生活に息づく模様たち②
こんにちは、坂本澄子です。
生活に息づく模様たち②は、バリで見つけた模様をご紹介します。
棚田の景観で有名なジャティルイから戻る途中、ウブド郊外のとある民家で見つけた模様です。
日本のブロック塀にもところどころにこういった透かし模様がありますが、バリ島で見つけたそれは、青銅色をしたタイルで、花びらのような模様がレンガの壁によく似合っていました。
お次はウブドのジャラン・カジェンで見かけた民家の門です。民家の門の上部には、必ずと言っていいほど、目をクリッと見開き、口をガッと開けた像が彫り込まれています。これはボマという魔除けの神様。よく見ると、上の写真の塀の上にも、ボマがちゃんといるのですよ。どこかわかりますか?
バリ島の門は狭く、入ると悪霊よけについたてのような壁があります。通りから見ると、ちょうど目隠しになっていて、石を掘って作った模様が幾重にも重なった美しい門の向こうにどんな風景が広がっているのだろうと、想像をするのも楽しい。
間違って入ってくる観光客がいるのでしょうね。柱に「PRIVATE」と注意書きがしてありました。
最後にご紹介するのは、バリの先住民と言われるトゥンガナン村に伝わる伝統的な織物、グリンシンです。「かすり」模様の一種ですが、縦糸だけでなく横糸もあらかじめ染めてから、2つの糸の位置を合わせながら模様に織り上げていく珍しいもの。複雑な作業を繰り返し、何年もかけてようやく完成する貴重な織物です。
グリン(病気),シン(なし)、無病息災を意味する魔除けとして、舞踊の衣装などに使われており、その幾何学的な模様には意味があるのだそうです。
真ん中の菱形のような文様は,村の四方にある門を表し,その四方位には村を守るサソリが描かれています。他にも、花,果実,馬,犬、寺院,家,星,影絵人形などが見られ,四角形でグラフ用紙のマス目を埋めたような形で構成されています。
こんな伝統的な模様を絵画の中に忠実に再現しているのが、画家のアンタラ氏。背景には彫刻などにもよく用いられるバリ島の草や花の模様が描かれています
下地に砂を混ぜて作る絵肌が光の効果を作り出し、人物がふんわりと浮かび上がって見えますよ。
絵を通じて、バリの伝統や自然と共存する生活を伝えていきたいと、画家としてのチャレンジを続けるアンタラ氏の特集ページはこちらをどうぞ。