バリアートショールーム オーナーブログ
2015.3.14

バリの神様⑤ 戦いの女神ドゥルガー 〜 バトゥアン絵画を楽しむ

こんにちは、坂本澄子です。

ついに!暖かくなってきました〜。堅く閉じていたつぼみも、開花に向け動き始めましたね。

ブログ204_バトゥアン村先日ご紹介したバリの古典絵画(カマサン・スタイル)に次いで、伝統的な技法を今に受け継ぐのがバトゥアン・スタイルです。カマサン村が古都にふさわしい、落ち着いた佇まいを見せているのに似て、バトゥアン村も写真の通り、風情ある町並みです。高い塀の上からバリ島に特徴的な赤瓦の屋根が見える通りを歩くと、なんだか子供の頃住んでいた場所を思い出すような懐かしさがあります。

 オランダ統治下において、ウブドが多くの外国人画家を受け入れたのに対し、ほとんど西洋の影響を受けなかったのがバトゥアン村。そのため、ヒンドゥ神話を題材に、やや暗めの色使いで、画面いっぱいにびっしりと描く伝統的な手法が今も残っています。やや暗めになるのは、下絵を描いた後、墨で陰影をつけてから彩色するためなんです。この描き方は西洋絵画の影響を受けたバリ絵画の他のスタイルにも見られます。

さて、今日ご紹介するのは戦いの女神ドゥルガーです。神話によると、天界を攻め、自分たちを追放したアスラに対する神々の怒りの光から誕生したとされ、10本あるいは18本の腕にそれぞれ神授の武器を持った姿で描かれることもあります。そんな恐ろしい一面を持つ一方で、顔はとても優美で美しく、三大神のひとりであるシヴァ「終わりの日に世界の破壊を司る神」の神妃でもあります。

その女神ドゥルガーの戦いの場面を描いた作品がこちら。上部中央を見てください。少年のような表情で、大蛇ナーガと戦う勇ましい姿が描かれています。周囲に目を移すと、森の中には野獣や魔物が潜み、神々との戦いが繰り広げられています。一見、平面的に描かれているように見えますが、この森の奥には何があるんだろうと、見る人に想像させる余韻のようなものがあります。

(画像をクリックすると作品詳細がご覧になれます)

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『戦いの女神ドゥルガー』GENDRA  アクリル/紙 34x54cm 85,000円

作者のゲンドゥラ氏の作品は、これまで国内外の数々の伝統絵画展に出品されており、神話を題材にした緻密な描写に定評があります。

私自身はバリ絵画に出会った当初、花鳥画や風景画といった入りやすい絵に惹かれました。しかし、この作品もそうですが、じっくりと見せ、じわじわとしみ出してくる深い味わいを感じます。そして、伝統が持つものの価値が見えてくると、作品に親近感と愛着が湧いてくるんです。

こんなふうに、多彩なジャンルという幅広さと、じっくり楽しめる奥の深さの両方を兼ね備えたバリ絵画。5月18日(月)〜23日(土)開催予定の「春のバリ絵画展」では、主要スタイルから50点を選び、一堂に展示します。

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春のバリ絵画展 5月18日(月)〜23日(土)@東京・京橋

バトゥアン・スタイル バリ絵画の伝統スタイルの魅力をご紹介

 

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