迫力ある構図にモチーフを描き込んだ風物風景画
#002
Keliki Style【クリキ・スタイル】
〈主な特徴〉
- キャンバスいっぱいに描き込まれたモチーフをより細密に描く
- インド叙事詩の登場人物画、花鳥画、風景画と幅広い題材を扱う
- 細かな下絵を描いた後、墨で輪郭と陰影をつけ、その上に彩色する
バトゥアン・スタイルの流れをくむ細密画、クリキ村を中心に発展した
イダ・バグース・マデ・ウィジャは寺院に集まる村人、闘鶏、舞踊などバリの風物詩を描いた、バトゥアン・スタイルを代表する画家のひとりですが、彼の息子のイ・ワヤン・ラジンと二人の甥はある時誰が最も細密に描けるかを競いました。これが細密画の始まりで、やがて近隣の村にも伝播していきます。クリキ村は田園地帯に隣接した、今でも風情ある家並みが続く村です。この地域には農作業の傍ら、緻密な制作活動に根気よく取り組む画家が多く見られました。現在では、このクリキ村で制作される作品を総称してクリキ・スタイルと読んでいます。