坂本澄子 「バリアートショールーム」主宰
広島市出身。大阪外国語大学ドイツ語学科(現在の大阪大学外国語学部)を卒業後、
日本アイ・ビー・エム株式会社に入社、同社で初めての女性法人営業となる。
アジア・パシフィック・グループ本社勤務を経て、管理職として営業部門に復帰。多いときには約100名の組織を率いていたが、心から情熱を傾けられることを仕事にしたいと、‘13年2月、同社を円満退職し独立。バリ絵画の専門ギャラリー『バリアートショールーム』を主宰している。30代半ば、絵画教室のポスターがきっかけで自身も絵を習い始め、`15年以来、毎年二科展に入選。`16年現代童画展新人賞、`18年同会友奨励賞。`19年同会員推挙。坂本澄子の作品はこちらをご覧ください。
<ご紹介いただきました>
『フリーで働く前に!読む本』中山マコト著 日本経済新聞社
『人生一度きり!50歳からの転身力』大宮知信著 電波社
NHK Eテレ『明日も晴れ!人生レシピ』 (2017/5/19放送)
「人生100年時代のコンシェルジューAgeless(エイジレス)」インタビュー記事
私が絵に出会ったのは30代半ばのことでした。
その頃の私はもやもやとした毎日を送っていました。普段だったらやり過ごしたろう絵画教室のポスターになぜか目がとまったのです。肌寒い雨の日曜日でした。その時の光景を、停止した映像の一コマのように、今でもはっきりと思い出すことができます。
最初は果物、花など手近にある静物を描いていましたが、ある時から好きな画家たちの作品模写に夢中になり、何十枚と描いているうちに、アンリ・ルソーの熱帯のジャングルを描いた作品に出会いました。それが時を経て私をバリ島に導いてくれるきっかけになろうとは、想像さえしていませんでした。
私にとって絵を描くということは、心の中に留まり年月をかけて熟成されたものを取り出して、キャンバスという場に再構成することに他なりません。目の前に題材としての対象物は存在するのですが、むしろそれを触媒として、自分の心にあるものを取り出して表現する側面の方が、私の場合は強いように思います。そして、そうすることによって、自信を失ったり、傷ついたりした時でも、静かに自分に向き合い、再び歩き始めることができたのです。
偶然にもそれと似たことを言ったのがガルーさんでした。このサイトでも紹介している通り、彼女はインドネシアを代表する画家のひとりですが、制作にあたって散策を行ってはインスピレーションを得ているそうです。自然と対話しながら歩くうちに、心にあったさまざまな思いが整理され、やがて喜びや感謝の気持ちに変わっていくと言います。それらを表現したものが、彼女の作品ひとつひとつになっていると聞き、絵という表現手段が人の心に与える力の大きさに正直驚きました。
「バリアートショールーム」を通じて私がご紹介できる画家、作品は世界中に存在する表現者たちの数から見るとごくわずかに過ぎないかも知れません。でも、できる限り画家の内面にまで迫り、自分でも手に入れたいと思うような力のある作品を厳選してご紹介していきたいと考えています。それがこのサイトをご覧になっていただいているおひとりおひとりの毎日を豊かにすることに少しでも寄与できれば幸いです。
2013年4月18日
バリアートショールーム主宰
坂本澄子