バリアートショールーム オーナーブログ
2014.7.23

作家×注文者が創り上げた「一枚の絵」(後編)

こんにちは、坂本澄子です。今日はソキさんとお客様が創り上げた一枚の絵、その制作秘話の後編をお届けします。

ご注文者(ペンネーム:tomu様)は50代の男性会社員。初めてバリに出会ったのは5年前、会社を辞めてバリ島に渡った元同僚のN様から「一度遊びに来てください!」と誘われたのがきっかけだったそうです。その時、tomu様が感じたバリはまさに「神々が棲む島」、そして少し前の日本に似た懐かしさを感じる場所でした。それから数年が経ち、N様はバリ人の男性と結婚、そして今年3月には元気な男の子が生まれました。

「今回の絵を注文したのは、それがきっかけだったのです」と、話して下さったtomu様、以下そのお便りをご紹介します

ブログ155_ダイキくん彼の名前はダイキくん。。。誕生日が私とほぼ一緒で、日本とインドネシアの国籍を持ち色白で手足の長いイケメンくんです。
彼、ダイキくんはこの先元気でバリ島に暮らし、人々の愛情をたくさん受けて大きく成長をして、やがて恋をして結婚。。ひょっとしたらママと同じ日本人をパートナーに選ぶかもしれない。そして子供が生まれ、家族でバリ島の伝統を守り幸せな生活を続けるのだろう!!
  
そんな人生の節目、節目にバリ島で行われる神聖な儀式には必ず神様がそばにいるはず!バリの人たちはそう感じているはず!ならば、ソキさんの描く神様と人々の暮らしをダイキくんと一緒に見たい!!、そう思ったのです。

このことを坂本様に最初にご連絡したのも秘密のお願いでした。私の心の中で描いているイメージが上手く伝わるか?不安でしたが、ソキさんの描いた下絵を見て、「凄い!!私達日本人が心で感じる目には見えないもの。。それは、バリに住む人々も同じなんだ」と確信しました。

益々、バリ島に憧れる毎日です。

何だかじーんと来ました。前回のブログを読んでくださったN様からは、ソキさんの後日談、「神様にお祈りを捧げました。すると間もなく、頭の中に構図のイメージを授けられ、タイトルが決まったのです」について、次のような感想をいただきました。

完成した作品を前に解説をしてくれるソキさん

完成した作品を前に解説をしてくれるソキさん

バリ人らしいですねー!
これは大げさな表現とかではなく、事実なんだと思います。
バリ人的な言い方をすると、「神様が降りてきた」でしょうか。

私もどっぷりバリ人生活をして分かってきたことですが、日本人の神社で手をパンパン叩いて願い事をするのとは違い(笑)、神様というか、目に見えないものと密接に関わっているんだなーと実感しています。

多分日本もそうだったはずなんですが、みんな忙しくて、目に見える物しか見なくなってしまったのでしょうね。

 目に見える物しか見なくなってしまった…、そうですね、本当に。私がバリを好きになり、この「バリアートショールーム」を始めたきっかけも同じでした。様々な情報が慌ただしく流れていく毎日、だけど、ここに来れば、ずっと変わらない大切な何かがちゃんとある、そう感じていただける場所になればと、未熟な歩みではありますが、日々頑張っています。そんな私の思いを感じて下さってか、tomu様から一番最初にご相談いただけたことを本当に嬉しく、光栄に思っています。

そんなソキさんの最新作『LAHIR, HIDUP, MEMINGGAL 〜 誕生、生活、死〜』、どうぞご一緒にご鑑賞ください。

<関連ページ>

ソキ画家&作品紹介 バリ島の美術館に選ばれた作家、バリを代表するアーティストです

ソキ渾身の最新作 『LAHIR, HIDUP, MEMINGGAL 〜 誕生、生活、死〜』

 

2014.7.19

作家×注文者が創り上げた「一枚の絵」(前編)

こんにちは、坂本澄子です。

SOKI-80x100-b

前作の『BALI ISLAND』。80x100cmの壮大なスケールで
祭礼の島バリを描いてもらいました。

またひとつ、新たな感動が生まれました。以前ブログで注文制作の様子をご紹介したソキ(I KETUT SOKI)『BALI ISLAND』、覚えておいででしょうか。展示会にも特別に展示し、多くの方に見ていただきました。

同じお客様から「まだ具体的なイメージではないんですけどね…」と次の制作のご相談を受けたのは4月頃のこと。

「人生の祭礼を一生のつながりとして表現しながら、常に近くで見守る神々をソキさんが描くとどうなるのかな〜、なんて思っています」

「・・・?!」

最初は正直こんな感じでした。そして、お電話とメールとでやりとりを重ね、お客様がイメージされていることがおぼろげながらわかってきました。誕生→成長→成人→結婚→出産→死と続く人の一生とそれぞれの節目で行われる祭礼、そして、それらを見守る八百万(やおろず)の神々。前回の作品がバリ島各地の文化・風習を描いたものだったのに対し、人の一生と神々の役割いう視点で描くもうひとつのバリ島。それがお客様のご要望でした。

ソキさんの大きく力強い手。この手が絵筆を持ち作品が生み出されます

ソキさんの大きく力強い手。
この手が絵筆を持ち作品が生み出されます

しかし…、これをソキさんに何と説明したらよいものやら…。ちなみに、ソキさんは英語は簡単な挨拶程度しかできませんし、かたや私はインドネシア語、バリ語はこれからという状態(^o^; そこで協力してくださったのが、現地パートナーの木村さんとテギさんでした。テギさんは私がウブドでいつも泊まる宿のご主人、以前日本の着物の絵付けの仕事をされていたことがあり、日本語はお上手。しかも、奥様はソキさんの姪という関係なのです。おふたりがお客様のイメージを的確に理解して下さったおかげで、ソキさんからは「初めての試みですが、是非取り組んでみたいと思います」と意欲的なお返事をもらうことができました。

Soki 25-5-2014

下絵の途中。木村さんが何度もアトリエに足を運んでくださり、お客様の意図を再度お伝えして修正をお願いしたことも。

この後も大事な局面が続きました。ソキさんは構想にかなりの時間をかけておられましたが、なかなかこれといったイメージが浮かばない様子。 最初の一ヶ月はスケッチを繰り返す、いわば生みの苦しみでした。

この時のことを後から伺うと、ソキさんは笑って「神様にお祈りを捧げました。すると間もなく、頭の中に構図のイメージを授けられ、タイトルが決まったのです。それからは、下絵の制作から彩色までスムーズに進めることができましたよ」

ソキさんのつけたタイトルは『 LAHIR, HIDUP, MEMINGGAL (誕生、生活、死 ) 』でした。 (次号に続く)

<関連ページ>

SOKI 作家&作品紹介ページ バリ島の主要美術館が作品所蔵する画家の素顔に迫ります

ご注文制作の流れ お客様のイメージをこんな風に作品にしていきます

ヤングアーティスト・スタイル オランダ人画家アリー・スミットから受けた影響とは

 

2013.12.14

注文制作であなたのこだわりの一枚を③ ついに完成!

こんにちは、坂本澄子です。

皆様、覚えておいででしょうか。画家のソキさんに注文制作を依頼した『バリ島〜PULAU BALI』がついに完成しました。

SOKI-80x100-a

ブログ108_バリ島_ガベン80cm×100cmの大作。赤土の大地は土臭さを感じるバリそのもの、ソキ作品に象徴的な色です。その上にびっしりと描き込まれているのは各地の風物です。先日ご紹介したガベン(火葬式)もほらこの通り。古都カマサンのあたりに五重塔がついたバデと白い牛ランブーが見られます。きっと地元の名士のものでしょうね。

ご注文主はFacebookアルバム『バリの笑顔』で毎朝私たちを和ませて下さっている写真家のtomuさんです。ご本人は写真は趣味と仰っていますが、本当に素敵な作品ばかりなので、「バリアートショールーム」では写真家と呼ばせていただきますね^^

ブログ108_柴木様1そのtomuさんにぜひ『バリ島』と一緒の写真を投稿下さいとお願いしたところ、こんなメチャメチャ楽しい写真を送っていただきました。わざわざご自宅近くの公園と海岸に出かけて下さったとのこと。バリ島で購入されたバティックのシャツに身を包み、『バリの笑顔』に負けないビッグ・スマイルです。シャツの青と『バリ島』の海の青さが最高によく合っていますね^o^撮影には奥様もご協力下さり、ありがとうございました!

tomuさんは4年前に元同僚のご友人を訪ねて初めてバリ島とお隣のロンボク島を旅行したとき、深く心に感じるものがあったそうです。そして…

ブログ108_柴木様2「毎年、夏に友人を訪ねてバリ島とロンボク島にでかけるようになり、現地の人々の暮らしや文化風習に触れる機会が毎年、少しづつ深いものになるにつれ、日本での生活の中では感じることができない、感動や衝撃を受ける回数が増えて来ました。明確な答えはおそらくこの先も出ないと思いますが。私はいつもバリ島とロンボク島の友人に(忘れ物を取りに来た!)と、いって遊びに行きます。その忘れものがソキさんが描く絵の中に、ギュ!と、詰まっています。 赤い大地と緑豊かな自然、碧く澄んだ海と輝く太陽!アグン山!どれもが私の わ す れ も の なんです。どんな時にも必ずそばにあって元気を与えてくれる!! そんな大切な家族のような絵を見つけられたんです!!」

 10月の絵画展で初めてお会いしたときに、「私の夢を叶えてください」という言葉と共に、この作品の制作をご依頼いただいたのですが、その理由がよくわかりました。こんなに喜んでいただけて、私も本当に嬉しいです。そして、皆様にも見守っていただき、完成までの約1ヶ月半、ご一緒に楽しませていただきました。tomuさん、ありがとうございます。そして、この作品が与えてくれるエネルギーとワクワク感とで、これからますます生きることを楽しんで下さいね。

皆様も注文制作で、「あなただけの特別な絵」を作ってみませんか。ご注文からお届けまでの流れはこちらをご覧下さい。

 

アルマ美術館所蔵の作品 「バリの村落」

アルマ美術館所蔵の作品
ソキ「バリの村落」

ソキさん(I Ketut SOKI) はバリ島の美術館(プリ・ルキサン美術館、ネカ美術館、アルマ美術館)がこぞって作品所属するまさにバリ絵画を代表する画家。いきなり注文制作は敷居が高いけど、この作品ちょっと気になるという方に朗報。20cmx25cmの小さな作品を12月30日までの特別価格(税抜価格27,000円+送料無料)でご提供します。残り3点となりましたのでお早めに。詳しくはこちらを

<関連サイト>

注文制作であなたのこだわりの一枚を

注文制作であなたのこだわりの一枚を② あの作品のその後

2013.11.16

注文制作であなたのこだわりの一枚を② あの作品のその後

こんにちは、坂本澄子です。

開催中のバリ絵画展『五感を満たす食卓』で、バリ舞踏をされている中野愛子さんにお会いしました。降臨した神々を楽しませる捧げものとして、バリ舞踊とバリ絵画はその誕生や発展の歴史において多くの共通点があり、モンキーフォレストのおいしいランチをいただきながら、しばらくその話題で盛り上がりました。

中野さんのお話によると、バリ舞踊では音に反応して、常に身体のどこかを振わせるのだそうです。一方、日本舞踊は「間」の芸術だと言われる通り、動かすことよりも、むしろ、いかにして静止するかに神経を集中しています。絵画もこれによく似て、画面いっぱいにぎっしり描き込むバリ絵画に対して、日本画は余白としての「間」で余韻や余情を表現し、好対照的をなしています。大変興味深いですね。

バリ絵画展「五感を満たす食卓」は来週20日(水)までやっています。詳細はこちらをご覧下さい。また、中野さんは12/23(祝)に同じくバリカフェ・モンキーフォレスト渋谷で、華麗なバリ舞踊を見せて下さいますよ。その時にバリ絵画もコラボできればいいなあと思っています。

ソキさんと作品さて、今日は11月2日のブログでご紹介したソキさんの注文制作の続編です。

前回はちょうど下絵が終わったところでしたが、その後お祭りも一段落し、あれよあれよと言う間に制作が進み、今五合目くらいまで来ました。明るいエネルギーいっぱいの作品になりそうですね。これから細部が描き込まれていきます。

ビックリしたのはソキさんの服装。作品に合わせてか鮮やかな色の上下です。半年前にお会いした時と比べると随分印象が変わりました。きっと絵を描きながら、ソキさん自身も絵の持つエネルギーを吸収しておられるのでしょうね^o^

注文者のtomu様からは次のようなコメントをいただきました。

「綺麗な吸い込まれそうな青色ですねぇ。心トキメキます。ワクワクドキドキしてます。

ソキさん。わざわざ着替えてくれたのかな~。作品に対する思い入れをとても感じます!」

このように、お客様と一緒にワクワク&ドキドキした気持ちで完成を待つ時間をとても尊く感じています。完成した作品はこんな思い出と共に、見る度にtomu様を楽しく幸せな気持ちにしてくれることでしょう。あともう少しです!

この記事には続きがあります。あわせてお読み下さいね。(’14/2/15追記)

<関連サイト>

バリ絵画展「五感を満たす食卓」@バリカフェ・モンキーフォレスト渋谷

サイト掲載の作品が1点から見れる「プライベート展示会」

注文制作の流れ

2013.11.2

注文制作であなたのこだわりの一枚を

こんにちは、坂本澄子です。今日から3連休。どこかに行こうと計画されてる方、お仕事される方、おうちでのんびりされる方…、それぞれあると思いますが、私はとりあえず、ケン(フレンチブルドッグ♂2歳)と朝の散歩に出かけてきました。いつも行く公園の隣に大きなタワーマンションが建築中で、だんだん高くなっていきます。今32階まで来ました。その横を真っ赤な太陽が昇ってくるのを見ていると、なんだか厳かな気持ちになりました。

さて、「お部屋に絵を飾りたいけど、なかなかこれと思うものに出会えなくて…」と思っていませんか?そんなあなたにおすすめしたいのが注文制作です。「バリアートショールーム」でご紹介している画家はいずれも注文制作をお受けします。GALUH, WIRANATAなどの人気作家は多少お時間をいただきますが、それ以外は1〜2ヶ月でお届けが可能です。通常こんな流れで進めています。

注文制作の流れ

でも、目に見えないものを注文するのって勇気がいりますよね。そこで、ちょうど今まさに進行中の制作例をご紹介します。

「バリ島の不思議な力が湧いてきて元気になりそう」横須賀市 tomu様のケース

SOKI 過去作品『バリ島』以前からSOKIさんの作品が大好き。「見ているとバリ島の不思議な力が涌いてきて元気になりそう。そんな作品を自宅に飾りたい」と秋のバリ絵画展に初めてお越しいただきました。残念ながら、展示作品は今ひとつご希望にフィットしなかったのですが、「バリアートショールーム」の画家のページに掲載しているSOKIさんの過去作品をご覧になられて一目惚れされたのがこれです(写真)。バリ島を形取り、神々の島での生活や祭りを鮮やかに描いた壮大なスケールの作品。

さっそくSOKIさんに問い合わせてみると、「では、あれに似たイメージで描きましょう」と即OK。当初は60cmx80cmの日本間サイズで考えていたのですが、画家からの提案もあり、壮大な作品の魅力を存分に引き出すため最終的に80cmx100cmの迫力サイズで制作中です。

下絵が終わったところ中間報告にtomu様にお送りした写真がこれで、今下絵が終わったところです。10月はガルンガン(バリ島で最も大きなお祭り)や村の祭事があり、長老格のSOKIさんはかなりお忙しかったよう。「ちょっと遅れ気味」と申し訳なさそうでした。

tomu様からはすぐに返信をいただきました。

「おはようございます。制作途中の進捗をご連絡いただけるんですね!!益々。。。感動!!かゆいところ!!あっ!そこ!そこ!とても気持ちの良い朝を向かえられました!バリ島のお祭りは大切な文化と理解してます!家宝は寝て待て。。とも言いますし、何よりもソキさんが気持ち良く制作できる環境の中で私にとって特別な、この作品を仕上げていただければ幸いです。。。ソキさんにそのことをお伝え下さい。大丈夫です」

これを見て、じーんと来ました。私にとっても特別な朝になりました。tomu様の温かいメッセージはもちろんSOKIさんにお伝えして、この後の制作も元気100倍で頑張ってもらっています。最終納品までブログの中で実況中継していきますので、ぜひご一緒に見守って下さいね!

お気に入りの作家がありましたら、ぜひ過去作品をご覧になってみて下さい。あなただけの特別な作品を制作するヒントがそこにあるかも知れません。

この記事には続きがあります。(’14/2/15追記) あわせてお読み下さいね。

<参考サイト>

SOKI作品 … 極彩色でバリの風物を描くヤングアーティストスタイルの第一人者。その作品はバリ島の主要美術館に所蔵されています。

バリ絵画の主要スタイル … どんな作品が好み? まずはスタイル一覧から。

 

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