バリアートショールーム オーナーブログ
2016.6.26

擬人化された動物たち

こんにちは、坂本澄子です。

もう随分前ですがが、大島弓子さんの漫画作品で、『綿の国星』という猫を擬人化したお話がありました。『LaLa』(白泉社)1978年5月号から1987年3月号に不定期連載

watan4_l雨の日に諏訪野家に拾われたチビ猫(雌の白い子猫)が主人公で、いつか人間になれると信じているので、右の画像のような、人間の姿をして登場します。チビ猫の目を通して見た諏訪野家の人々、それを取り巻く人間社会、猫社会は、ユニークな視点で描かれ、時折顔を出す非日常は幻想的ですらあります。

私はこのお話と絵が大好きで、高校から大学にかけて繰り返し読み、今でもたまに思い出しては本棚から取り出しています。調べてみたら、今もちゃんと本屋さんで売っているのですね。

 

バリ島では擬人化された動物たちを多く見かけます。ウブドの観光スポットとして、きっと一度は行かれたことがあるモンキーフォレスト、ここには石を削って作られた様々な動物たちが園内に配置されています。苔むして、今にも動き出すのではないかと思うほどリアルなものも、その顔を覗き込んでみるとなんとも愛らしい。

バリ絵画では真っ先に思い浮かぶのがLABA氏。豹やリス、インコ、フクロウなどを題材に描き続け、68歳の今なお現役の画家です。同じ動物でも、それぞれ表情が違うのが毎回楽しみ。どれも好奇心いっぱいの目が特徴ですが、時にシャイであり、時には甘えん坊であったり、それぞれの性格があらわれているのをぜひご覧になってみてください。LABA作品はこちらです。

私のイチオシはこちら。一張羅の衣装に身を包み、ちょっぴり得意げなインコがなんともかわいい。緑のしっとりとした空気感があり、お部屋に飾ると、いながらにしてバリを感じることができます。こちらの作品、写真の2つの額縁からお好きな方をお選びいただけます。詳しくは作品ページをどうぞ。

RP010-02 RP010-01

 

コメントをどうぞ

2016.6.22

新作情報:ウィラナタ

こんにちは、坂本澄子です。

飯田橋にある東京メトロの忘れ物センターへ行ってきました。またまた、忘れ物大王です。東京メトロでの忘れ物はすべてここに集まるとあって10人待ちでしたが、3人の係員の方がテキパキと応対されてました。見ているといろんな忘れ物があります。私の前のお兄さんなんて、三味線。

私がホームのベンチに忘れたのはスケッチブックでした。あまり白紙ページは残っていなかったし、作品の構想をまとめるための下書きが大半ですから、いつもなら諦めるところですが、最後の方に家族の似顔絵を描いていたのです。小さくても私にとっては大切なもの驚いたのは、東京メトロ区間の往復の切符代を出してくれること。こちらの不注意でご迷惑をかけたのに。大事に預かってもらえて本当に感謝感謝です。

 

さて、もうすぐ夏。夏といえば夜。ということで、前回は幻想的な風景画に定評がある人気作家ウィラナタの「満月の夜に」をご紹介しました。満月の夜の祭礼という、同じテーマでありながら、雰囲気の異なる新作ができました。

20160619_80x60

「Fullmoon Galungan」Wiranata 90x60cm 油彩画

この絵のおもしろさは何といっても、見上げるほどのガジュマルの大樹です。バリ島の寺院には必ず大きな木があり、精霊を宿すと言われ大切にされていますが、このガジュマルは空中に垂れ下がった気根が独特な形を作り出し、ランプの光がそれを幻想的に浮かび上がらせています。

世界中のコレクターが新作を待つ、人気作家ウィラナタ。この作品も既に売約済みですが、ご注文制作を承ります。また、「バリアートショールーム」にはウィラナタ作品の在庫が2点ありますので、繊細で幻想的なタッチをぜひ実物でお確かめになってください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

<関連ページ>

ご注文制作の流れ・・・注文制作は高いと思っておられませんか?!

ウィラナタ特集ページ・・・完売作家ウィラナタの作品の魅力が満載!

コメントをどうぞ

2016.6.18

夜の魔力に引き込まれて

こんにちは、坂本澄子です。

今週も広島の実家に戻っています。今回は意外な出迎えを受けました。湿気を含んだ夜気に乗って漂ってきたのは、甘く薫り立つクチナシの花です。実家の塀の上に浮かび上がるように、真っ白な花をたくさんつけていました。

「この木、前からここにあった?」

image1 (23)思わずそう尋ねると、私が子供の頃からそこにあったけれど、毎年夏が来る前に植木屋さんが短く刈り込んでしまっていたのだと母。花が咲く前にもったいないとご近所の方に勧められて、数年前からつぼみを残してもらうようにしたのだそう。

そういえば、帰省するのはいつもお盆とお正月。6月に帰ることなんてなかったから気がつかなかったのですね。灯りに照らされて白く浮かび上がる姿は、清楚な外見とは裏腹に妖艶な美魔女のようでもありましたw

 

夜の持つ魔力に魅せられたのか、無性に会いたくなったのが、ウィラナタの『満月の夜』です。もうすぐ夏がやってくるという今の季節にぴったりの作品です。

DSCF5804 (1)満月の青い光

湿った草の匂い

椰子の葉がサラサラとそよぐ音

蛙や虫たちが啼く声

ランプの暖かな光

これから始まる厳かな祈り

それらが美しく調和した世界が、額縁に切り取られた窓の向こうに広がっています。

60cmx80cm、オーク材のアンティーク調額縁に入れてお届けします。横に立つとこのくらい、しっかりとした存在感のある作品です。詳細はこちらをどうぞ。

 

コメントをどうぞ

2016.6.15

ちょっと手を加えるだけで

こんにちは、坂本澄子です。

ソキと『バリ島』

ご注文制作でソキさんに描いてもらった『バリ島』が完成し、先日お客様に発送しました。梅雨のモヤモヤ気分を吹き飛ばしてくれる、あかるーい、エネルギーいっぱいの作品に仕上がりました。

ソキさんの人気作品『バリ島』、これまで幾度も見てきましたが、本当に一点一点違うのです。今回の作品は海と空の青さがとてもシャープで、陸地が海から浮き上がるような勢いがありました。さすが肉筆ならではの迫力、元気をたっぷりいただきました!

さて、このところ傘の出番が増えてきました。やはり、梅雨ですものね。ところが…、何をかくそう、私は忘れ物の大名人。傘なんて、いったいどれだけなくしたことか^o^; だから、いつも傘はビニール傘と決めているのです。電車で扉の上にあるモニターを見ていたら、そんな私にぴったりのCMをやっていました。

umbrella decoration取っ手にマスキングテープを巻いてニスでコーティングするだけで、傘立てでひとめで自分の傘だとわかるし、ビニール部分に油性のカラーペンでお絵描きすれば、雨の日もお出かけも気分は明るくなります♬ ちょっと手を加えるだけで、モノに対する思い入れはぐっと強くなりますよね。忘れん坊さんのあなたもぜひ試してみては。私もさっそくやってみます。

 

自分ならではの何かによって、思い入れがぐっと深くなる。これは絵にも同じことが言えます。思い出の場所や大切な物を描いてもらったり、自分自身や大切な人を描いてもらえば、それはもう間違いなく「ただの絵以上の存在」になります。

冒頭ご紹介したソキさんの「バリ島」も、あなただけのカストマイズが可能なんですよ。例えば、『バリ島』に一番好きな場所を描き込んでもらう。自分自身を描き加えてもらうなんてリクエストも、ソキさんなら喜んで叶えてくれます。

そんな特別な一枚をオーダーしてみませんか。詳しくはこちらをどうぞ。

 

コメントをどうぞ

2016.6.12

生活に息づく模様たち②

こんにちは、坂本澄子です。

生活に息づく模様たち②は、バリで見つけた模様をご紹介します。

DSC01362棚田の景観で有名なジャティルイから戻る途中、ウブド郊外のとある民家で見つけた模様です。

日本のブロック塀にもところどころにこういった透かし模様がありますが、バリ島で見つけたそれは、青銅色をしたタイルで、花びらのような模様がレンガの壁によく似合っていました。

 

DSC01357 (1)お次はウブドのジャラン・カジェンで見かけた民家の門です。民家の門の上部には、必ずと言っていいほど、目をクリッと見開き、口をガッと開けた像が彫り込まれています。これはボマという魔除けの神様。よく見ると、上の写真の塀の上にも、ボマがちゃんといるのですよ。どこかわかりますか?

バリ島の門は狭く、入ると悪霊よけについたてのような壁があります。通りから見ると、ちょうど目隠しになっていて、石を掘って作った模様が幾重にも重なった美しい門の向こうにどんな風景が広がっているのだろうと、想像をするのも楽しい。

間違って入ってくる観光客がいるのでしょうね。柱に「PRIVATE」と注意書きがしてありました。

最後にご紹介するのは、バリの先住民と言われるトゥンガナン村に伝わる伝統的な織物、グリンシンです。「かすり」模様の一種ですが、縦糸だけでなく横糸もあらかじめ染めてから、2つの糸の位置を合わせながら模様に織り上げていく珍しいもの。複雑な作業を繰り返し、何年もかけてようやく完成する貴重な織物です。

グリンシン (1)グリン(病気),シン(なし)、無病息災を意味する魔除けとして、舞踊の衣装などに使われており、その幾何学的な模様には意味があるのだそうです。

真ん中の菱形のような文様は,村の四方にある門を表し,その四方位には村を守るサソリが描かれています。他にも、花,果実,馬,犬、寺院,家,星,影絵人形などが見られ,四角形でグラフ用紙のマス目を埋めたような形で構成されています。

PM006こんな伝統的な模様を絵画の中に忠実に再現しているのが、画家のアンタラ氏。背景には彫刻などにもよく用いられるバリ島の草や花の模様が描かれています

下地に砂を混ぜて作る絵肌が光の効果を作り出し、人物がふんわりと浮かび上がって見えますよ。

絵を通じて、バリの伝統や自然と共存する生活を伝えていきたいと、画家としてのチャレンジを続けるアンタラ氏の特集ページはこちらをどうぞ。

コメントをどうぞ

2016.6.9

生活に息づく模様たち①

こんにちは、坂本澄子です。
今年はどうも空梅雨になりそうですね。どんよりと垂れ込めた雲を見ると、いっそのことざーっと降ってくれた方がスカッとするのに、なんて考えているのは私だけでしょうか。そろそろ、バリ島のスコールが椰子の葉を打ち鳴らす音を聞きたくなってきました。

旧朝香宮邸 (1)最近、日々の生活の中で見かける模様が気になってます。そのきっかけになったのがこちら、白金にある東京庭園美術館です。旧朝香宮邸、アールデコ建築の洋館。フランスから設計技師を招聘して昭和8年に完成、1階の接客スペースはアンリ・ラパンが内装を担当、幾何学模様を配した装飾が光っています。

一方、2階、3階(サンルームがあります)の家族のためのスペースは、宮内庁内匠寮の職人たちが担当しました。かれらはこの建築にあたり、実際にフランスに赴き、現地で本場のアールデコを学んできましたが、右写真の階段手すりなどのデザインにはどこか和の香りを感じませんか。階段

窓枠やラジエーター(暖房器具)カバーなど、部屋ごとに異なる模様が施され、妃殿下みずからデザインされたラジエーターカバー、金平糖みたいなかわいい形のランプシェード、さらには排水溝の蓋金具に至るまで、「あら、こんなところにも」なんて、新鮮な発見が次々とあります。

個人のお宅に招かれたような感じで、アート鑑賞できるのもこの美術館ならでは。7月5日まで「メディチ家の至宝展」をやっています。メディチ家の栄枯盛衰の歴史を紐解きながら、肖像画や宝飾品を間近に鑑賞できます。ランチは新館の緑いっぱいのテラスで、そしてアートを楽しんだ後はすぐお隣の自然教育園の散策がオススメ。梅雨の合間をまいっぱい楽しめますよ!

次回はバリ島で見つけた素敵な模様をご紹介します。

 

コメントをどうぞ

2016.6.4

アンモナイトの夢

こんにちは、坂本澄子です。

バリ絵画を扱いながら、私自身も絵を描いていることについて、お客様から励ましのメッセージをいただいたり、展覧会を見に来ていただけることもあり、いつも嬉しく思っています。そこで、今日から開催の二科東京支部展のご案内をさせていただきます。

秋の二科展に先立ち、東京支部所属の作家たちの展覧会ですが、会員・会友の作品から公募で選ばれた若い作家さんの作品まで、毎年100点を超える展示で賑わいます。詳しくはこちらをご覧ください。

今回、私が描いたのはこちら、『アンモナイトの夢』という50号の作品。

アンモナイトの夢

ある日、インターネットで調べ物をしていたら、ちょっとしたキーの打ち間違いから、とても美しい石の結晶や化石の写真に出会うことができました。人間が生まれるずっと前、数億年という気が遠くなるような時間を経て掘り出されたアンモナイトの化石に、なぜか釘付けになってしまったのです。

いつも大地に心惹かれます。東京に住んでいると土を見ること自体が珍しいですが、硬いアスファルトの隙間から押し出されるように生えている雑草を見ると、覆い尽くされた地面の下に確かに存在する大きな力を感じます。

アンモナイトが棲んでいた海の底が隆起して地表に押し上げられ、様々な地殻変動を経験した長い時間、彼女はいったいどんな光景をみてきたのだろうかと想像してみました。海の底から見上げた明るい海面、大地、そして満点の星空。そんなものが頭の中に浮かんでは消え、いつしかアンモナイトに同化していました。

ところで、私がバリ島を好きな理由もちょっと似ています。自然と人が共存している…というよりも、大きな自然の中に人間が紛れて生活している、そんな感じです。以前、ガムラン奏者の櫻田素子さんも同じようなことを言われたことがありました。大編成のガムラン楽隊はゴーっと地面を揺るがす風の音、竹のリンディックはピチピチと地面が弾むような音。そんなふうに地面に近く生活し、互いに呼応するのだそうです。

地面に手をあててその息遣いを感じてみたくなる、そんな作品に仕上がっていたらいいなあと思います。

コメントをどうぞ

2016.6.1

最近読んだ本から

こんにちは、坂本澄子です。

ごめんなさい、10日もご無沙汰してしまいました。

実は広島の実家に帰っておりました。滅多に電話をかけてくることのない母から、突然弱った声で、「ふたりとも具合が悪くて…」と連絡があり、さすがに慌てました。その日は朝から出かけていたのですが、着替えも仕事の道具も持たず、そのまま東京駅へ直行、新幹線に飛び乗りました。

おかげさまでそれほど深刻な状態ではなかったのですが、両親とも結構な高齢、父が骨折をして自分では何もできなくなったことに端を発し、負担のかかった母もついにダウン。ほんの数ヶ月前の元気な姿は見る影もなく、親が年をとるということはこういうことなのかと、じわじわ来た次第です。

大学から親元を離れたので、一緒に暮らしていた時間は短く、「便りがないのはよい知らせ」といやみを言われるくらい、淡々とした親子関係だったと思います。これからはもう少し一緒にいる時間を増やすようにという、神様からのメッセージなのかも知れませんね。皆様もどうかご両親を大切になさってください。

51llOLdehxL._SX348_BO1,204,203,200_いろいろ大変でしたが、いいこともありました。病院の待ち時間、行き帰りの新幹線で、かなり本が読めました。

特に面白かったのが、原田マハさんの『#9 ナンバーナイン』、上海を舞台にした大人の恋愛小説です。かつてMoMA(ニューヨーク近代美術館)に勤務し、キュレーターでもある原田さん。モダンアートの取引に関わる舞台裏が丁寧に描かれています。中国奥地の寒村に生まれた画家が描いた、心に染み渡る風景は、ウィラナタの棚田の風景を思わせました。「#9」というタイトルの意味は何か、急展開していくストーリーは、終わりに近づくほど、2行一緒に読んでももどかしいくらい。アート好きなあなたにオススメですよ〜。

51yPl+0ey0L._SX344_BO1,204,203,200_帰りの新幹線に乗る前に、駅の本屋さんの新刊コーナーでパッと手に取ったのが、村上春樹さんの『村上ラジオ3』。随分昔にイラストレーターの安西水丸さんとコラボされた、『ランゲルハンス島の午後』という絵本がありましたが、この『村上ラジオ』も洗練された文章と素朴なイラストがいい感じで絡み合っています。2000年3月からアンアンで連載されたエッセイが単行本化されたシリーズ第三弾。アンアンの読者=若い女性と村上春樹さんって、なんだかあまり結びつきませんが、余計な雑念がない分、自由に書きたいことが書けたとご本人談。何気ない日常(といっても、多くは海外が舞台なのでオシャレなのは羨ましい限り)の光景が独自の視点で描かれています。

あなたは最近どんな本を読まれましたか?

コメントをどうぞ