バリアートショールーム オーナーブログ
2016.8.17

軽井沢の休日② 千住博美術館

こんにちは、坂本澄子です。
軽井沢の休日第二弾は、「軽井沢千住博美術館」をお届けします。

あちこち美術館巡りをして思うことは、大規模な企画展もいいけれど、地方のプライベート美術館にもいいところがたくさんあります。コレクターとしての蒐集のコンセプトがはっきりしており、また、作品に加えて建物や風景を含めた一体感でメッセージ発信しているミュージアムに出会うと、いつまでも記憶に残りますよね。

私の場合ですと、直島の地中美術館ベネッセハウスミュージアム(香川)。ホキ美術館(千葉)、DIC川村記念美術館(千葉)、清春芸術村(山梨)などがそうで、軽井沢千住博美術館もまさにそんなタイプのアートスペースです。
一歩入って驚きました。床全体が緩やかな下りになっていて、所々にガラスでできた外界との接点があり、光と緑にあふれる野山を散策しているような感じで、見て回れるのです。

千住博さんといえば、滝(Water Fall)や崖(Criff)といったように、半抽象的な作品イメージがあったのですが、そんな思い込みは一気に吹き飛び、画家としての幅の広さに感動!でした。

6f54a02ff7c54821abcbb929122209f3-600x852開催中の四季「秋冬」展のポスター(下半分)にもなっている『湖畔初秋図』と『湖畔に蜻蛉図』は屏風風に横につなげて、丸い部屋をぐるりと取り囲むように展示されているのですが、2つの作品が繋がっているようで、別次元のようでもあり、なんとも不思議な構図。単なる風景画を超えて、見る人に様々なストーリーを想像させてくれます。絵の中にご本人も登場されてるのですが、さすがよく似てますよ〜。(画像をクリック)

私のイチオシは、遠い国の森に住む一頭の小鹿が主人公の、一夜の冒険の物語を描いた連作。16点からなり、キャプションと一緒に小さな地図があります。お父さん鹿、お母さん鹿と一緒だった最初の場所から、ひとりどんどん離れて行くのがわかり、ハラハラ見守りながら、想像力が逞しくなっていくのがわかります。

川に映る一面の銀河、小動物たちが潜んでいそうな暗闇の中、人っ子一人いない街のネオン…。どの作品も色彩を抑えた主張しすぎない作りだけに、見る人の気持ちがグイグイ入っていく感じなのです。一度みた後、もう一度No.1に戻って順番に見直しました。そうするとまた違う発見があるのですね。何度でも見たいなあと思ったら、ちゃんと『星のふる夜に』という絵本になっていました。ミュージアムショップで売っていたので即買い。amazonにもありました。

fa898f235b6e7ebee99cdcad11a88213ところで、大地と一体化したようなこのユニークな美術館を設計したのは西沢立衛(りゅうえ)さん。瀬戸内海のアートの島として有名な豊島(直島のお隣)の美術館を設計したことでも有名。後から気がついたのですが、先月MoMAで紹介されていた建築家のひとりでもあります。

軽井沢って新幹線でわずか1時間。機会がありましたら、ぜひ立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。

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