バリの神様③ 宇宙の秩序を司るウィシュヌ
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さて、「バリの神様」シリーズ、これまで女性の神様が続きましたので、今日はヒンドゥ教の3大神のひとり、ウィシュヌをご紹介したいと思います。バリ絵画にもよく描かれる神様です。
ウィシュヌも前回のデウィ・スリ(稲の女神)に劣らず、バリの人々から慕われている神様。神話『ラーマヤナー』の主人公ラーマ王子をはじめ、なんと10以上の化身があり、それぞれに物語があるんです。
3大神であるブラフマー、ウィシュヌ、シバはそれぞれ「宇宙の創造を司る」、「宇宙の秩序を司る」、「宇宙の終わりの日に破壊を司る」という役割を担っていると言われています。人間の暮しに最も関わりがある神様という意味でも、親しみがわいてきますね。
そんなバリの人々の考えを表現した作品がこちらです。
『ウィシュヌとガルーダ』ARIMINI アクリル/紙 25cmx36cm 160,000円(税込)
画面中央では、村人たちが神社に供物を捧げ、黄金色に実った稲の豊作を感謝しています。そのすぐ横で、手のひらから泉を涌き出させ、田植えが終わったばかりの田圃に水を送っているのがウィシュヌです。
睡蓮が美しい花を咲かせ、蝶が舞い、たっぷりと水を湛えたこの水田に、やがて豊かな実りが訪れることを感じさせてくれます。このように世界のサイクルを維持し、そのサイクルの上で信仰と一体となって生活する、バリの人々の暮しを守ってくれる神様がウィシュヌというわけです。
この作家アリミニ(ARIMINI)はバリで最も著名な女流画家のひとり。その作品はアルマ美術館で常設展示されています。これは小さな作品ですが、これだけ様々な色を使いながら、美しく調和しているところは、ウィシュヌの「秩序」に通じるものがあると感じました。また、細部に至るこだわりには並々ならぬものがあり、細い線の一本一本まで意識を張り巡らしていることがよくわかります。
例えば、水田の水をよく見てください。上の田圃から下の田圃へと水が流れ、隅々まで水が行き渡っていますよね。(バリ島には1000年以上に渡って受け継がれてきたスバックと呼ばれる水利の仕組みがあります)そのよどみない流れを繊細な曲線で描き込んでいるのがご覧になれるでしょうか。
こんなふうに、どの部分を見ても見応えのある作品です。こんな作品がうちにあるなんて、ちょっとすごくないですか。この作品は実物がご覧になれ、ウェブからもご購入いただけます。
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アリミニ (ARIMINI) 画家プロフィールと作品詳細はこちらをどうぞ