バリアートショールーム オーナーブログ
2013.5.19

バリ旅日記⑧ 憧れのチャンプアンホテル

こんにちは、坂本澄子です。昨日で仕事が一区切りついたので、今日から三日間バリ島ウブドでの休暇を楽しむことにし、以前からずっと泊まりたいと思っていたチャンプアンホテルにやってきました。ここはドイツ人画家ヴァルター・シュピースが住んでいた場所に住居を復元したヴィラがあることでも有名です。

チャンプアンホテル

(左)チャンプアンホテルのロビー。この遥か下の谷底近くまでヴィラが点在する。
(右)シュピースの住居を復元したヴィラ

チャンプアンとは“交わる”という意味。主に川と川が合流する場所のことを言い、バリの人たちから精霊が宿る聖なる場所と信じられています。橋の上から覗き込むとめまいがしそうなほどの深い谷。その急な斜面に沿っていくつものヴィラが立てられており、そのひとつがシュピース・ヴィラと言う訳です。もちろん宿泊もできますが、今回は残念ながら先約が入っていました。

部屋にはテレビもなく、WiFiもホテルのロビーだけ。美しい自然に同化して、ゆっくりと流れるバリの時を楽しんで下さいという配慮のようです。ヴィラの天井は藤を編んだもので、クラシックなファンがゆっくりと回っていました。ベッドの枕元には大きなカマサン・スタイルの絵が掛けられています。

窓を開けると遥か下の方から川のせせらぎが聴こえてきました。谷のずっと下の方から高く伸びた長い木々の間を羽ばたいて飛んで行くつがいの野鳥。まさに「緑に抱かれる午後」です。きっとシュピースもこの地に暮らし、同じように感じていたのではないでしょうか。

ブログ26ネカ美術館のウィラナタ作品午後からホテルから徒歩20分のネカ美術館に行きました。バリ絵画の歴史と進化がわかりやすい展示と解説で紹介されています。ここにはウィラナタさんの作品が展示されているとのことで、今日の目的はそれを見ることでした。ウィラナタさんはシュピース・スタイルでは、姉のガルーさんと並んで国内外で高い評価を受けている画家。先日、アトリエに伺った時にも制作中の作品を見せてもらいましたが、美術館が所蔵する作品というのをやはりこの目で見てみたかったのです。

彼の作品は展示室の中で独特の存在感を放っていました。夜明けのほのかな光を受けた水田、神々しいばかりの斜光が遠景を照らしています。同じシュピース・スタイルでもガルーさんとはまた違った魅力を持つ作品です。今から100年近く前にドイツ人シュピースがもたらした技法が今日に受け継がれ、それぞれの画家の独創性を加えてなおも進化し続けています。伝統を大切にし、そこに新たなものを加えて変わっていくところは、バリの文化の魅力のひとつではないかと思います。

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