。画家のソキさんに注文制作を依頼した『バリ島〜PULAU BALI』がついに完成しました。

SOKI-80x100-a

ブログ108_バリ島_ガベン80cm×100cmの大作。赤土の大地は土臭さを感じるバリそのもの、ソキ作品に象徴的な色です。その上にびっしりと描き込まれているのは各地の風物です。先日ご紹介したガベン(火葬式)もほらこの通り。古都カマサンのあたりに五重塔がついたバデと白い牛ランブーが見られます。きっと地元の名士のものでしょうね。

ご注文主はFacebookアルバム『バリの笑顔』で毎朝私たちを和ませて下さっている写真家のtomuさんです。ご本人は写真は趣味と仰っていますが、本当に素敵な作品ばかりなので、「バリアートショールーム」では写真家と呼ばせていただきますね^^

ブログ108_柴木様1そのtomuさんにぜひ『バリ島』と一緒の写真を投稿下さいとお願いしたところ、こんなメチャメチャ楽しい写真を送っていただきました。わざわざご自宅近くの公園と海岸に出かけて下さったとのこと。バリ島で購入されたバティックのシャツに身を包み、『バリの笑顔』に負けないビッグ・スマイルです。シャツの青と『バリ島』の海の青さが最高によく合っていますね^o^撮影には奥様もご協力下さり、ありがとうございました!

tomuさんは4年前に元同僚のご友人を訪ねて初めてバリ島とお隣のロンボク島を旅行したとき、深く心に感じるものがあったそうです。そして…

ブログ108_柴木様2「毎年、夏に友人を訪ねてバリ島とロンボク島にでかけるようになり、現地の人々の暮らしや文化風習に触れる機会が毎年、少しづつ深いものになるにつれ、日本での生活の中では感じることができない、感動や衝撃を受ける回数が増えて来ました。明確な答えはおそらくこの先も出ないと思いますが。私はいつもバリ島とロンボク島の友人に(忘れ物を取りに来た!)と、いって遊びに行きます。その忘れものがソキさんが描く絵の中に、ギュ!と、詰まっています。 赤い大地と緑豊かな自然、碧く澄んだ海と輝く太陽!アグン山!どれもが私の わ す れ も の なんです。どんな時にも必ずそばにあって元気を与えてくれる!! そんな大切な家族のような絵を見つけられたんです!!」

 10月の絵画展で初めてお会いしたときに、「私の夢を叶えてください」という言葉と共に、この作品の制作をご依頼いただいたのですが、その理由がよくわかりました。こんなに喜んでいただけて、私も本当に嬉しいです。そして、皆様にも見守っていただき、完成までの約1ヶ月半、ご一緒に楽しませていただきました。tomuさん、ありがとうございます。そして、この作品が与えてくれるエネルギーとワクワク感とで、これからますます生きることを楽しんで下さいね。

皆様も注文制作で、「あなただけの特別な絵」を作ってみませんか。ご注文からお届けまでの流れはこちらをご覧下さい。

 

アルマ美術館所蔵の作品 「バリの村落」

アルマ美術館所蔵の作品
ソキ「バリの村落」

ソキさん(I Ketut SOKI) はバリ島の美術館(プリ・ルキサン美術館、ネカ美術館、アルマ美術館)がこぞって作品所属するまさにバリ絵画を代表する画家。いきなり注文制作は敷居が高いけど、この作品ちょっと気になるという方に朗報。20cmx25cmの小さな作品を12月30日までの特別価格(税抜価格27,000円+送料無料)でご提供します。残り3点となりましたのでお早めに。詳しくはこちらを

<関連サイト>

注文制作であなたのこだわりの一枚を

注文制作であなたのこだわりの一枚を② あの作品のその後

2013.8.21

新作情報 – バリニーズ・ビューティ四部作

こんにちは、坂本澄子です。日中は厳しい残暑ですが、朝夕は空の高さにふと秋の訪れを感じる今日この頃です。今週は夏休みを終えて、「さて、また頑張るぞ〜」と仕事に戻られた方も多いのでは。季節の変わり目、どうかお身体に気をつけてお過ごし下さいね。

ブログ56_秘密よブログ56_夢見る頃アンタラ作「朝の祈り」アンタラ作「凛」

さて、今日も新作のご紹介です。久々登場の写実人物画の旗手アンタラさん。4月の絵画展では、彼の瑞々しい作品にため息をついた方も多かったと思います。子供時代と思春期にさしかかる少女の作品でしたが、さらに大人の女性へと成長していく姿を画家はどのように描くのだろう…と興味が湧いてきました。そこで、女性が成長する姿を写真のように、7歳、13歳、17歳、そして21歳と追いかけて、描いてもらいました。題して「バリニーズ・ビューティ四部作」。サイズも額装も揃えてありますので、4点、あるいは2点対にして飾ったり、あるいは季節ごとに掛け替えたりと、いろいろな楽しみ方ができます。もちろん単品でのご購入も可能です。

アンタラ写真_自宅にて

自宅1階ホールにて。ここから階段を登ってアトリエまで、自身の作品が続く

ところで、こんな素敵な女性を描くアンタラさんってどんな人?自宅アトリエに何度かお邪魔していますが、2児のお父さん、そして、奥様はやっぱり(!)美人。よくモデルにもなっておられます。アンタラさんのこともっと知りたい!と、6つの質問をしてみました。

1)画家になろうと思ったきっかけ

祖父、父、叔父と画家の家庭に育ち、ごく自然に絵を描き始めました。(こういうタイプの画家さん、バリにはとても多いです)10歳の時、絵画コンクールの賞をもらってから絵の道に進む事を意識し始め、デンパサールの美術大学に。絵を描いていると、穏やかで、魂が解放されるような気持ちになるのです。

2階のアトリエにはご家族を描いた作品が

2階のアトリエにはご家族を描いた作品が

2)作品のインスピレーションはどこから?

表に出て、自然や人々の生活の様子を観察して回ります。祭礼での人々の様子、子供たちが踊る姿など日常のちょっとした一コマに、私の制作テーマである愛や平安を感じることができます。西洋絵画の技法を使って描いていますが、題材はバリの伝統にこだわっているのはそのためです。

3)画家として心がけていること

人物画に限定することなく、バリの文化や人々の生活、風景の美しさを、自然と人間の調和の中で描いていきたいと思っています。ですから、行き詰まったら、新たな刺激を求めて積極的に外に出るようにしています。

最近はこんな風景画も

最近はこんな風景画も

4)いままでで一番嬉しかったこと

バリ島内のビーチに家族で旅行したことですね。注)祭礼中心の生活をしているウブドの人たちは普段村から出ることはほとんどありません。こういったささやかなことにも喜びと感謝の気持ちを忘れないところは、他の画家さんにも共通しています。

5)画家としての将来の夢

画家として成功すること自体にはそれほどこだわりはありません。ただ、常により良い作品を描きたいと思っています。(注:バリ絵画は画家自身の強い個性というよりも、バリ島という風土の中で育まれた世界観を表現する側面の方が強いと感じています。普通、将来の夢は?と訊くと、世界中で作品を発表したい…とか言っちゃいそうですが、とても謙虚なお答えもバリの画家さんに共通した特徴です)

6。日本のファンへのメッセージ

私の作品を見てくれた人が、穏やかで幸せな気持ちになってくれることをいつも願っています。

アンタラさんの新作は近日中にサイトに掲載します。ぜひチェックして下さいね。

【関連サイト】

画家紹介② バリ写実人物画の旗手〜アンタラ

アンタラ氏のこれまでの作品

 

 

3 / 512345