画家紹介⑤「バリ絵画に極彩色を持ち込んだ画家 ソキ」
こんにちは、坂本澄子です。一気に春爛漫、観測史上最早の桜開花とのこと。バリアートショールームもそんな春風に乗って、4月19〜21日に初めてのバリ絵画展「青い海を描かない作家たち」を開催します。このブログでご紹介している作家たちの原画を展示しますので、東京近郊にお住まいの方は是非覗いてみてくださいね。詳細は当ブログの号外をご覧ください。
さて今日はバリの伝統絵画に極彩色を取り入れたヤング・アーティスト・グループの草分けであるイ・ケトゥート・ソキさん(I Ketut SOKI)をご紹介します。
バリ絵画は影絵芝居に端を発する伝統的技法に西洋技法の影響が加わり、様々な進化を遂げてきました。オランダ人画家アリー・スミットも近代バリ絵画に大きな影響を与えた一人。バリのネカ美術館には彼の作品だけを展示したパビリオンがあり、その作品のほとんどを見ることができます。ウブドのプネスタナン村に定住し、地元の画家たちに絵画レッスンを施しながら西洋の画材を与えて自由に描かせました。それが、バリ伝統のモチーフを極彩色で描くヤング・アーティスト・スタイルへと発展していくのです。
ソキさんは彼の直弟子と聞き、さっそく会いに行きました。典型的なバリの民家の門をくぐると、中庭を見渡せる場所にアトリエがありました。壁には恩師とのツーショット写真が。奥のギャラリーには稲刈り、祭礼、闘鶏といったバリの伝統的なモチーフをポップな色使いで描いた作品が所狭しと並べられ、見ているだけで気持ちが明るくなってきます。
首都ジャカルタはもとよりホノルル、パリなど広く海外でも活動する国際的なアーティストですが、彼の住むプネスタナン村は元は貧しい農村。1960年代にヤング・アーティスト・グループとして脚光を浴びるやいなや、極彩色を用いた明るい作風に象徴されるように、バリで最も輝かしいサクセス・ストーリーとなりました。ロックバンド“THE BOOM”のアルバムジャケットを飾ったこともあり、日本にも多くのファンがいます。島内の主要美術館で作品が所蔵され、インドネシアを代表する画家として不動の地位を築いています。近年は後継者育成に力を入れており、弟子との共同制作によりソキ・ギャラリーとして作品を発表しています。