バリアートショールーム オーナーブログ
2013.7.31

小さなギャラリーがぎっしり詰まったレトロなビル

こんにちは、坂本澄子です。昨日、絵を習っている明輪勇作先生の個展を見に、銀座に行ってきました。奥野ビルってご存知ですか?昭和7年に建てられたレトロなビル、エレベーターはなんと手動でドアを開けるタイプです。聞けば、テレビ番組でもよく取り上げられる知る人ぞ知る銀座のアートスポットですが、元は高級アパートメントとして作られた建物だとか。1時間ほど店番をしていると、カメラを首から下げた観光客と思しき外国人や銀座散歩を楽しむついでに立ち寄った風の年配のカップルなどが、一組また一組と入って来られます。ギャラリー自体は3帖あるかないかの小さな空間ですが、こんな感じのアートスペースがビル全体にぎっしり入っています。郵便受けもほらこの通り(写真)、開催中の展示会を知らせる色とりどりの案内が賑やかです。

奥野ビル外観奥野ビル郵便受け手動式エレベーター趣のある各部屋のドア

日本人は美術館にはよく行きますが、画廊は敷居が高くて…という人がほとんどです。確かにドアを開けて中に入るのはちょっと勇気がいりますが、個展の楽しみは何と言っても画家と直接話せること。今回、明輪先生の個展では約15点が展示されていますが、生徒の私も先生の作品を直接見る機会は個展、グループ展の場くらい。そこで、ステキな作品があると、どんな思いで描かれたのか制作意図をお訊きすると、お話を聞いている方も制作意欲が湧いてくるから不思議です。明輪勇作展は8月3日(土)までやっていますので、よろしかったら銀座お散歩がてらどうぞ。

ドキュメンタリー映画「アートの森の小さな巨人」のモデルになったヴォーゲル夫妻のコレクターとしての生き方は、アートともっと身近につきあう上でのよいお手本になります。郵便局員だった妻のドロシーの収入で生活しながら、画家である夫の絵が売れるとそのお金でコツコツと現代アートを買い求め、最終的に4000点を超えるコレクションをナショナル・ギャラリーに寄付しました。絵を購入するにあたって、二人の間でルールとしていたことが2つあったそうです。ひとつは作品の大きさや金額をニューヨークのアパートメント暮らしという身の丈に合わせること。もうひとつは、作家と知り合い過去の全作品を見た上で購入することです。作家と知り合うことは容易なことではありませんが、作品には作家の思想が込められているもの、そこに共感できるかどうかはとても大切なことですよね。ちなみに、アメリカは1年以上保有した作品を寄贈すれば、時価に相当する金額が税金から控除されるそうです。一方、日本は若干の優遇がある程度。アートの浸透に国の政策が大きく関わっていると感じます。

バリは距離もあって画家に直接会える機会は多くありませんが、その分、画家の素顔をお伝えしたり、新作を入手したときは作品に込めた思いを含めてお届けすることにこだわっています。バリ伝統絵画の場合、作家の強い個性というよりは、バリ島という風土の中で育まれた世界観を表現する側面が強いので、作品に描かれるものの背景を知ると愉しみが一段と深まりますよ。

 

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