バリアートショールーム オーナーブログ
2014.6.18

銀座のレトロな空間が織りなす『一枚の絵』

こんにちは、坂本澄子です。

ウィラナタさんの新作がついに完成しました。7月29日(火)、特別鑑賞会『一枚の絵』を銀座のArt Space RONDOにて開催します。

丸山則夫作品展『季節の瞬間3 春』は6月21日(土)まで 11:00〜18:30@Art Space RONDO で開催中

丸山則夫作品展『季節の瞬間3 春』は
6月21日(土)までArt Space RONDOで開催中

Art Space RONDOは、昭和7年に建てられた元高級アパートを改造したビルの5階にあります。知る人ぞ知るこの奥野ビル、扉が手動式のエレベータや階段の佇まいは、まるで昭和初期にタイムスリップしたかのような錯覚さえ覚えます。

RONDOのオーナーの丸山則夫さんは若手アーティストを発掘し、インスタレーションなどで工夫を凝らした展示を行う傍ら、自らも季節の瞬間を切り取ったかのような素晴らしい写真を撮るアーティストでもあるのです。ちょうど今週土曜日まで開催中のご自身の作品展『季節の瞬間3 春』のご紹介方々、そのすてきなお人柄と今回のジョイント企画についてお話したいと思います。

151_季節の瞬間3展示中の作品は、丸山さんが毎朝3時に起きて、空が白み始めてから完全に夜が明けるまでの約2時間、ご自宅近隣(多摩市)を歩きながら、光の変化を捉えたもの。もともと愛犬の散歩のために早起きを始めたのが、天国へ旅立った今も写真を撮ることでその習慣は続いているのだそうです。毎朝Facebookにアップされる写真を楽しみにしている人たちのためにますますやめられなくなったとちょっぴり嬉しそう。実は私もそんなファンのひとりです。幻想的な空の色、光の移ろい、花や樹々、そして時折出会う動物たちを独自の視点で写し取った作品の凛とした静かな表情は、ウィラナタさんの作品にも通じるものがあります。

柔らかな光に演出された空間と丸山則夫さん

柔らかな光に演出された空間と丸山則夫さん

さて、冒頭の『一枚の絵』ですが、このRONDOの異空間をたった一枚の絵だけのために使うという何とも贅沢な展示。そして、その時間と空間を共有した人たちでその作品から感じることを自由に語り合う、丸山さんプロデュースのイベントです。前回は日本人作家による一枚の抽象画で行ったそうですが、部屋の照明を落として作品を浮び上がらせることにより、全員の意識が絵に集中し、様々な方向へと会話が広がりました。今回も、初めて会った同士が一枚の絵を触媒にイマジネーションを広げ共有する、そんな上質な時間になればいいなと思っています。

大雨でお客さんが来なかった時、ひっつき虫で壁に描いた絵

大雨でお客さんが来なかった時、ひっつき虫で壁に描いた絵。こんな所にも丸山さんのセンスが窺える

ウィラナタさんの新作、すごくいいです。9ヶ月待った甲斐がありました。きっとおひとりおひとりが絵の風景の中に入り込んで、早朝の清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んでいただけると思います。70cmx100cmの大作が語りかけるものを五感で感じてくださいね。

この『一枚の絵』は7月29日(火)16:00から開催、お仕事帰りにお立ち寄りいただけるナイトギャラリーにします。出入り自由ですのでお気軽にお越しください。詳しくは近日インフォメーションにてご案内します。

 

<関連ページ>

丸山則夫 Facebook page 『季節の瞬間』 すてきな写真が毎朝こちらにアップされてます

Art Space RONDO

奥野ビル

 

 

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2014.6.14

この100年で日本人が得たもの、失ったもの

こんにちは、坂本澄子です。

現地パートナーの木村さんと一昨日Skypeで電話会議をしたときのこと。パソコンに内蔵されたカメラを通じて顔を合わせ、その日タブレットPCで録ってきてもらったばかりの画家の制作の様子をビデオ画像で見ながら打合せしました。夜も10時をまわり、木村さんもビール片手にパソコンに向かっています。ITの御陰で、バリ島にまで足を運ばなくてもかなりのことができるようになりました。

こんなふうに情報はやって来て、そして流れていきます。時間あたりに得られる情報は膨大な量、そんな生活が当たり前になっていたときに、Facebookで友人が、100年前の日本の写真を紹介した記事をシェアしているのを見て釘付け。ご覧になった方も多いと思いますが、昨年イギリスでオークションにかけられた100年前の日本の写真を紹介したもので、明治時代に活躍した写真家・玉村康三郎が1910年にアメリカの出版社からの依頼で撮影したのだそう。

「これ、これ、まさにこれだよ〜」これがその時の素直な感想です。

150_読書する女 

これらの写真は欧米人を魅了すると同時に、日本人である私たちをも惹きつけていました。その理由のひとつは、ゆっくりと流れる時間ではないでしょうか。冒頭の例のように「流れていくもの」が溢れる現代に対して、ある意味「止まったもの」を提供していると言えそうです。

150_紅葉狩りそしてもうひとつは想像力。小説ひとつ読むにしても、動画や写真の説明があるわけではなく、文字だけを追い、想像力を逞しくすることで、頭の中で情景を組み立てて理解するわけです。また、恋人に手紙を書くにしても、書いては破り、また書き直し、ようやく出した後は返事が来るまでの長いこと。相手の気持ちを想像しながらやきもきし、心は振り子のようにあっちへ行ったりこっちへ来たり。ショートメールや電話でその場でやりとりするのとは、感情の振れ幅が全く違いますよね。そう思うと、100年前の日本人は今よりよっぽどアーティスティックな体験をしていたのではないかと思います。

150_雨の渡月橋そんなふうに時には「止まった時間」を持つことで、人間としての感受性や感性を取り戻すことも大切なのではないでしょうか。

いつもの何気ない風景にふと季節の移ろいを感じたり、物語を読んで主人公の心の動きに涙してみたり、音楽を聴いて心震えたり、、、

本物の絵を見ることもこれに似ているように思います。見る人のその時の心持ちによって、語りかけてくるものも違います。そして、それによって自分自身により深く向き合うことになるのです。そんな時間を日常の中で取り戻してみませんか。

「バリアートショールーム」はアートを基軸に心豊かに時を刻む暮しを提案していきます。ミュージアム作家による作品展『本物の絵と暮らそう』は今日が最終日です。会場でお待ちしています。詳しくはこちら

<出典>

Inside the Chrysanthemum kingdom

Old Photo of Japan

100年前の日本の写真、イギリスのオークションへ 

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2014.6.11

心の目のフィルターを通じて表現される絵

こんにちは、坂本澄子です。

6月10日にサイトの一部リニューアルを行いました。といってもまだ肝心のトップ画像の置き換えがまだなので完了ではないですが。これからバリアートショールームが目指すものを象徴するようなトップページにしたいと思案中なので、もう少しお待ちくださいね。

さて、今日は私の描いた絵をご紹介したいと思います。「バリアートショールーム」の主宰者がどのような思いで絵に向き合っているかを知っていただくことは、これから長くおつきあいいただくのに大切なこと…ですよね^_^

「月夜のミモザ」2010年 パステル

「月夜のミモザ」2010年 パステル

左の作品が公募展に入選した最初の作品。タイトルの通り、満月の夜に実際に見た光景にイギリスのクラシックカーを組合せました。選考委員からは車はいらないんじゃないの?と言われましたが、私的にはこの色の組合せが気に入っています。大きな樹いっぱいに咲き乱れるミモザの花は月の光を受けて黄金のような輝き。じっと見つめていると感性が研ぎすまされていくような感覚でした。

そうそう、「月光浴」ってお聞きになったことはありますか?日光浴が陽のエネルギーを与え活動を促してくれるのに対して、月の光は陰のエネルギー、心身を浄化させ、繊細な感受性を高めてくれる働きがあるのだとか。きっとそのせいですね。

『鳥を宿す木』2011年 パステル

『鳥を宿す木』2011年 パステル

最初の作品が樹だったせいか、それから樹を題材にすることが多くなりました。私の友人に変わったコがいて、近所の目黒自然教育園(目黒駅からわずか徒歩7分のところに自然がそのまま残された公園があります)をお散歩しては、お気に入りの樹に抱きついて、木の音を聴くのだそうです。何と彼女はその樹に名前までつけていました。その幹は女性の腕にちょうどよい太さで、大地から愛情をいっぱい受けて大きく枝を広げていました。残念ながら私は木の声を聴くことはできませんでしたが、大地と繋がり自然と一体になる感じは確かにありました。この経験を元に描いたのが『鳥を宿す木』です。

実はそれ以前、まだ関西に住んでいた頃、明石城のお堀端で落葉した木の枝で無数の鳥たちが眠っているのを見たことがあります。最初、遠目にモクレンが咲いているのかと思ったほど無数に咲く白い花のように見えました。それら2つの記憶が結びついて、木の声を聴きながら、守られるように眠る姿をイメージしたものです。

『きらきら』2012年 パステル

『きらきら』2012年 パステル

翌年は、当時勤めていた会社の前の街路樹をヒントに描きました。傾いた西日を受け、風に振えるたびに金貨のように煌めく紅葉があまりにきれいだったので、しばらく眺めていたくらい。「よっぽど会社が好きなんだね」とからかわれたのも、今となっては懐かしい思い出です。うちの長男(フレブル♂ 左下のクロいのがそうです)も登場させ、風に舞う落ち葉を追いかける姿を描きました。ところが、これを見た人からネコだと言われ大ショック。生き物を描く腕はまだまだ未熟です(汗)

絵を描くとき、いつも意識しているのが自然との繋がり。実際に見た光景が元になっていることが多いのですが、時の経過と共に熟成され、心の目のフィルターによって余分なものが取り除かれアウトプットされています。

初めてバリ絵画を見たときの感動や懐かしさは、自然とつながることから来ているのかも知れません。

「バリアートショールーム」、こんな私がやってます。6月14、15日開催の絵画展『本物の絵と暮らそう』@スマートハウジング豊洲まちなみ公園に遊びに来てくださいね。東京メトロ有楽町線豊洲駅から徒歩7分、駐車場100台完備なので車でのご来場もOKです。

<関連ページ>

ミュージアム作家による絵画展『本物の絵と暮らそう』開催概要

新コンテンツ1『バリ島の美術館に選ばれた作家たち』

新コンテンツ2『ピックアップ・アーティスト① アンタラ』動画も是非みて下さいね!

 

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2014.6.7

せっかくなので雨の日を愉しみましょ

こんにちは、坂本澄子です。

いや〜、よく降りますね。関東は3日に梅雨入りしたそう。

IMG_2893今日は住宅展示場とのタイアップで、ミュージアム作家による絵画展『本物の絵と暮らそう』に立ち会ってきました。バリ島の美術館に選ばれた作家たちの作品12点を展示しています。残念ながらこの雨で展示場に来場されるお客様自体が少なく、イベントに来られたお客様はわずか5人(^o^;  会場のご担当者も「お天気が悪いと、商談や契約など具体的な用事があって来場されるお客様ばかりで、そのままお帰りになるんですよね」と申し訳なさそう。

そう言えば、3月の展示会のときも雨だったなあとしょんぼりしていたら、お客様からメールが届きました。「今日はこの天気ですから多くの来場者は見込めないかもしれませんが、どこに新しい出会いがあるかわかりません。頑張りましょう。この雨を楽しむ為に紫陽花の鉢植えを持ち込んで、絵を描いてみたらどうでしょう!そちらに興味を持たれる方もいらっしゃるかも」と励ましていただきました。嬉しいです!

残念ながら、私は描いているところをお見せできるほどの腕前ではないので、お気持ちだけありがたくいただきました。実は、雨の日って嫌いじゃないんです。まだ実家に住んでいた頃、庭先を濡らす雨の音を聴いていると不思議と気持ちが落ち着いたものです。お天気がよいと、せっかくだから出掛けようとか、お洗濯しなきゃとか、あれもこれもとついつい欲張ってしまうんですよね。雨だと、「ま、いっか」と自分にやさしくなれる。普段頑張っているあなただからこそ、そういう日があってもいいんじゃないでしょうか^o^

という訳で、雨の季節を楽しんでいただくために、とびきりの紫陽花をご紹介します。写真の腕前はお許しいただくとして、日比谷公園で出会った咲いたばかりの紫陽花、なんともみずみずしいでしょ。

生まれたての紫陽花艶やかなピンクの紫陽花IMG_2826

 でも、明日は雨があがってくれるといいなあ。

ミュージアム作家による絵画展『本物の絵と暮らそう』、6月8日(日)、14日(土)15日(日)の11時〜17時@スマートハウジング豊洲まちなみ公園。ポスターではなく、版画(リトグラフ、シルクスクリーン、ジグレーetc.)でもなく、プロの画家の手による本物の絵の持つ魅力をぜひ受け取って下さい。

 

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2014.6.4

モデルハウスに潜入

こんにちは、坂本澄子です。

IMG_2836今週土曜日から始まる『本物の絵と暮らそう』展の打合せで豊洲まちなみ公園に行ってきました。展示を行うのはこの住宅公園のほぼ中央部にあるセンタースクェアのinformation棟。当初は壁展示だけの予定だったのですが、イーゼルを持ち込んでの展示もOKとなり、12点の作品をご覧いただけます。

今回の展示のコンセプトは『本物の絵』。複製画でも版画(リトグラフ、シルクスクリーン、ジグレーなど)でもなく、世界にただひとつの画家による肉筆の絵。しかも、「バリアートショールーム」がこだわっているミュージアム作家(美術館が作品所蔵する画家)の作品を揃えますので、初めての方はもちろん、これまでに見て下さった方もぜひまたいらして下さいね。絵は見る人のそのときの心持ちによって、随分印象が変わりますから^_^

7、8日は隣のコーナーでは世界のミュージアムグッズの展示をやってますよ。

IMG_0176-e1398001848292-2久し振りの住宅展示場なので、モデルハウスにもおじゃましてみました。この住宅公園はオープンして1年、豊洲駅から徒歩8分の広々とした敷地に18棟のモデルハウスがあり、都内にある住宅展示場としては別格の規模なんだそうです。

二世帯住宅も多く、別々の玄関は当たり前、適度な距離感を保つための工夫や車椅子でも移動できるバリアフリー仕様、さらには防犯上のちょっとした機能など、私たちおとな世代もこれからお世話になりそうな機能が満載です。また、住む人のライフスタイルにあわせて設計をするため、例えば、人をよくウチに呼ぶ人だったら、ダイニングテーブルの半分は掘りごたつふうの畳敷きにして、ちょっとたくさんの人が来ても詰めれば座れる…とか、ご飯食べた後、お父さんがゴロンとできるとか(ミサワホーム)、「あるある〜」と思う場面をバッチリ取り込めるのも、自由設計ならではですよね。

一戸建てと言うと、少し前までは30代後半の子育て世代が主な購入者だったのが、最近は定年を迎えた人がセカンドステージをどこでどんなふうに暮らすかという選択に入れるケースが増えているのだとか。私自身は、マンションって冬も暖かいし、近所づきあいにあまり気を使わなくていいし、2階に掃除機をかかえて上がらなくていいからラク…と、断然マンション派だったのですが、最近の住宅は気密性が高いし、お掃除ロボットもあるし。そして、何より自分の住む家を心地よいものにするために手をかける時間や住む街に愛着の目を向けることも、おとな世代の愉しみですよね。

あなたも住宅展示場って久し振りではないですか? ぜひこの機会にどうぞ!

ミュージアム作家による作品展『本物の絵と暮らそう』

 開催日:6月7日(土)、8日(日)、14日(土)、15日(日)  11:00〜17:00

 会 場:スマートハウジング豊洲まちなみ公園(センタースクェア)

 展 示:12点(ガルー、ウィラナタ、アリミニ、ラバ、アンタラ)

 

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2014.5.31

アートとビジネスの接点

こんにちは、坂本澄子です。

テラスでひと仕事6月上旬にサイトのリニューアルを行います。このブログの中でも何度かお話してきましたが、「バリアートショールーム」を今後どんな方向に持っていきたいのか、また、いくべきなのか、その構想にかなりの時間をかけました。

私自身、人生の後半戦に入り、今まで何かと急ぐことばかりで、まわりの景色を楽しむ余裕もなくつっ走ってきたけれど、これからは風化した感性を改めて磨き、心豊かな時を刻んでいけたらなあという思いが日々強くなってきました。おそらく同年代の方は多かれ少なかれ、そんな気持ちをお持ちではないでしょうか。

 先日、たまたま遠山正道さんのお話を聴く機会がありました。遠山さんと言えば、三菱商事時代に社内ベンチャーを興され、すっかりおなじみとなったスープ専門店”SOUP STOCK TOKYO”やネクタイブランドの”giraffe”、リサイクルショップ”PASS THE BATON”(名前がいいですよね〜)、などいくつもの新事業を立ち上げて来られた、実業家としていわばビジネスサイドの真ん中にいる人。その一方で、サラリーマンをやりながら個展を開いて70点の作品を完売した経験を持つアーティスティックな側面も。

コロニアル建築2その講演は右脳と左脳がバランスして、とても刺激的でした。ビジネスの中で4つ大切にしていることがある。それが、①必然性、②意義、③やりたいこと、④他にはない価値、というお話の中で、思わずグイっと引き込まれたのが、「根っこにある必然性(個人的な動機)」と「共感によって仲間を増やす社会的な意義」の違い、そして「やりたいこと」と「ビジネス」のバランスでした。

SOUP STOCK TOKYOの場合を振り返ると、遠山さんにとっての必然性は「いつか社長をやってみたかった」ことで、意義は 「スープを軸に共感を広げ、生活価値、文化的価値を創ること」だったそう。「ボクの場合はなかなかビジネスとして利益が出ないのが悩みで…」と言いながらも、やりたいことが次々あって楽しくて仕方ないといった感じでもうワクワク感全開です。

そこで、私の場合はどうなんだろうと考えてみると、初めてバリ絵画に出会ったとき、こんなにすばらしい、しかも版画ではない本物の絵が手の届く価格で買える(インドネシアと日本の物価の違い)ことに感激、「これほしい!友達にも教えたい」と思ったのが、「バリアートショールーム」を始めるきっかけでした。

刈り取り直前の田んぼアートには見る人の想像力をかきたて、記憶を呼び覚まし、そこを起点にイマジネーションの世界を広げる力があります。そんな奥深さを感じる作品に出会うたびに、「これがいつでも鑑賞できたらなあ」と思い、雰囲気だけでも持ち帰りたいと、ポスターとかポストカード、時には複製画を買っていましたが、やっぱり本物とは似て非なる物と思わされていたジレンマがありました。

そして、絵を扱うことを仕事にすれば、いつも絵に囲まれていられるという個人的な動機は、次第に本物のアートを毎日の生活の中でふつうに楽しむ文化を日本に作りたいという気持ちへと広がっていきました。つまり、「根っこにある必然性」を「社会的にも意義あるもの」に昇華する工程に今こうして取り組んでいるわけです。遠山さんのお話をお聞きして、改めてそのことに気づかされました。

今回のサイトリニューアルも、バリ絵画の物販に留まることなく、日常的にアートに触れることの楽しさを含めてお伝えしたいという思い、そしてさらには、生きること自体をもっと楽しみませんかという私からのメッセージなのです。それがあなたの心にも響き、共感してくだされば嬉しいです!

「バリアートショールーム」のサイトリニューアル、6月10日公開予定です。

 

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2014.5.28

バリ島の美術館に選ばれた作家たち① ウィラナタ

こんにちは、坂本澄子です。

6月上旬にサイトのリニューアルを行います。「バリアートショールーム」のフォーカスであるミュージアム作家にスポットをあて、ピックアップ・アーティストのコーナーでは毎回1人の画家を取り上げて「絵を描くことの源泉」に迫ります。

そのサイドストーリーということで、今日から美術館に収蔵されている彼らの作品を紹介していきたいと思います。第一回はWIRANATA(ウィラナタ)さん。バリの現代作家の中でもいま最も作品が手に入りにくい画家といってもいいでしょう。昨年10月に少し大きめの作品をお願いして、気長に待っているところです。これまで描いた作品およそ100点は完売。その中にはもちろん美術館で見たあの作品もありました。

ネカ美術館_ウィラナタ

ネカ美術館のバリ絵画展示館に飾られた作品『村の風景』

世界中から観光客が訪れるバリの美術館。そこで様々な人の眼に触れて、磨かれてきた作家たち。展示室の中でもひときわ存在感を放っていたのが、ウィラナタさんの作品です。実際に目の前にして見ていると、影があることで光がいっそう際立って見え、気持ちがシャキっとしてくるんです。いい意味での緊張感みたいなものが伝わってきて、特に逆境や深い孤独にあるとき、そっと寄り添ってくれるような安心感を感じます。

プリルキサン美術館_ウィラナタ作品

プリ・ルキサン美術館所蔵の『夕暮れのうなぎ穫り』

それでは、彼のこれまでの作品の中から私の好きなTOP3を紹介します。コメントは書きませんので、絵から伝わってくるものを直接感じ取ってくださいね。

Wiranata過去の作品1

家路につく(2010) 油彩 (70cmx100cm)

WIRANATA過去の作品

棚田風景(2010) 油彩/キャンバス (70cmx100cm)

WIRANATA過去作品2

朝の棚田風景(2008) 油彩 (80cmx140cm)

 ね、何だか頑張ろうという気持ちがわき起ってきません?

 こんなすごい画家の本物の絵がうちにあるなんて、ちょっとカッコよくないですか?

「本物の絵と暮らそう」展@スマートハウジング豊洲まちなみ公園(6月7、8日、14、15日)でウィラナタさんの作品の実物がご覧になれます。ぜひお越し下さい!

<関連ページ>

「本物の絵と暮らそう」展 開催のご案内

ウィラナタ作品ページ

 

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2014.5.24

美と笑顔を創る場所で

こんにちは、坂本澄子です。

バリアートショールームは「ウェブで調べて、実物を見て購入できる」をコンセプトに、絵画展を定期開催してバリのすぐれた作品をご紹介していますが、同時に共感できるパートナーとのコラボレーションによるアートイベントも開催しています。

その一つが住宅展示場とのコラボです。住まいが変わることは絵を持つきかっけのひとつ。昨年7月の絵画展で作品を購入くださったお客様も、「今まで外にばかり目が行っていたのが、結婚して家族ができてからは、最も落ち着く家という場所をさらに心地よいものにするために絵が欲しくなった」と言われていました。4人家族を4羽の野鳥に重ね合わせ、EBENの花鳥画を嬉しそうに選んでいかれた姿が今でも温かく心に残っています。→詳細はこちら

IMG_0176-e1398001848292-2そこで、東京オリンピック会場、築地市場移転と今もっともホットなエリアにある「スマートハウジング 豊洲まちなみ公園」で6月に絵画展を行います。園内には18棟の洗練されたモデルハウスが立ち並び、近くにはアメリカン・ディテールにこだわったBBQが楽しめる都市型アウトドアパーク”THE THIRD PARK”もあります。ぜひ、お出かけ下さいね。

アートフェア『本物の絵と暮らそう』

【日時】6月7日(土), 8日(日), 14日(土),15日(日)  11:00〜17:00

【場所】スマートハウジング 「豊洲まちなみ公園」 センタースクウェア 地図

 

IMG_2540

そしてもうひとつが、対象が女性に限られるため、これまでお伝えしていなかったのですが、独自の製品技術にバリのホスピタリティをプラスした” VS28スキンケアスタジオ BALI”を展開するEBMさんとのコラボ。銀座5丁目店でバリ絵画の展示を開催中です。

バリの雰囲気いっぱいの店内に作品がしっとりと溶け込み、お店のお客様からも、「バリの空気を感じる」「もっと色んな作品が見たい」と好評です。2フロアを吹き抜けにした異空間サロンで、ロビーではANTARAのBalinese Beautyが月替わりでお客様をお出迎え、お着替えに向かうコリドーをGAMAの熱帯睡蓮シリーズが彩り、さらにその奥の花鳥画へと続きます。

2階施術コーナーに飾られたBOLIの作品実は、EBMさんには私自身もう10年以上お世話になっています。身体や肌を委ねる場所なので、使用する化粧品の品質はもちろん、施術をして下さるスタッフの方の技術や知識も重要な要素になってきます。私は流れが滞りやすく、すぐにくすみが出てしまうのですが、ここではどなたに担当してもらっても素晴らしい施術で、今までがっかりしたことが一度もありません。今回こういった形でご一緒できたことをとても嬉しく思っています^_^

これからも楽しい共感、どんどんやっていきます。皆様からも是非お声かけてくださいね!

<関連ページ>

美肌を咲かせる化粧品会社 EBM

スマートハウジング 豊洲まちなみ公園

 

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2014.5.21

新作情報『ある少女の肖像』絵はどこまで人の内面に迫れるのだろう

こんにちは、坂本澄子です。

ウタリ彼女の名はウタリ、6月に高校を卒業する17歳で、私がバリに行く度にお世話になっている宿のご主人の娘さんです。

パンジャールと呼ばれる村組織が生活の基盤となるバリ島では、女性は夫を通じて初めてその組織の構成員と認められてきました。しかし、近年のインドネシアの経済成長はめざましいものがあり、女性たちの意識にも少しずつ変化が見られます。ウタリも卒業後は州都デンパサールにある看護師学校に進学し、将来は仕事を持って自立した女性になりたいと考えているんです。

1年前まだあどけなさが残っていた少女はいつのまにか大人の女性へと成長し、その決意と自信とが彼女の笑顔に新たな魅力を加えていました。

今回はそんなウタリの肖像画をANTARAさんに描いてもらいました。

 ウタリイーゼルに立てかけたスケッチブックに向かうと同時に、木炭ペンシルを持つ手がなめらかに動き始めました。その集中力たるやすごいものです。繊細な線、力強い線からあっと言う間に輪郭が現れ、目を描くとそこにいのちが宿りました。

 肖像画と言うと外見的に似ているかどうかに目が行きがちですが、写真とは違う絵ならではの魅力は、描き手(あるいは依頼主)の目を通じて見たその人が描き出されることではないかと思います。その意味で、ANTARA氏の描いたのは私の感じたウタリそのものでした。

似てるかしらこの作品は額装され、つい先日日本に届きました。ショールームの私の机の横にあります。アトリエから写真を送ってもらった時の印象よりもずっと存在感があり、『若さ』の持つ瑞々しさや純粋さに溢れています。そんな肖像を見ていると、こちらまで何だか元気になってきます。彼女に今のこの気持ちを忘れずにこれからも頑張ってほしいなと願っています。

さっそく作品詳細を公開しましたので、ご覧くださいね。この作品の売上の10%をウタリに進学のお祝いとして贈ります。

また、肖像画の制作を7名様限定で承ります。注目の若手作家として多忙な毎日を送るアンタラ氏ですが、日本のお客様にその作品の魅力をお伝えしたいという「バリアートショールーム」の思いに応えていただきました。技法(木炭デッサン画、油彩画)、サイズはご希望に応じます。詳しくはお問合せフォームからご相談下さい。

<関連ページ>

5/3ブログ 「アトリエ訪問〜田園風景を眺める場所から」 私のポートレートも描いてもらいました

アンタラ作品ページ

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2014.5.17

風情ある街並み谷中・根津・千駄木を散歩

 こんにちは、坂本澄子です。

先週の日曜日、上野の国立東京博物館でやっているキトラ古墳壁画展を観ようとしたところ、なんと待ち時間70分。キトラ古墳と言えば、高松塚古墳に続く2番目の極彩色壁画として注目を浴びており、恐らく東京で観れる機会はこれが最初で最後かも…。うーんと悩んだ結果、お天気もいいことだし、いずれ奈良に遊びに行くこともあるだろうしと予定を変更、谷根千(谷中・根津・千駄木)を散歩することにしました。

まず旧岩崎邸を訪ね、そこから東大の本郷キャンパスに沿って北上し、根津神社、谷中ぎんざ、谷中墓地と円を描くように回り、上野公園に戻ってきました。8キロ位歩いたでしょうか。日頃の運動不足がたたり、最後は足がガクガクです(^o^;

特によかったのが旧岩崎邸。ボランティアのガイドさんのお話がとても興味深く、自分で見て回るだけではここまで楽しめなかっただろうなと思いました。ツアーは随時やっていますので、行かれたらぜひ参加されることをおすすめしまーす。

旧岩崎邸この洋館を設計したのはジョサイア・コンドルというイギリス人建築家。明治政府が文明開化を進めるために招聘した外国人建築家のひとりとして来日、鹿鳴館、上野の博物館など数々の洋館の建築に携わりました。でも、彼の建築家としての独自性が発揮されたのは、むしろ政府との契約が終わってから。政府のお雇い建築家ではできなかった自由な発想を三菱財閥との契約の中ではいかんなく発揮しています。

家族は日本家屋の方で生活し、この洋館は主にお客様をもてなす場所として使用されました。食後には男性客たちを撞球室へ。コンドル先生は茶室の感覚を取り入れ、本館と地下通路で繋がった離れとして設計しました。

それから、洋館と言えばシンメトリーな造りが普通ですが、ちょっと写真を見て下さい。左が高く、右へ行くほど低い段々構造になっていますよね。これは左側の建屋がお客様をもてなす場所で、右側はその準備室だからなのだそうですが、これも新しい発想です。

ブログ144_夫人客間まだあります。男性がビリヤードに興じている間、女性たちは婦人客室でお茶を飲みながらおしゃべりを楽しんでいたそうですが、その部屋は写真の通り随所にイスラム様式が取り入れられています。おそらく、イギリスから日本へ渡ってきたコンドル先生がその中間にあるエキゾチックなイスラム世界を再現したのではないでしょうか。

西洋と東洋、そしてその間にあるイスラムを含めたこれらの融合は、バリにおいて伝統絵画が西洋絵画と出会い、さらに磨かれていったことを思わせました。

このコンドル先生、日本人の奥さんをもらい、日本に骨を埋めています。自ら多くの洋館建築を手がけただけでなく、西洋の建築技術を後進に伝え、彼に学んだ日本人建築家たちが東京駅舎、迎賓館、慶応義塾の図書館など、すばらしい作品を残しています。

旧岩崎邸を後にした後はしっとりとした風情漂う街並みをお散歩しました。こちらは写真にてお楽しみ下さい。

ブログ144_東大農学部横の路地

東大キャンパス横の路地。車がほとんど通らない静かな街並みで、『三四郎』の世界へタイムスリップしたよう。

根津神社

根津神社。鯉が静かに泳ぐ池に映った空、雲がゆっくり流れていきました。

夏目漱石の小説に出てきそうなネコに出会いました

夏目漱石の小説に出てきそうなネコに出会いました

谷中霊園

谷中霊園。都営だとは知りませんでした。真ん中を通る道路の両脇は桜並木。春になると桜のトンネルになることでしょう

上野公園の北側。東京芸大音楽部の校舎があるあたり。ここもとても雰囲気のある場所です。

上野公園の北側。東京芸大音楽部の校舎があるあたり。ここもとても雰囲気のある場所です。

 以前から一度行ってみたいと思っていた場所でしたが、それが思いがけない形で実現しました。独特の風情と雰囲気を持った街、東京のまた別の顔を見せてもらいました。

<関連ページ>

バリの伝統絵画が西洋絵画と融合するきっかけとなった外国人画家たち

ルドルフ・ボネ … オランダ人画家、プリ・ルキサン美術館の創設に携わりました

ヴァルター・シュピース … ドイツ人画家、絵画に留まらず舞踊・演劇などバリ芸術全般に渡って貢献しました

アリー・スミット … オランダ人画家、特に色彩の点でバリ絵画に大きな影響を与えました

 

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