アンモナイトの夢
こんにちは、坂本澄子です。
バリ絵画を扱いながら、私自身も絵を描いていることについて、お客様から励ましのメッセージをいただいたり、展覧会を見に来ていただけることもあり、いつも嬉しく思っています。そこで、今日から開催の二科東京支部展のご案内をさせていただきます。
秋の二科展に先立ち、東京支部所属の作家たちの展覧会ですが、会員・会友の作品から公募で選ばれた若い作家さんの作品まで、毎年100点を超える展示で賑わいます。詳しくはこちらをご覧ください。
今回、私が描いたのはこちら、『アンモナイトの夢』という50号の作品。
ある日、インターネットで調べ物をしていたら、ちょっとしたキーの打ち間違いから、とても美しい石の結晶や化石の写真に出会うことができました。人間が生まれるずっと前、数億年という気が遠くなるような時間を経て掘り出されたアンモナイトの化石に、なぜか釘付けになってしまったのです。
いつも大地に心惹かれます。東京に住んでいると土を見ること自体が珍しいですが、硬いアスファルトの隙間から押し出されるように生えている雑草を見ると、覆い尽くされた地面の下に確かに存在する大きな力を感じます。
アンモナイトが棲んでいた海の底が隆起して地表に押し上げられ、様々な地殻変動を経験した長い時間、彼女はいったいどんな光景をみてきたのだろうかと想像してみました。海の底から見上げた明るい海面、大地、そして満点の星空。そんなものが頭の中に浮かんでは消え、いつしかアンモナイトに同化していました。
ところで、私がバリ島を好きな理由もちょっと似ています。自然と人が共存している…というよりも、大きな自然の中に人間が紛れて生活している、そんな感じです。以前、ガムラン奏者の櫻田素子さんも同じようなことを言われたことがありました。大編成のガムラン楽隊はゴーっと地面を揺るがす風の音、竹のリンディックはピチピチと地面が弾むような音。そんなふうに地面に近く生活し、互いに呼応するのだそうです。
地面に手をあててその息遣いを感じてみたくなる、そんな作品に仕上がっていたらいいなあと思います。