バリアートショールーム オーナーブログ
2014.4.19

バリアートのある暮し⑨ 再び純粋に自分と向き合う

こんにちは、坂本澄子です。

30年ぶりに高校時代の同級生のS君に会いました。

彼は少し白髪混じりになったものの、野球少年だった背の高いがっしりとした体格といい、まっすぐな性格といい、私の記憶の中にあるS君そのままでした。

その彼が「ごめん、年度末でどうしても行けなかった」とメールをくれたのは一周年記念展示会の翌日。クラスメートという以外に当時特別に接点があったわけではありません。卒業以来会う機会もなくずっと来てしまったのに、こうしてまた会えた縁を大切にしてくれる彼の律儀さと優しさをとても嬉しく思いました。

「ちょっと気になる絵がある」と奥さんと一緒に有明ショールームを訪ねてくれたのは、それから一週間後のことでした。アメリカの大学で知り合ったという奥さんは初めて会ったとは思えないほど、気さくで明るくて楽しい人。S君が絵をじっと見て考えている間に、女2人のおしゃべりの方が盛り上がってしまったくらいです。

でも後から考えると、奥さんはS君の性格をちゃんとわかってて、考える時間を作ってあげていたのではないかと思いました。

練馬区S様_4その作品とは、アンタラさん(Antara)の木炭デッサン画『憧れ – Adoration』。それを選んでくれた理由を訊くと、「adorationというタイトルがいい。色々な意味があると思うけど、それらをこの絵から立体的に感じるから。色調も、明る過ぎず、暗すぎず。玄関の壁の景色に合ってるしね」という答えが返ってきました。

「1年ほど前に今の場所に越してきて、家の中をより心地のよい空間へと整えていきたいと思っているんです」と奥さん。この絵はきっとS家にいい風を運んできてくれることでしょう。

ところで、『adoration』というタイトルは私がつけたもの。画家が表現しようとしたこの少女の瑞々しい内面に、私自身の気持ちを重ねました。きっと同世代の方はわかっていただけると思うのですが、ある年代を超えると再びあの頃のような気持ちに戻っていく、そんな感じありますよね。それまで仕事や家族など様々なものに対して責任を負ってひたすら走っていた時には、自分の内面に目を向ける余裕なんてありませんでした。その時期を超えた今、ある意味、再び純粋な気持ちで自分や周囲に向き合えるのだと思うのです。 S君ももしかするとそんな思いでこの作品を見てくれたのかも知れません。

前回のブログをご覧になった方から、偶然にもこんなコメントをいただきました。

「絵を描いて 永くなりますが 自分と向き合える 自分に迫る絵を描きたいたいと 今までの生き方の集大成を絵で表現したいと考えています。が この考え方が 青臭い?」

まさに私が考えていたことと同じでした。絵を描くことによって得られたもの、バリの人々の生き方に触れて考えたこと、安定した会社勤めを辞めてまでやろうとしていること…、これらの根っこにあるものはきっと同じなのじゃないかしら。

これからもそんな思いを自ら絵を描きながら、そして、同じ匂いのする画家の作品を通じて、表現していきたいと思います。そのために、扱い画家を少し絞っていこうと考えています。サイトのリニューアルもします。「バリアートショールーム」の2年目をこれからも見守って下さいね。

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アンタラ氏の作品

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