『つまらない絵というオシゴト』
こんにちは、坂本澄子です。
秋の絵画展も御陰さまで無事に終了することができました。多くの方に会場に足を運んでいただき、改めて感謝申し上げます。豊洲会場の『気軽に飾れるバリアート』展は住宅展示場「豊洲まちなみ公園」様のご厚意により、1ヶ月間展示を延長することになりました。会場での販売対応は行いませんが、ご自由にバリ絵画に触れていただければ幸いです。現物を見てご納得いただけた際には、ウェブでご購入いただければ光栄です。
さて、この前の日曜日、朝日新聞の生活面のコラム「オトナになった女子たちへ」に『つまらない絵というオシゴト』というタイトルの興味深い記事が載っていました。
ビジネスホテルに飾ってある絵がつまらないという話。
「花だったり山だったり模様だったりするが、まーったく印象に残らない。主張ゼロ、物語ゼロ。あまりにもつまらないので写真に撮って集めたりしていた。やなやつだな〜と思うが、あとで見るともっとつまらないのだった」
ほー、ナニナニと読み進んでみると、あるときふと思いあたったと言うのです。
「歌舞伎役者よりかっこいい黒子さんは嫌だ、ここに僕は います的な工作員は嫌だとなった。気配を消さないとオシゴトにならないんだよなあ……。ああっ、ビジネスホテルの絵もそうじゃない?すごい印象的な絵が頭の上にあったら旅先では疲れちゃうかもしれない。あのつまらない記号のような 絵たちは「なんともない」というオシゴトをちゃんとしていたのだった」
確かに最近、缶コーヒーなどのCMで、縁の下の力持ちにスポットライトをあてたものが人気です。全員主役じゃあドラマが成り立たないのと同じで、地味な仕事を淡々とこなす人も必要だというのはわかります。でもね、絵も同じなんだろうかと、しばし考えさせられました。
実は、その少し前、友人のひとりが言った言葉が、「絵として面白くても、個性が強いとずっとそこにあると疲れちゃう。で、結局、おとうちゃんの部屋に入っててなんてことになるのよね〜」これを聞いて、ご主人の書斎だかなんだかの壁にひっそりと掛けられている、かわいそうな絵を想像して、私としては何だか淋し〜い気持ちになったわけです。きっと友人はその絵があまり好きではないんだろうなぁと。
ビジネスホテルのように不特定多数の人が出入りする場所では、絵はできるだけ主張もせず、個性もないものがいいのかも知れない。あまり好きでない絵がベッドの頭の上にあると、確かに寝つき悪そう。でもね、自分が持つ絵なら、画家の個性にあふれ、そこから見る人の想像力が広がっていくような絵がいいと、私は思ってしまうのです。だから、ご夫婦揃って気に入った絵を買っていただきたいし、時には二人してそれを見ていい時間を過ごしていただきたいなあと思っているのです。絵は空間を彩ると同時に、同時に楽しむものだと思うからです。
今回もそんな素敵なご夫婦が何組もいらっしゃいました。あ、もちろんソロ充の方も^o^
ちなみにバリ島サヌールのリゾートホテルには「バリアートショールーム」でも扱っている若手新進作家ボリさんのこんな作品が枕元を飾ってま〜す。到着早々、バリにどっぷり浸れそうですね〜(笑)
『つまらない絵というオシゴト』への2件のコメント
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ホテルの絵を請け負っている人の話を聞いたことがあります。
「50部屋あるから50枚、1週間後に納品」というようなオーダーだそうです。賃金を考えるとアルバイトを雇う余裕はなく、ズラッと並べてガンガン描いていくそうです。個性は入りようも無く、技術だけで当たり障りなく空間に収まる絵が仕上がるわけです。
今なら中国の油画村に発注すれば、工房制作チームの流れ作業で見事にやってのけます。
一言で「絵」といってもいろいろですね。
荻野様 コメントありがとうございます。なるほど。。そんなふうにして描いていたのですか。バリ島でも、お土産用に同じ構図で色を変えながら流れ作業で描いた作品が売られています。中国の複製画工場もしかり、こういった市場は確かに存在しますね。その中にあって、本物の絵を持ちたいとお考えのお客様に、画家が真剣に向き合った作品を紹介していきたいと思いますので、今後ともご愛顧の程よろしくお願い致します。