バリアートショールーム オーナーブログ
2015.1.28

ミステリアスな魅力・シュピース

こんにちは、坂本澄子です。

「幻想心象風景画作品展」にたくさんの方にお越しいただき、ありがとうございました。お客様がFacebookに投稿された写真を見て、初めて来て下さった方もあり、本当に感謝です!

今回展示したガルー、ウィラナタはいずれもドイツ人画家シュピースに傾倒し、その幻想的な作風の影響を強く受けた作家たちです。奥の部屋に関連書籍として、ワルター・シュピースの半生を描いた『バリ、夢の景色。ヴァルター・シュピース伝』を置いていたところ、手に取って見られた方がかなりおられました。

標題紙そんな中、一冊の古い本を取り出し、「ずっと気になってることがあるんです」と、バリ絵画を愛してやまないOさん。バリ絵画展の常連さんです。

聞くと、何でも、2、3年前に神田の古書街を歩いていたところ、源喜屋書店でたまたまシュピースの著書『Dance and Drama in Bali』(1938年刊)を見つけ、その場で購入したのだそう。これまで多くの人の手を渡り歩いてきたと見られ、団体や個人の蔵書印がいくつも押されています。ふと表紙の内側を見ると、万年筆で走り書きされた文字が。1939年3月6日と日付の書かれたメッセージのようです。

「もしかして、シュピースの直筆ではないかと思いましてね…」

いてもたってもいられなくなり、私に見せたいとわざわざ持って来られたというわけです。これがその写真。

見返し書き込み

ブログ193_Spiesサイン

 

確かにドイツ語のようにも見えなくはないのですが、残念ながら、シュピースのサインは左の写真のような読みやすいアルファベットで、明らかに筆跡が違いました。しかし、1939年と言えば、この本が発行された翌年。間違いなくシュピースと同じ空気を吸っていた人の手によるものです。

 「何て書いてあるんでしょうね」

がぜん興味が湧いてきました。何だか探偵になった気分^o^ Oさんもそれを調べてほしくて、ウズウズされている様子。しかし、いかんせん、達筆過ぎて…。どうも、ドイツ語でも英語でもなさそうです。

そこでお願いなのですが、この文章の意味をわかる方がいらっしゃいましたら、ぜひお教えいただけませんか?

ところで、この本は絵画ではなくバリ舞踊について書かれたものなんです。シュピースは絵画だけでなく、演劇、音楽、文学など、幅広い分野でその才能を発揮し、バリ舞踊を外国人も楽しめるようリメイクしたことでも知られています。その功績が称えられ、「バリ人から最も愛された外国人」と言われる一方で、「最も憎まれた外国人」とも。降臨した神様に対して舞うという神聖なものを世俗的に書き換えたと捉えられることもあるのです。

芸術家が万人から支持されることはまずないですし、その魅力が強ければ強いほど、非難されることも多いものですが、100年近い時を超えて、シュピース・スタイルとしてバリの今日の画家に受け継がれ、多くの人々を魅了し続けていることは、やはりすばらしい功績だと思うのですが、いかがでしょうか。

<関連ページ>

バリ絵画に影響を与えた外国人② ヴァルター・シュピース

シュピース・スタイル  スタイルの特徴と作品をご紹介しています

 

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