バリアートショールーム オーナーブログ
2014.4.16

画家の絵に対するこだわり

こんにちは、坂本澄子です。

IMG_2367私も趣味で絵を描いてます。ちょうど今、所属する中央美術協会、東京支部主催の作品展(@世界堂新宿本店内ビャラリーフォンテーヌ)が開かれており、写真の作品を出品しています。タイトルは『冬の華』。これはナンキンハゼといって、花のように見えるのはじつは実なのです。昨年12月、凍えそうな月の夜、真珠のように光る華が夢のように美しく、寒さも忘れてじっと見上げていました。

絵に出会ったのは30代半ば、ちょっと人生に疲れていた頃でした(^o^; たまたま駅前で絵画教室のポスターを見かけて、なぜかその時「やってみようかな」と思ったのです。たまに美術館に行く程度で、特別絵に関心が深かったわけでもないのですけどね。

先生は60歳くらいの女性の画家で、ご自宅で教えておられました。お庭に咲いた花とか、今晩の食卓にのぼる予定の生のサンマとか、様々なものが題材になりました。私は「うまく描かなきゃいけない」と肩に力が入っていたのですが、

先生「坂本さんは最初にこのブドウを見てどう思いましたか?」

 私   「濃い紫がビロードのように見えてとてもきれいだと思いました」

先生「じゃあ、その感じが伝わるように表現してみましょうね」

目から鱗でした。

それまで、仕事でも、家庭でも「かくあるべし」と思い込んでいたことがいかに多かったことか。それが、自分の目を通じて見えた通りに描いてよいと言われたのですから、随分気持ちが楽になりましたよ。

「苦しいとき、哀しいときの方がむしろいい絵が描けるのよ」

この言葉にも励まされました。一見ネガティブに思える感情でも、自分の内部からわき起こる強い力であり、それは生きていることの証。その頃、あるがままの自分を受け入れることができたのは、このひとことの御陰です。

それから十数年、今でも続いているのは、絵を描くことによって励まされたり、慰められたりしたからでしょう。気がついたら、幸せなことに、絵を扱うことが仕事になっていました。

芸術家というと気難しくて、激しいタイプを想像しますが、バリアートショールーム」がおつきあいしている画家さんは皆さん穏やかな方ばかり。でも、ちょっとしたやりとりの中に、強いこだわりや誇りを感じることもあります。

"Hujan" Wiranata

Hujan (雨) WIRANATA

例えば、風景画を描くウィラナタ(Wiranata)さんは自然に対する畏敬の念を持った人。その恵みと同時に厳しさや怖さも知り、自然と共存するバリ人ならではの強い思いがあります。

また、写実人物画に定評のたるアンタラ(Antara)さんとはこんなことも。このクラスの画家になるとアトリエを訪問しても在庫はほとんどなくいつも注文制作をしていますが、過去の個展の図録を見て「こんな感じで」と安易なお願いをしたところ、「同じものは描きたくない」と毅然と言われました。そこで、「じゃあ、何かテーマを設けて描いていただけませんか?」という話から『Balinese Beauty4部作』となったわけです。

そんなアンタラ(Antara)さんに肖像画を描いてもらえたら…とずっと憧れていましたが、最近ようやくその機会に恵まれました。今、木炭デッサン画を描いてもらっています。アンタラ(Antara)さんの目に私はどんなふうに映っているのか、ちょっと怖くもあり、そして楽しみでもあります。

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