バリアートショールーム オーナーブログ
2014.7.23

作家×注文者が創り上げた「一枚の絵」(後編)

こんにちは、坂本澄子です。今日はソキさんとお客様が創り上げた一枚の絵、その制作秘話の後編をお届けします。

ご注文者(ペンネーム:tomu様)は50代の男性会社員。初めてバリに出会ったのは5年前、会社を辞めてバリ島に渡った元同僚のN様から「一度遊びに来てください!」と誘われたのがきっかけだったそうです。その時、tomu様が感じたバリはまさに「神々が棲む島」、そして少し前の日本に似た懐かしさを感じる場所でした。それから数年が経ち、N様はバリ人の男性と結婚、そして今年3月には元気な男の子が生まれました。

「今回の絵を注文したのは、それがきっかけだったのです」と、話して下さったtomu様、以下そのお便りをご紹介します

ブログ155_ダイキくん彼の名前はダイキくん。。。誕生日が私とほぼ一緒で、日本とインドネシアの国籍を持ち色白で手足の長いイケメンくんです。
彼、ダイキくんはこの先元気でバリ島に暮らし、人々の愛情をたくさん受けて大きく成長をして、やがて恋をして結婚。。ひょっとしたらママと同じ日本人をパートナーに選ぶかもしれない。そして子供が生まれ、家族でバリ島の伝統を守り幸せな生活を続けるのだろう!!
  
そんな人生の節目、節目にバリ島で行われる神聖な儀式には必ず神様がそばにいるはず!バリの人たちはそう感じているはず!ならば、ソキさんの描く神様と人々の暮らしをダイキくんと一緒に見たい!!、そう思ったのです。

このことを坂本様に最初にご連絡したのも秘密のお願いでした。私の心の中で描いているイメージが上手く伝わるか?不安でしたが、ソキさんの描いた下絵を見て、「凄い!!私達日本人が心で感じる目には見えないもの。。それは、バリに住む人々も同じなんだ」と確信しました。

益々、バリ島に憧れる毎日です。

何だかじーんと来ました。前回のブログを読んでくださったN様からは、ソキさんの後日談、「神様にお祈りを捧げました。すると間もなく、頭の中に構図のイメージを授けられ、タイトルが決まったのです」について、次のような感想をいただきました。

完成した作品を前に解説をしてくれるソキさん

完成した作品を前に解説をしてくれるソキさん

バリ人らしいですねー!
これは大げさな表現とかではなく、事実なんだと思います。
バリ人的な言い方をすると、「神様が降りてきた」でしょうか。

私もどっぷりバリ人生活をして分かってきたことですが、日本人の神社で手をパンパン叩いて願い事をするのとは違い(笑)、神様というか、目に見えないものと密接に関わっているんだなーと実感しています。

多分日本もそうだったはずなんですが、みんな忙しくて、目に見える物しか見なくなってしまったのでしょうね。

 目に見える物しか見なくなってしまった…、そうですね、本当に。私がバリを好きになり、この「バリアートショールーム」を始めたきっかけも同じでした。様々な情報が慌ただしく流れていく毎日、だけど、ここに来れば、ずっと変わらない大切な何かがちゃんとある、そう感じていただける場所になればと、未熟な歩みではありますが、日々頑張っています。そんな私の思いを感じて下さってか、tomu様から一番最初にご相談いただけたことを本当に嬉しく、光栄に思っています。

そんなソキさんの最新作『LAHIR, HIDUP, MEMINGGAL 〜 誕生、生活、死〜』、どうぞご一緒にご鑑賞ください。

<関連ページ>

ソキ画家&作品紹介 バリ島の美術館に選ばれた作家、バリを代表するアーティストです

ソキ渾身の最新作 『LAHIR, HIDUP, MEMINGGAL 〜 誕生、生活、死〜』

 

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2014.7.19

作家×注文者が創り上げた「一枚の絵」(前編)

こんにちは、坂本澄子です。

SOKI-80x100-b

前作の『BALI ISLAND』。80x100cmの壮大なスケールで
祭礼の島バリを描いてもらいました。

またひとつ、新たな感動が生まれました。以前ブログで注文制作の様子をご紹介したソキ(I KETUT SOKI)『BALI ISLAND』、覚えておいででしょうか。展示会にも特別に展示し、多くの方に見ていただきました。

同じお客様から「まだ具体的なイメージではないんですけどね…」と次の制作のご相談を受けたのは4月頃のこと。

「人生の祭礼を一生のつながりとして表現しながら、常に近くで見守る神々をソキさんが描くとどうなるのかな〜、なんて思っています」

「・・・?!」

最初は正直こんな感じでした。そして、お電話とメールとでやりとりを重ね、お客様がイメージされていることがおぼろげながらわかってきました。誕生→成長→成人→結婚→出産→死と続く人の一生とそれぞれの節目で行われる祭礼、そして、それらを見守る八百万(やおろず)の神々。前回の作品がバリ島各地の文化・風習を描いたものだったのに対し、人の一生と神々の役割いう視点で描くもうひとつのバリ島。それがお客様のご要望でした。

ソキさんの大きく力強い手。この手が絵筆を持ち作品が生み出されます

ソキさんの大きく力強い手。
この手が絵筆を持ち作品が生み出されます

しかし…、これをソキさんに何と説明したらよいものやら…。ちなみに、ソキさんは英語は簡単な挨拶程度しかできませんし、かたや私はインドネシア語、バリ語はこれからという状態(^o^; そこで協力してくださったのが、現地パートナーの木村さんとテギさんでした。テギさんは私がウブドでいつも泊まる宿のご主人、以前日本の着物の絵付けの仕事をされていたことがあり、日本語はお上手。しかも、奥様はソキさんの姪という関係なのです。おふたりがお客様のイメージを的確に理解して下さったおかげで、ソキさんからは「初めての試みですが、是非取り組んでみたいと思います」と意欲的なお返事をもらうことができました。

Soki 25-5-2014

下絵の途中。木村さんが何度もアトリエに足を運んでくださり、お客様の意図を再度お伝えして修正をお願いしたことも。

この後も大事な局面が続きました。ソキさんは構想にかなりの時間をかけておられましたが、なかなかこれといったイメージが浮かばない様子。 最初の一ヶ月はスケッチを繰り返す、いわば生みの苦しみでした。

この時のことを後から伺うと、ソキさんは笑って「神様にお祈りを捧げました。すると間もなく、頭の中に構図のイメージを授けられ、タイトルが決まったのです。それからは、下絵の制作から彩色までスムーズに進めることができましたよ」

ソキさんのつけたタイトルは『 LAHIR, HIDUP, MEMINGGAL (誕生、生活、死 ) 』でした。 (次号に続く)

<関連ページ>

SOKI 作家&作品紹介ページ バリ島の主要美術館が作品所蔵する画家の素顔に迫ります

ご注文制作の流れ お客様のイメージをこんな風に作品にしていきます

ヤングアーティスト・スタイル オランダ人画家アリー・スミットから受けた影響とは

 

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2014.7.16

幻想的な光の創り出す世界

 

地底湖の上に渡した通路。足下には深さ35mのドラゴンブルーに輝く世界が

地底湖の上に渡した通路。足下には深さ35mのドラゴンブルーに輝く世界が

こんにちは、坂本澄子です。日曜日から東北地方を旅しています。西の生まれの私、実は東京に来るまで地図で青森の下は何県?!みたいなオハズカシイ状態だったのですが、一度旅してからは温泉がいっぱい、風光明媚な緑と水の風景、様々な郷土料理と、すっかり東北地方の魅力にはまってしまいました。

今回訪れたのは岩手県。世界遺産の中尊寺、毛越寺など、奥州藤原氏が三代に渡り栄華を誇った歴史をたどり、世界有数の透明度と水深(98m)を持つ地底湖で知られる龍泉洞で自然の神秘に触れ…と、ひとつひとつご紹介していたらきりがないくらい。

そんな中、印象的だったのがつなぎ温泉で行った「ホタル鑑賞会」。ホタルと言えば、遠い記憶にある、おばあちゃんちの田舎で見た畦道を舞う幻想的な姿、そんななつかしさにつられて参加してみました。場所は御所湖というダムで塞き止められてできた人造湖の近くにある菖蒲園。いました!その数、百匹近く。光を放ちながら飛ぶのはわずか一週間。この間にパートナーを見つけ、水際の苔などに産卵しその一生を終えます。この光るという行為は多くのエネルギーを消費するので、夜通しずっと光っているのではなく、一晩に約3回、だいたい光る時間が決まっているそうです。ちなみにホタルは身体の後ろの下の部分が発光し、アピールするかのように高く飛ぶのはオス。この光景を写真でお見せしたかったのですが、淡いホタルの光は、1分間シャッターを開けっ放しにしないと撮れないそうで、残念ながら私のデジカメではムリでした。

ところで、日本ではホタルは光るものですが、世界に2000種類いると言われるホタル、海外ではむしろ光らないものが多いそう。つまり、見た目は小さめのゴキブリ。あ〜、日本に生まれてよかった。ちなみに、バリ島のウブドで見たホタルも光っていました。そのあたりの田んぼに一匹、また一匹という感じで普通に見られます。しかし、ウブドも開発が進んでいますから、そのうちどこでもというわけにはいかなくなるかも知れないですね。

星空が垂れるようなホタルの乱舞やドラゴンブルーに染まる龍泉洞の光の織りなす光景を見ていると、心豊かなイマジネーションの世界に思いを馳せることができます。見たままを写真に残すことは容易ではありませんが、絵にはその時の思いを込めて残すことができます。子供の頃の情景を幻想的な光と影のコントラストで表現したウィラナタの作品にもまさにそれを感じます。

bnr-area-02一枚の絵を前に感じるままを語り合う、そんな交流もできるイベントを企画しました。もちろん、ひとりでゆっくり鑑賞するもよし。一枚の絵がどれだけ多くのものを与えてくれるかを是非見に来てくださいね。7月29日(火)16:00〜20:00@Art Space RONDO銀座。詳しくはこちらを。

<関連ページ>

ウィラナタ新作鑑賞会『光の光景』開催要領 

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2014.7.12

林檎が語りかける”アートのある暮し”

こんにちは、坂本澄子です。台風が去っていったら急に蒸し暑くなりました。いよいよ夏本番ですね。

昨日の夜、東京メトロ有楽町線で帰宅中のこと。「今夜はとても月がきれいです。美しい月を見上げながら気をつけてお帰りください」と車内アナウンスが。なんと風流な車掌さん!地上に出た後、思わず夜空を見上げると、雨上がりの雲が途切れたところからほぼまんまるなお月様がニコニコ顔を出していました。

昨日は銀座のArt Space RONDOに、7月29日のウィラナタ新作鑑賞会『光の風景』の打合せに行ってきました。その前日に届いたウィラナタの風景画は想像を超える出来映えで、ギャラリーのどこに展示しようか、照明はどうしようか、どんなお話をしようか…と、オーナーの丸山則夫さん、小林清美さんと楽しい会話で盛り上がりました。

153_APPaLE展実は、昨日RONDOにお邪魔したのはもうひとつ目的がありまして、金曜日からRONDOで開催中のAPPaLE展「りんごの里帰り」に、半年間手塩にかけて磨いた木の林檎を持っていったのです。通常、彫刻家が作品を最後まで仕上げますが、この企画、最後の磨きの工程を購入してくれた人に委ねるというものなのです。作家は八ヶ岳の麓に住む彫刻家の藤岡孝一さん。153_磨かれる前林檎は左の写真のようにまだゴツゴツと荒削りな状態で、8段階のサンドペーパーとオイルのキット付きで購入者に引き継がれます。「りんごの里帰り」というのは、林檎たちがRONDOに戻ってきて一堂に会するという訳です。

帰ってきた林檎たちを見ると、木の種類や磨き方で成長した姿が随分違います。里親はみんな「うちの子が一番可愛い」と親バカな状態(^o^;なんですが、仕上げにクルミの油を使った人もいれば、庭に咲いた椿のつぼみを砕いて抽出したという手製の椿油で磨いた人もいて、それぞれにこだわりが。IMG_3068オイルは最初のうちぐんぐん入っていきますが、どこかで飽和点に達するみたいで、全体がしっとりと潤った感じになります。

ちなみに、私は昨年12月に楢の木でできたちょい色白の林檎を購入し、オリーブオイルで磨きました。縦横に走った線が楢の持ち味だそうで、繊細な模様が何とも言えない味わいを出しています。この林檎、他と比べると一回り小さめ(右写真の中央)ですが、掌で包んだ時の感じが、手の小さい私にはちょうどいいんです。最初はゴツゴツ、ザラザラしていた表面が磨きが進むにしたがって、滑らかに、そして最後にはツルツルになる。そんな触感の変遷をこの半年間楽しんできました。機会あるごとにそっとなでてやると、これからもさらに表情が変わっていくのだそう。これもアートと暮らすことならではの楽しみですね。

このユニークな企画は、RONDOに集まってくる作家やお客さんたちとの何気ない会話から生まれました。最後まで自分でやらなきゃ気が済まない作家も少なくない中、藤岡さんはとても柔軟に受け止めて、「じゃあ、やりましょうか」と言ってくださったそう。RONDOにはそんな心と心、感性と知性が触れ合うような不思議な雰囲気があります。月に3〜4回、こんな独自性のある企画展示を行っており、今回ご一緒できることをとても楽しみにしています。

このステキな空間を『光の風景』はどんなふうに彩ってくれるでしょうか。ウィラナタ新作鑑賞会『光の風景』、どうぞお気軽にお越しください。7月29日(火)16:00〜20:00@Art Space RONDO 銀座、詳細はこちらです!

<関連ページ>

Kocoza / Art Space RONDO Facebook page 

ウィラナタ新作鑑賞会『光の風景』開催要領

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2014.7.9

12年ぶりに我が家を訪ねて思ったこと

こんにちは、坂本澄子です。

いきなり私事で恐縮ですが、東京に来る前に20年ほど関西に住んでいました。その頃住んでいた家を売却することになり、昨日契約に行ってきました。その家を見るのは引っ越して以来ですから、かれこれ12年ぶり。あのあたりは当時とあまり変わっておらず、懐かしい景色に思わず胸がじーん。「駅からの坂がキツかったなあ」などど、思い出をなぞりました。決して平坦な道ではなかったけれど、それは今の自分に繋がっているんですよね。

相手の方とは初めてお会いしたのですが、同世代の感じのいいご夫婦。嬉しかったのは、その家を買うことを決めて下さった理由が、以前私がその家を買った時と同じ理由だったこと。しかも、「初めて見に来たときに鴬が鳴いたのがとても印象的で、その後も色々物件を見ましたが、やっぱりここに決めようって思いました」と、背中を押された理由まで一緒だったのにはビックリ、そしてとても温かい気持ちになりました。同じ感性を持った人に家を受け継いでもらえる、これもきっと何かのご縁ですね。

変化や多様性に順応し受け入れることが重視されることの多い昨今、こんなふうに変わらないものにほっとする気持ちが、ややもすると進歩がないと受け取られることがあります。人から言われなくても、自分で何となく後ろめたい気持ちになったりとか…(^o^;  でもね、バリの人たちの生き方を見た時に、変わらないものを自分の中心軸として持つことの大切さをいつも思い出させられるんですよ。

刈り取り直前の田んぼウブドなどの農村部に行くと、今でも共同体(バンジャール)を基盤とする伝統的な生活が色濃く残っています。農業に従事していない人であっても祭礼は共同で行いますから、月に何度かは仕事を休んで寺院に出掛け、大きな祭礼の前などは1ヶ月以上も前から準備を行います。そのため、旅行などで島の外に出かけることはあまりないですし、ホテルやレストランなどで働いているのは(労務管理上の理由から)主にはジャワから出稼ぎに来ている人たちです。それくらい、徹底しており、そこには「神々の声に耳を傾け、自然と共存する」という共通の世界観があるように思います。

同じ農耕民族の日本も、少し前までこれに似た価値観がありましたよね。日本人がバリの田園風景画を見て「懐かしい」と感じる理由のひとつがそれではないかと思います。私も初めてバリに出会った時、そう感じました。過去を懐かしむのは一見立ち止まっているように思えるかも知れませんが、歩いて来た道程を振り返ることにより、現在の立ち位置と進むべき道を再確認する行為だとも言えるのではないでしょうか。

bnr-area-02バリの風景画家ウィラナタは、10歳の時に亡くなった父親との思い出から呼び起こされる光の風景を描き続けています。感傷的な想いからというよりも、少年時代の原風景が、現在の画家自身の心の拠り所となり、創作活動においてはインスピレーションの源泉となっているからです。いつもはぶっきらぼうな彼が父親のことを語る時の目は、静かな情熱に満ちています。

そんな画家の素顔を少しでもお伝えできればと写真とビデオを録ってきました。7月29日(火) ウィラナタ新作鑑賞会『光の風景』でご覧いただきたいと思っています。また、作品の繊細な美しさを現物で見ていただきたいので、その日まで敢えてウェブにはアップせずその日を初公開とする予定です。(30日にウェブにも掲載します)

アートと対面し、時の経つのを忘れて一人静かに楽しむのもよし、他の人と会話を楽しむのもよし。そんな空間をご用意してお待ちしています。20時までやっていますので、是非お仕事帰りにお立ち寄りください。

<関連ページ>

ウィラナタ新作鑑賞会『光の風景』 開催概要

 

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2014.7.5

街の景色も一期一会

こんにちは、坂本澄子です。今日はバリ関連のお話ではないのですが、ちょっといい一日を過ごせましたのでその話を。どうか最後までおつきあい下さいね。

朝から裸婦のスケッチ会に出かけていました。15人ほどが出席、真ん中にモデルさんを囲むように、それぞれ思い思いの位置にイーゼルを立て、スケッチブックに向かいます。クロッキーといって、5分描いて休憩、そしてまたポーズを変えて5分、という速写を5回繰り返した後、その中からひとつ固定ポーズを決めて本制作にかかります。

毎回こういった裸婦スケッチに参加すると、最初はモデルさんの脱ぎっぷりにドキドキしながらも、すぐに人間の身体の美しさに夢中になってしまいます。よぉく観察すると、しなやかな筋肉が肌の表面に微妙な陰影を生み出し、その下にある骨格をも想像させます。難しいのは脚。頭のてっぺんから足の先まで描いていて、脚の描き方ひとつで、とても魅力的になったり、逆に残念な結果になったりします。

固定ポーズは座り姿に決まり、私は後ろから描きました。出来映えですか? ふふふ^_^

雨降りの朝さて、朝、雨降りの街を歩いていてとてもステキな風景に出会いました。都会の真ん中(東京メトロ南北線「六本木一丁目」駅から10分くらい歩いたところ)とは思えないほどのしっとりとした緑。紫陽花が最後の美しさを見せていました。

今年は街でたくさんの紫陽花を見ました。子供の頃はじとじと雨降りとカタツムリのイメージにあまり好きな花ではなかったのですが、大人になるにつれいいなあと思うように。私のような人が多いのか、街を歩いていてもいろんな種類の紫陽花を見かけるようになりました。今朝のように雰囲気のあるステキな場所であることが多く、その度にiPhoneを取り出して撮っているものだから、約束に遅れそうになるわ、曲がるところを間違えて道に迷うわで、おまぬけぶりが絶えません。(もともと「天然が入ってる」とよく言われます)でもね、こんなきれいな花たちに出会うとつい^_^

IMG_2910 IMG_2911  IMG_2914 IMG_2915

もうすぐ梅雨明け、まぶしい夏がやってきますね。

 <夏のイベントのご紹介>

7/29(Tue) ウィラナタ新作鑑賞会『光の風景』@Art Space RONDO 銀座

ただ1枚の絵を前に自由に語り合う『一枚の絵』を開催します。16:00-20:00、出入り自由ですので、お気軽にお越し下さい。画家の父の思い出を光の風景に描いた心に響く作品、ぜひご一緒に見てくださいね。

 

 

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2014.7.2

【特別企画】7/29 ウィラナタ新作鑑賞会

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こんにちは、坂本澄子です。早いものでもう7月ですね。梅雨が開けたら、そこは太陽が燦々と輝く夏。

さて、先日もお伝えしました通り、9ヶ月待ち続けたWIRANATA(ウィラナタ)の新作がついに日本にやってきます。それをあなたと一緒に鑑賞したい、そんな思いで、7月29日(火)、いつもとちょっと違うイベントを企画しました。題して『一枚の絵』!!!

会場にはこの作品一点だけを展示します。それくらい見応えのある作品です。照明やインスタレーションにもご注目下さいね。そこから感じられることはきっと各人各様でしょう。それを自由に語り合ってみませんかという企画なのです。

知らない人同士だと緊張されますか?!

大丈夫です。少しですがワインもご用意しています。ゆっくりお寛ぎ下さい。また、時間内はいつ来ていただいても構いませんので、出入り自由でお気軽に。

という訳で、こんな方のご来場をお待ちしています。

  • 「バリアートショールーム」のブログを読んで、いいね!と思って下さった方
  • 絵をもっと身近に楽しんでみたいと思っておられる方
  • ウブドの風景を見て心に感じるものがある方

写真 (5)会場は知る人ぞ知る銀座の「奥野ビル」。昭和7年に建った元高級アパート。写真の通り、風情のある建物には小さなギャラリーがいっぱい。それぞれ工夫を凝らしたこだわりの作品を展示しています。このビルの5FにあるArt Space RONDOで行います。RONDOのオーナー丸山さんはご自身もステキな写真を撮られます。以前のブログでご紹介していますので、あわせて読んでみてくださいね。

ついでに他のギャラリーを覗いてみるもよし、手動扉のエレベータに乗るもよし、夏の夜のちょっといい時間を過ごしに来てくださいませ!

詳しくはこちらを。

<関連ページ>

ウィラナタ新作鑑賞会 開催概要

 

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2014.6.28

新コンテンツご紹介② 『バリ島の美術館に選ばれた作家たち』

こんにちは、坂本澄子です。

end-banner前回に続き、「バリアートショールーム」の新コンテンツのご紹介をさせていただきます。今日は『バリ島の美術館に選ばれた作家たち』。

日本人ほど美術鑑賞が好きな国民はいないそうです。2012年の世界の美術展入場者数ランキング(*)によると、1日あたりの動員数で断トツの1位は1万573人の『マウリッツハイス美術館展〜オランダ・フランドル絵画の至宝』(東京都美術館)。フェルメールの「青いターバンの女」を一目見ようという人々が詰めかけ(スミマセン、私もその一人でした)、作品の前は何重にも人垣が。その向こうにある作品をつま先立ち&首を亀のように伸ばして見たのを覚えています(^o^; 他にも『ボストン美術館展〜に本美術の至宝』(東京国立博物館)が6位にランクインしていました。(*) 出典:イギリスの月刊誌「The Art Newspaper」

これほど美術好きにもかかわらず、自宅にペインティング作品を飾っている人にお目にかかることはあまりありません。あっても大抵はポスターや複製版画(リトグラフ、ジグレー、シルクスクリーンなど)です。ですから、普段仕事に厳しい上司の自宅に招かれ、そこに本物の絵が飾ってあったりなんかすると、思わず「!」。ちょっと照れたように語る姿に、仕事一辺倒ではない新たな一面を見て、人間としての幅のようなものを感じたものです。

アメリカでは、普段の生活のなかで絵を楽しむ人の層が桁違いに厚いと感じます。若手アーティストの作品などは、ちょっと頑張れば買える値段です。気に入った作品があれば気軽に購入でき、一点持つとその画家を応援したくなり、二点、三点と増えていくうちに、いつの間にか個性的なコレクションになっていたりします。そして、そのことを通じて見る側にも「作品を楽しむ力」が養われていく、そんなステキな絵とのつきあい方が富裕層だけでなく、広く一般に浸透しているように思います。

IMG_3199さて、「バリアートショールーム」で作品を購入して下さったお客様を見ると、50代前後のおとな世代が大多数を占めています。これまでの人生を通じてご自身の内面に様々な蓄積があり、よい作品を見て受容できる土壌が培われているためではないかと思います。

そんな方々に胸を張ってお勧めしたい作品を集めたのが、この「バリ島の美術館に選ばれた作家たち」のコーナーです。いずれもバリ島の主要美術館で作品が所蔵されているアーティストで、作品に定評があり、また二次流通に於いても、絵画オークションで安定した価格で取引されています。これなら、「そろそろ本物の絵を持ちたい」とお考えのおとな世代にも、ご安心いただけるのではないでしょうか。

ブログ152_絵を鑑賞する夫婦今回のリニューアルでトップ画像も替えました。夕食後のリビングで絵を見ながら語り合うカップルの姿です。実はこれ、ウェブデザイナーのトツカさんと侃々諤々の議論があった部分。50歳前後のお客様というのは男性が多いのです。大抵は奥様と一緒に来られるのですが、選んでいるのは明らかにご主人の方。ウチに飾るとなると当然ご家族の同意も必要でしょうから、一応相談しておく程度ではないかと、むしろひとりグラスを傾けながら絵の風景に溶け込むように鑑賞される姿を想像していました。

ところがトツカさんは、「絵があることで会話が生まれ、コミュニケーションの潤滑油をアートが担っている感じを出しましょう」と言われるんです。「うーん、そうですかね〜^^;」と私。正直なところ、女性の私から見ると「今さらダンナと?」という感じがしたのです。何度も議論を重ねた結果、これまで責任がずっしりとのしかかり、走りっぱなしだったオトウサン。色んなものが一段落して「これから二人で」との思いが確かに強いかもと、最終的にこのビジュアルを使用することにしました。

ソロ充(ひとりで充実した時間)もいいですが、時には、アートをきっかけに奥様・パートナーと心豊かな時間を過ごしてみてはいかがでしょう。自分とは違う見方、感じ方に触れることで、その作品が2倍楽しめますし、もしかすると、大切な人の新しい一面を発見できるかも知れませんよ^_^

「バリアートショールーム」の作品は実物を見て、ご購入いただけます。定期的に展示会を行っていますが、適当な時期にない場合はお気軽にお問い合わせ下さい。

 <関連ページ>

「バリアートショールーム」トップページ

『バリ島の美術館に選ばれた作家たち』

 

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2014.6.25

新コンテンツ紹介① 『フィーチャードアーティスト』

こんにちは、坂本澄子です。どんより梅雨ですね〜。でも、時折顔を見せるお日様はもう夏の日差しです。体調を崩されないよう、お身体に気をつけてお過ごしくださいね。

bnr-area-03さて、既にご覧いただいた方も多いと思いますが、先日「バリアートショールーム」のサイトリニューアルを行いました。ここで改めて新コンテンツをご紹介させていただきます。今日は「フィーチャードアーティスト」を。

これはもともと、どうやったら画家の人となりや制作に対する思いみたいなものをお伝えできるかと、ずっと試行錯誤していたことから来ているんです。アトリエを訪ね、画家と直接話をすれば、「あ、だからこの作品なんだ」と背景にあるものを含めて理解することができるのですが、それを限られた文字数で伝えるとなると、これがとても難しいのです。例えば、第一回で取り上げたアンタラさんは、自然やそこに宿る神々に対する「敬虔」「感謝」、家族や隣人に対する「愛情」といった正の感情を表現していますが、そういわれても、ピンとこないし、ありきたりなことのようにも思えます。ところが、彼の新しいアトリエを見たとき、「彼が表現したかった世界というのはこういうことなのか」というのがものすごく伝わってきました。この感じを何とか伝えられないものだろうか。

そんな私の葛藤にヒントを下さったのが、イラストレータ兼ウェブデザイナーのトツカケイスケさんです。トツカさんはいい感じの今どきの若者で、シンプルなデザインの中にもしっかりと主張のあるサイト作りが得意。立ち上げ以来ずっと「バリアートショールーム」のサイトデザインでお世話になっており、最初に打合せしたときから、「毎回1人ずつアーティストを取り上げてシリーズ物にしてはどうですか」と提案してもらっていました。それから1年経ち、どうせなら動画付きでやろうということに。

アトリエから眺める田園風景ビデオ録りは「ビデオなんてカメラについてるのくらいしか持ってませんよ〜」という現地パートナーの木村さんに無理矢理お願いし、アンタラさんに半日密着。とどいた画像をトツカさん率いる制作チームが2分のショートムービーに編集してくれました。田園風景を眺めるアンタラさんのアトリエやモデルを前にスケッチしている様子など、ぜひ一度ご覧になってくださいね。

このコーナー、次はウィラナタソキと続き、新作の紹介を通じて画家の熱い思いを伝えていきます。あなたのお気に入りになると嬉しいです^o^

<関連ページ>

フィーチャードアーティスト第1回は若手作家として今最も注目を浴びているアンタラを紹介

アンタラ 画家&作品紹介

ウィラナタ 画家&作品紹介

ソキ 画家&作品紹介

 

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2014.6.21

一枚の絵が与えてくれるもの

こんにちは、坂本澄子です。

恋人や気の合う友人と絵を観に行くと、ふたりとも同じ絵を気に入ってるんだけど、惹かれた理由や感じ方が異なること、よくありますよね。どちらかがそれを口にすると、「へえ、そんな見方をしていたのか」と感心し、その絵に対する理解がさらに深まったり、その人の知らなかった一面を発見したりするわけです。これによって絵を見る楽しみが何倍にもふくらみます。

ありがたいことに、私にもそんな友人がいます。私が感覚的、直感的に受けとめるのに対して、向こうは、例えば美術館だと、その絵画展のコンセプトや作品の時代背景などの解説がありますが、そういうのをちゃんと読んでいて、「同じ場所を描いているけど、さっき見た絵とは色遣いが違うよね」といった感じで、その背景にあるものを教えてくれるのです。すると、漠然と感じ取っていただけのものが、「だからこんな沈んだ色使いなのか…」とその意味合いがより鮮明に浮び上がってきます。

桜習作そういった会話が面白いのは、◯◯のように見えるんだけど、これは何なのだろうというときです。私自身もこんな経験をしたことがありました。夜桜を描いた背景の処理に、藍色のアクリル絵の具の上から、色鉛筆を使って水色をかけました。月夜の明るさを表現する意図があったのですが、色鉛筆は芯が固いため、どうしても鉛筆を運んだ方向に線のような跡が残ってしまいます。これがある人には水面に映った月の光に見えたようです。ところが、別の人には全くそうは見えなかったらしく、「え、どこどこ?!」

これが写真とは違う絵の魅力のひとつだと思うのです。その人の目のフィルターを通じて、どんなふうにも見えるし、絵の具には凹凸があるため光の当たり方ひとつで印象も随分変わります。同じ絵を見た人どうしのそんな会話は、作品に対する見方を深め、さらに立体的な見方を可能にしてくれると思います。

そんな会話を楽しんでいただきたいと、7月29日(火)、「一枚の絵」を前に語り合う場を企画しました。初めて会ったどうしでも意気投合なんてことになるかも知れません。「一枚の絵」はWIRANATA(ウィラナタ)の新作を展示します。バリ島の棚田の風景を光で表現した作品、あなたはどんな見方をされるでしょうか?

詳しくはもうすぐご案内しますので、夕方はあけておいてくださいね!

 

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