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Kamasan Style【カマサン・スタイル】
〈主な特徴〉
- 影絵芝居の芸能美術として16世紀に誕生
- 神話の物語を題材に斜め横向きに描かれる人物像が特徴
- 墨で描いた下絵と陰影に4色の自然顔料を用いて彩色
バリ絵画の土台を形作っている伝統様式
バリ伝統絵画は16世紀に影絵芝居(ワヤン)の芸能美術として誕生し発展しました。インド叙事詩「ラマーヤナー」や「マハーバーラタ」の物語を題材とし、一枚の作品にいくつかの場面が描かれる絵巻物風の形態をとっています。影絵人形と同じく人物を斜め横から描写し、色遣いを抑えた服装、背景を特徴とし、その技法が受け継がれた村の名前をとって「カマサン・スタイル」と呼ばれています。
「ラマーヤナー」のうち、とりわけラーマー王の妃シーターが略奪され取り戻されるまでの一連のストーリーは作品の題材として人気があり、写真の「シーターの火の試練」、「スバリとスグリワの戦い」はいずれもそのような場面を描いたものです。取り戻された後、ラーマ王は王妃の貞操を疑いついには追放します。シーターは自身の身の潔白を証明する代わりに大地の中に吸い込まれていくという悲劇の結末は、絵画と共に時代を超えて語り継がれています。