〈作品解説〉
バリの神々と村人たちの暮らしを描いた最新作。田植えの後の神様への祭礼がテーマで、画面中央左に配置された、ウイシュヌ神の右手から水が放水されています。ウィシュヌ神は農民にとって最も大切な水利を司る神様で、その右手の怪鳥ガルーダはこの神様に乗り物として仕えています。画面下の左右には水の精である2匹の蛇が口から放水して稲を育てるのを助け、画面奥には黄金色に実った稲穂が村人に次にくる豊穣な収穫を約束しています。神社の後ろには神木ブリンギンが寺院を守るように茂っているのが見えます。画面全体を爽やかな青と緑が支配し、人物は大地と同じ茶色系で描かれ、それらが濁りのない透明感のある美しい構成になっています。作家が愛情と時間をたっぷりとかけて描いた素晴らしい作品です。