バリアートショールーム オーナーブログ
2014.10.29

目に見えない大切なこと

こんにちは、坂本澄子です。

ウツワツ寺院より海を感じるこの写真を見てください^o^

この壁の向こうに、見えないけど、地平線まで続く蒼い海を感じませんか?

バリ島最南端。断崖絶壁に建ち、インド洋に沈む夕陽の美しさで有名なウツワツ寺院です。でも、そのことを知らなくても、波の音が聴こえてくる気がするのは、この写真が「見る人の想像力を喚起する」からなのでしょうね。

PS005絵にもこれと同じだと思うことが時々あります。淡く霞むような描き方が、そこに暖かい空気を感じさせ、さらにその向こうに続く景色を想像させる。例えば、ガルー(GALUH)さんの『早暁の静謐』のように。

それとある意味、対極にあると思っていたのがソキ(SOKI)さんの絵でした。

鮮やかな極彩色で、実に細かく描き込んであります。想像して愉しむというより、そのものを見て楽しむ作品だと思っていました。

でも、ソキさん自身からこの作品の説明を聞いたとき、見方が変わったのです。

OY001『バリ島2 〜誕生・生活・死〜』は、人生の様々な局面における祭礼と神々との関わりを描いてほしいと依頼された作品。

「正直、最初は戸惑いました。神様を描いたことがなかったので」とソキさん。

確かに、いつもは神様の姿は描かれていません。でも、ソキさんはご自分の絵を通じて、神様によって守られ、秩序だてられたバリ島の世界観という「目には見えないもの」を表現し続けているのではないかと、思い至ったのです。

80cm×100cmのキャンバスに約20の場面、100人以上の人がぎっしりと描き込まれていますが、ひとりとして意味なく描かれている人はありません。誰もが、それぞれの場面で重要な役割を担っています。

昔読んだ本の「大切なものは、目に見えない」という一文を思い出しました。サン=テグジュペリの『星の王子さま』です。

私たちって、つい目に見えるものばかりを追ってしまいますよね〜。

ソキさん自身にこの作品について語ってもらいました。3分のムービー、ぜひご覧になってみてください!

 <関連ページ>

「神々の島〜バリ島を描く」Youtube

「2つのバリ島」作家自身が語るこの絵の見どころ

 『バリ島2〜誕生・生活・死〜』・・・注文制作を承ります。詳しくはこちらを

 

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2014.10.25

バリ絵画のあるオフィス この意外性がお客様の心を

こんにちは、坂本澄子です。

寒くなってきましたね。私はさっそく鼻風邪をひいちゃいました。くれぐれもお身体に気をつけてくださいね。

さて、今日はバリ絵画のある「オフィス」のご紹介です。

投稿くださったのは、銀座にほど近い東京・京橋に9月末に新オフィスを開設された薬袋(みない)税理士事務所さま、相続・遺言専門の税理士さんです。

代表税理士の薬袋様は20年ほど前に新婚旅行でバリ島を訪れて以来、いつか事務所を南国リゾートのサロン風にしたいと、ずっと構想をあたためておられたそう。

「税理士事務所って、初めて訪れる方には少し硬く、地味で敷居が高いイメージでしょ」

確かに、そう言われてみると…。

「第一印象はとても大事なので、このイメージを打破する意外性と、どこか懐かしいバリ風の落ち着いた空間を作ることで、お客様が心を開いてくださるんじゃないかと思いました」

なるほど! さっそくご案内いただきました。

応接室こちらがお客様から相談を受ける応接室。

壁紙をバリのリゾートホテルをイメージした温かみのある材質を使い、逆に机・椅子は黒・シルバーといったシャープなモノトーンでまとめています。

この部屋に選ばれたのが、WIRANATAの「一日の始まり」。朝のひんやりとした空気が伝わってきそうな寒色系の色使いと、無垢の天然木を使った額縁の組合せが、両者を橋渡しする役割を果たし、空間全体に美しい調和を生み出しています。

「ウィラナタさんの重厚な作品がぐっと雰囲気を引き締めてくれて、非常にマッチしていますね」と、薬袋様も満足されたご様子です。

オフィスお次は、スタッフの方々がお仕事されるバックオフィス。この壁面は先程の応接室のウィラナタの絵が飾られたちょうど真裏にあたります。

「観葉植物のように潤いを与えてくれる緑がほしかったんです」

う〜ん、こちらもいい感じです。和気あいあいと仕事をされるスタッフの皆さんの輪の中に、LABAさんの描いたヒョウくんもしっかり仲間入りしてますね。

エントランス最後はエントランスです。こちらではRAJIGさんが描いた2羽の野鳥がお客様をお出迎えしています。

「手で触れられそうなほど、野鳥がすぐそこにいる感じがします」

 

初めて事務所を訪ねたお客様はこの空間に一歩足を踏み入れた瞬間から、あたたかいおもてなしの心を感じられることでしょう。薬袋様はお客様との対話をとても大切にされる方。今回、バリ絵画を通じて初めて知り合った私もそう感じました。 

税に関するちょっと重たい問題を抱えた方々の心を軽くするステキな空間(サロン)。千客万来をお祈りします!

 

<関連ページ>

薬袋税理士事務所オフィシャルサイト

バリ絵画のあるお部屋 ・・・お客様からのお便り、投稿写真をご紹介しています

 

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2014.10.22

注文制作であなただけの一枚を

こんにちは、坂本澄子です。

少し前のことですが、お客様から「5羽の野鳥の絵が欲しい」とのご相談がありました。バリの野鳥画と言えばつがいが定番。

「え、5羽ですか?!」

ブログ175_5羽の野鳥聞けば、奥様とお嬢様3人の5人家族。森で楽しげにさえずる野鳥たちの姿に、ご家族を重ね合わせたのだそう。

上のお嬢様おふたりは既に成人されており、独立される日もそう遠くないかも知れません。「5人揃って暮らせるのも…」、そんなお父さんのちょっぴり切ないお気持ちがひしひしと伝わってきました。

こんなふうに大切な人との絆を絵で残す、素敵ですね。

新居への引っ越し、ご自宅のリフォームなど、住まいの変化をきっかけに絵を初めて購入される方、結構多いんです。そんなとき、何点も同じものがある版画ではなく、世界でたった一枚の絵、それも、大切なものを託した「本物の絵」を飾ってみませんか?

PP027例えば、蓮池を題材にするなら、友人が訪ねてくれる賑やかな家をイメージして、蓮の花をたくさん描いてもらう。あるいは、奥様と2人を大輪の花に見立てて、やがて生まれてくる子供たちをかわいい莟で表現してみる…とか^_^

こうすることで、いつか「そういえば、あの頃は…」って、歩いてきた道を振り返って、ひとまわり成長した自分と家族を感じることができると思うのです。

「バリアートショールーム」では、注文制作をお受けしています。画家のご指名ももちろんOK。

「でも…、注文制作は高いでしょ?」

いえいえ、そんなことはありません。画家とサイズが同じなら、基本的にはサイト掲載作品と同じ価格です。バリからの配送料の半額だけご負担下さい。

注文制作はこんなふうに進めます。まずは、お問い合わせフォームからお気軽にご相談下さい。

<関連ページ>

ご注文制作の流れ  題材の選び方、経過報告、お支払いなど、作品お届けまでの流れ

 

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2014.10.18

南の国のあたたかいおもてなしを感じるお店

こんにちは、坂本澄子です。

筋金入りのバリ好きに会いました。

赤坂のダイニングバー”セナン”のオーナー志村香奈子さんです。

元上司(ステキな女性)に「ぜーったい気が合うから」と連れられて、初めてお店に伺ったのが1ヶ月半前。一気にテンション上がったのは、お店に飾られたバリ絵画。ソキさん、ガマさんの作品もあるじゃないですか^o^

ブログ173_セナンお店の中央に鉤の手に置かれた大きな無垢のバーカウンター。ここに腰掛けると、樹の温もりと共に、「南の国のあたたかいおもてなし」へのこだわりが伝わってきます。

この一枚板、コンテナでバリから日本に持ってきた後、ビルの7階にあるお店にどうしても入らず、滑車で1階ずつつり上げたんですって。その職人さんの数、なんと20人。

「テーブルそのものよりもよっぽどお金がかかりました。もう、やっちゃいました〜って感じ」と語る香奈子さん、ちょい天然まじりの癒し系。それでも諦めたくなかったという彼女の思い入れの深さが、このお店の随所に溢れています。

例えば、テラス席。バリの画家が描いた大きなウブド・スタイルの絵が飾られ、その横には芸能の神様サラスワティの木像が。赤坂という都心にありながら、空が近くに感じられる場所です。冬はテーブルをコタツにして、はんてんを着て、お鍋がいただけるそう^o^

お料理がこれまた絶品!北海道出身の桝田シェフが作る旬の素材を生かしたメニュー。お腹の具合を伝えておまかせでお願いすると、その日の最も良い素材をいただけます。

この日はビンタンビールで乾杯の後、

IMG_20141015_181947 IMG_20141015_183314 IMG_20141015_185009 ブログ173_セナン料理

・スープ:カボチャを丁寧に裏ごししたやさしいお味

・前菜:根室のサンマと旬の野菜のマリアージュ

・箸休め:椎茸を半日煮詰めて作った香り高いきのこの茶碗蒸し

・メイン:北海道雄武町で水揚げされたオホーツク海の鮭のグリル

・〆のご飯:土鍋でチキンと一緒に炊いたご飯にシャキシャキのサニーレタスを混ぜ、自家製の薬味でいただきます

・デザート:香奈子さんお手製のクリームブリュレ

あ〜、おなかいっぱい、心もほかほか。

飲み物はお料理にあったワインをセレクトしてもらえますが、バリの焼酎アラックも充実しています。

 バリの話題で盛り上がる中、思わず身を乗り出したのが、海溝の上をシュノーケリングした香奈子さんの話。澄んだ海水の彼方に、暗く吸い込まれていく深い谷を見た時に、「怖い」という感覚が全身を駆け巡ったのだそう。

圧倒的な自然の存在を前に、誰もが感じるのは畏敬の念。

その光景を思い浮かべ、高所恐怖症(海溝に高所というのかどうだか…^o^;)の私はさらにゾクゾク〜っと。この場所、バリ島から船で沖合に出たところにあるのだそうですが、香奈子さん、どうしても名前を思い出せず。ダイビングをする方ならご存知かも知れませんね。わかりましたら、ぜひ教えて下さい!

目下の私の夢は、いつかここでバリ絵画ファンの集いをすること。絵をいっぱい飾って、シェフの美味しい料理に舌鼓をうちながら、バリへの熱い思いを語る…、なんてどうでしょ^o^/

セナンダイニングバー / 赤坂駅赤坂見附駅溜池山王駅

夜総合点★★★★ 4.7

<関連ページ>

セナン (Senang)  赤坂のBali Style Dining

ソキ作品 明るいポップな作風に、バリの暮しと伝統がぎっしり詰まってます

ガマ作品 大胆な色使いの背景色に咲き乱れる熱帯睡蓮

ガマ氏の作品は10月26日まで開催の「気軽に飾れるバリアート展」@豊洲で実物がご覧になれます。

 

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2014.10.15

人生二毛作、それまでと違う生き方

こんにちは、坂本澄子です。

先日、ノンフィクションライターの大宮知信さんにお会いする機会がありました。

大宮さんは夕刊フジの週刊コラム『人生二毛作』を担当され、これまでも、人生の後半戦に違う生き方を選んだ人たちを数多く見てきたそう。

「いやあ、『人生二毛作』というのは、米を作った田圃で畑をやるのと同じで、全然違うことをしているという意味なんですが…」

実際は、それまでの仕事と何らか関係がある形で独立する人が大半だそう。事前にしっかり基盤を作った上で、みなさん会社を辞めていらっしゃる。

私が過去に積み上げたものをあっさりと手放して別のことを始めたのを見て、

「ここまで、いさぎよいと言うか、無鉄砲な人も珍しいですね〜」と、二毛作の太鼓判を押して下さいました(^o^;

ウブドの田園風景この『人生二毛作=違う自分になってみたい』という願望は、多かれ少なかれ誰もが持ってるのでは。私が会社を辞める時、同世代の、特に男性の同僚が口を揃えて羨ましがってくれました。(羨ましがられるほどラクな生き方ではないですが^o^;)

そりゃ、怖かったですよ。

それでもやろうと思ったのは、どんなに準備万端で臨んでも、一瞬ですべてを失ってしまうこともある。だからこそ、バリの人々の神様に委ねる生き方に惹かれたのです。

そして、最後に背中を押されたのは、新しい世界にトランジットするための条件が整えられ、道が開かれたこと。そこに、何か大きな意思を感じました。

それまでは、いつも「自分でなんとかしなきゃ」と、走り回っては疲れていました。

もちろん努力することは大切なこと。それによって変えられることは多くあります。でも、人には変えられないことがあると思うのです。

以前、ある人がこんな言葉を教えてくれました。

アンタラ氏の作品にはいつも祈りがある

アンタラ氏の作品にはいつも祈りがある

God grant me the serenity to accept the things I cannot change; courage to change the things I can; and wisdom to know the difference. (The Serenity Prayer : ラインホルド・ニーバー)

変えられないことを受け入れる静穏さを。変えられることを変える勇気を。そして、変えられることと変えられないことを識別する知恵をお与え下さい。

私がバリ絵画を通じてお伝えしたいことも、実はこういったことなのです。

バリに移住することも、日本にいてバリの人々のような生き方をすることも難しい。でも、自分に与えられた道を知り、肩の力を抜いて行きていくことはできるのでは。そんなふうに思っています。

 

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2014.10.11

「tomuさんのバリ島旅日記」 〜 心に染みる風景

こんにちは、坂本澄子です。

大好評の『tomuさんのロンボク島旅日記』、ブログへの掲載後もFacebookで写真を毎日ご紹介、最後はオマケの写真までひっぱり出してもらいました。

元同僚がバリ島、ロンボク島へと嫁ぎ、毎夏お二人を訪ねる旅を続けるtomuさん。普通の観光ではなかなか目にすることのないディープなバリが、写真の中に息づいています。

ブログ172_バリ島地図そこで、またまた無理をお願いして、今度はバリの写真を引っ張り出してもらいました〜。

これまで訪れた主な場所が青い星印。ヌサドゥア、クタといった、観光客が訪れる街には縁がなかったそう。

なかでも、西部の村ヌガラは空港から車で3〜4時間もかかる場所。「竹のガムラン、ジェゴグの故郷を突撃取材したいという元同僚の一言で行っちゃいました〜」

今日はその道すがら出会った、海辺のほっとする風景を集めてみました。

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最初に出会ったのが

根本から大きく分かれた樹

珍しくて行ったり来たり

 

 

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海沿いにあるランブッ・シウィ寺院

朱い石門と碧いインド洋がバリ島らしい

蝉の鳴き声だけが聞こえていた

 

 

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海へと続く石畳を歩くと

プナタラン寺院

屋根に散ったプルメリア

 

 

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狛犬も潮風に吹かれての〜んびり

打ち寄せる波の音だけが

悠久の時を告げている

 

 

ようやくヌガラに到着。

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ここでは馬車も交通手段

人も荷物もの〜んびり

 

 

 

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ジェゴグ

太い竹の空洞を通して

空気を振るわせる

お腹にずどんと響く重低音

 

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活気溢れるヌガラの市場

色んな魚介が並んでる

売り上手なお母さんたち

 

 

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市場の前で出会った男の子

お姉ちゃんとケンカしたのかな

お目がちょっぴり潤んでた

 

 

 続きは明日からFacebook pageに連載します。こちらにアクセスしてみてくださいね!

<関連ページ>

バリ島の一流画家たちが描くバリの風景

お求めやすい価格で気軽に飾れるバリアート

 

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2014.10.8

潤いのあるオフィスにこそ絵を

こんにちは、坂本澄子です。

一昨日は最大級の台風でしたね。私は朝から出かける用事があったのですが、濡れても構わないように、開き直って素足にサンダル履き、アスファルトの水たまりはじゃぶじゃぶと歩きました^^; 午前中の打合せが終わる頃には青空が広がっていました。皆様の街は大丈夫でしたでしょうか。

先日の絵画展に来てくださったお客様からオフィスに飾る絵のご相談を受けました。新しくオフィスを開設され、応接室にバリ絵画を飾りたいと声をかけてくださったのです。大感激。

PM001-03前職では20年以上営業職だったので、色んな企業様を担当しました。会社の規模に関わらず、きちんとした会社には大抵ロビーとか応接室に絵が掛かっていました。社員のどなたかが描かれたものもあれば、画家の作品の場合もありました。私の勤めていた会社にもロビーに大きな絵が掛かっていました。ご縁あって寄贈されたものだと聞いていましたが、あるときその絵がプロモーション用のパネルに置き換わってしまいました。たかが絵と思われるかも知れませんが、今思えば、会社としての懐の深さをあの絵が象徴していたような気がします。自分自身のそんな経験もあってか、今でも、企業様を訪問した際に絵が飾ってあると何だかほっとします。

企業もますます効率や生産性が重視されるようになりました。それはそれで大切なことなのですが、何でもきっちりかっちりで遊びの部分がないと、どうしても殺伐とした雰囲気になります。私はその社長さんが「新しいオフィスに観葉植物の代わりに緑の絵を飾りたい」と考えたその発想をとても素晴らしいと思いました。

PS005-01もちろん来社されるお客様の目にも触れるでしょう。中には絵に造詣の深い方もおられるかも。そんな時、バリ絵画だと有利なことがあります。描かれている題材について、ちょっとばかり蘊蓄が語れるからです。例えば、この絵だったら、バリ島は日本と同じ山がちな地形で、棚田がとても美しいといった話に始まり、「気候がいいので年3回お米が穫れるんです。そのため、隣り合った田圃でも、一方は田植え、もう一方はたわわに実っているといった光景がよく見られるんだそうですよ」とちょっとした雑談ができます。こんな小さなことがきっかけで心を開いてくれるお客様は意外と多いものです。

大切な社員さん、大切なお客様のためにオフィスに潤いとバリ絵画はいかがですか^o^

「気軽に飾れるバリアート展」@豊洲にも是非お越しください! お求め安い価格帯の作品(もちろんプロの画家が描いた一点物)を展示しています。

<関連ページ>

気軽に飾れるバリアート展@豊洲まちなみ公園 10月26日まで好評開催中!

作品(上)『陽光の微笑』BOLIT

作品(下)『早暁の静謐』GALUH

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2014.10.4

想像力up講座:その視線の先にあるものは?

こんにちは、坂本澄子です。秋も深まってきました。空気が澄んで、昼間の景色も夜の街灯りもとてもきれいですね〜。

前回から大人の絵の愉しみ方をご紹介していますが、風景画を愉しむコツは「その風景の中に自分も入ってみること」だと私は思います。

ブログ169_豊穣の女神

そこで、今日はアンタラさんの最新作『豊穣の女神』の風景に入り込んでみたいと思います。

さっそくむっとした熱さが感じられましたか?では、そこには何が見えますか?

やはり、真っ先に目の前の美人に目が行きますよね〜。これはバリ島の神様なんです。『神々の島』バリ島にはたくさんの神様がおられますが、ここに描かれているのは、デウィスリ(Dewi Sri)という「豊穣の女神」なんです。

その他には何が見えますか? 人がたくさんいますね。

171_祈るちょっと拡大してみます。 この小さな塔みたいなものはDewi Sriを祀った祠(ほこら)で田圃ごとに建てられています。右側でひざまずいている女性は豊作を感謝しているようですね。左側の男性は? 丸く束ねられたものがいくつも見えますね。これは刈り取った稲を束ねたものですが、丸い形になるのは、穂先だけを刈っているからなんです。

ブログ171_バンジャールあたりを見回してみると、たくさんの人がいます。何だか楽しそうに働いています。誰々のところはこの前子供が生まれて…、なんて明るい声が聴こえてきそうです。バリ島にはバンジャールと呼ばれる村人たちの自治組織があり、隣組ごとに共同で、農作業、冠婚葬祭、宗教行事など、生活全般に渡る様々なことにあたっています。実りは、家族や隣人たちとの関係を豊かに潤し、それは神様から来るものだと、アンタラさんが教えてくれました。

あなたにはどんな音が聴こえますか。匂いはどうでしょう。

少し先には川が流れていますね。バリ島では雨は北部の山岳地帯に多く降り、その雨水が南部の平野部へと流れますが、1000年以上も続くスバックと呼ばれる仕組み(水利組合)があり、田圃に平等に水が行き渡るようになっています。このスバックのお陰で、バリ島には水を巡る争いがほとんど起こらなかったと言います。

ブログ171_デウィスリ彼方の上空には鳥が群れをなして飛び、どこまでも続く地平線を見ていると心が次第に開いていきませんか。では、ゆっくり視線を手前に戻してみて下さい。稲穂が重そうに実り頭を垂れています。ゆっくりと女神に視線を戻してみると、慈悲に溢れたお顔。でも、女神は一体何を見ておられるのでしょう。この視線の先には何があるのでしょうね。

自由に想像力を働かせて考えてみて下さい。

<関連ページ>

アンタラ特集ページ

アンタラ作品紹介

 

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2014.10.1

大きな絵の持つ魅力・魔力② 大人の絵の愉しみ方

こんにちは、坂本澄子です。今日から10月ですね。私が秋の生まれだからなのか、それとも気候のよさがそうさせるのか、色んなことをモリモリやってみたくなっています^_^ あなたはいかがですか?

前回、大きな絵には全体の構図や絵を構成する要素に、画家としたの色んな工夫や苦労があるというお話をしましたが、今日はその続編として、大人の絵の愉しみ方をご提案したいと思います。

美術館やギャラリーで絵を見るときって、どんなふうに見ておられますか?「わあ、きれい」「おもしろい」といった第一印象だけで終わっていたり、はたまた、キャプションをじっくり読んで、「そうか〜」と妙に納得してたりすること、あったりしませんか? 最後にショップで図録を買うと、何だか「見ました」って気持ちになりますよね。そう言えば、小学生の頃、プリントを提出すると、「みました」スタンプが押されて返ってきましたが、ちょっと似てるかも..です(^o^; 実は、私もかつてはそんな一人で、特に誰もが知っている名画と呼ばれる作品だと「この作品はこう見るもの」という先入観に捕われていました。

ブログ170_絵のはじめそんな私の絵の見方が変わってきたのは、バリ島で画家のアトリエを訪問し、絵の描かれるプロセスを見せてもらうようになってからなんです。ほとんどの画家は新たな作品に着手するとき、イメージした構図に従って、キャンバス上に大まかに色をおいていきます。右の写真はその第一段階が終わったところです。旧約聖書の創世記に、神様はまず天と地を創造された。そして「光よあれ」と言われると光が現れた。そして、光と闇を区別されたというくだりがありますが、まさに天地創造をキャンバス上で実行している感じです。

7割完成

7割完成したところ。この後に人物が描かれ、物語性が付加されました

で、構図を作った上に構成要素を描いていくのですが、この時、あたかもその風景の中に自分自身もいるかのような感覚で、見えるものを描いていくのだそう。そこには、風があり、花の香りがただよい、川のせせらぎが聴こえているかもしれません。五感を働かせて感じるものを描いていきます。そして、人物を描くときには、その人と自分の関係。自分自身を描いているとすれば、その時の心情など、細部に渡って描き込んでいきます。

描き手のそのようなプロセスを経て絵が完成しているのであれば、見る方もその絵の中に自らを置いて、五感を働かせてみるのはいかがでしょうか。例えば、小説を読んでいるとき、自然に感情移入し、その物語の中に自分もいるかのようにハラハラしたり、喜んだり、時に涙したりしてますよね〜? それと同じことを絵でもやってみませんかということなんです。 すると、また別の見方ができ、ひとつの作品に奥行きができると言いますか、立体的な愉しみ方ができますよ。

そんなこともあって、最近どうも大きな絵に惹かれてしまう私です^o^ アンタラさんの最新作『豊穣の女神』もそんなプロセスを踏んで描かれています。次回、そんなお話も織り交ぜながら、続きをお話しま〜す。

季節の変り目、お身体に気をつけてお過ごしくださいね。

 

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