バリアートショールーム オーナーブログ
2014.5.14

絵が呼び起こすイマジネーション

こんにちは、坂本澄子です。
先日Facebookに「どこでもドアがあったらいいな」という投稿をしたところ、「どこでも窓」なるものがあるとのコメントをいただきました。みなさん、ご存知でしたか?ご興味ある方はこちらに動画がありますのでどうぞ。

どこでも窓実物を見たことはありませんが、ムービーを見た感じでは、その場にいる雰囲気がかなり味わえそうです。プロジェクターを使用するので、窓の向こうの風景が自由に変えられるのもいいですね。そのうち、その時々の気分で映像が変わり…といった、高校時代に読みあさった星新一さんのショートショートに出て来るような未来の生活を思い浮かべました。ITの進歩によってこんな生活ができる日もそう遠くはないかも知れません。

その一方で、アナログなものの持つ力もあなどれませんよ〜。

51cNUdZY69L._SL500_AA300_今、村上春樹さんの『女のいない男たち』(文藝春秋)を読んでいます。売上トップに入り書店に平積みされていますので、お読みになっているかも知れませんね。そこに収録されている『イエスタディ』という短編の中にこんな箇所があります。

「音楽にはそのように記憶をありありと、時には胸が痛くなってしまうほど克明に喚起する効用がある」

この物語に登場する主人公(男)の大学時代の友人木樽は、生粋の東京生まれ・東京育ちにも関わらず完璧な関西弁を話すちょっと(かなり)変わり者で、ビートルズのかの有名な表題曲を関西弁でヘンな替え歌にして歌っていました。16年たった今、その歌詞はほとんど覚えていないけれども、この曲を耳にするたびに、半年という凝縮されたつきあいの中での彼との会話や情景が自然に蘇ってくるというのです。

ここを読んで、身につまされました。村上春樹さんの作品にはこんなふうに、「そうそう、よくぞ言ってくれました」と共感することが多く、大好きな作家のひとりなのですが、同じように絵にも、普段は心の奥底に眠っている記憶を呼び覚ます効用を果たすときがあります。一旦、水面に引き上げられた記憶はそのときの情景や心のありさまを呼び起こし、立体的なイメージを脳内に浮び上がらせます。

「どこでも窓」が2Dならこちらは(3+α)Dでしょうか、つくづく人の持つ想像力は無限であると思います。

少年たちの情景私にとってのそんな絵のひとつが、LABAさんの『少年たちの情景』です。特に今日みたいに「これから夏がやってくる!」と感じるお天気の日にこの絵の醸し出す昭和っぽい雰囲気や緑色の深さに触れると、遠い昔のある夏休みのできごとを思い出します。その記憶の持つ優しさや切なさを感じることによって自分への信頼を取り戻し、今こうして守り生かされていることを感謝するのです。

絵の持つ力ってすごいですよね。ぜひあなたにもそんな作品に出会っていただきたいと思います。

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