バリアートショールーム オーナーブログ
2016.3.9

応援したくなる作家

こんにちは、坂本澄子です。

バリ島は今日はニュピ(バリ暦の新年)、静寂の一日でした。ウブドでは清々しい快晴の朝を迎えた後、俄かに薄暗くなり、おや、一雨くるのかなと思っていたら、日食だったそうです。日本では残念ながら、ほとんどの地域で雨模様でした。

IMG_7214さて、最近おもしろい本を読みました。『公方様のお通り抜け』、江戸時代末期を舞台にした時代小説です。作家は西山ガラシャさん、「日経小説大賞」を受賞し、この作品でデビューを飾った女流作家です。

私は普段時代小説を読むことはほとんどないのですが、この本に出会ったのは、その授賞式を見に行ったから。毎回楽しみにしているのが、授賞式の後に行われる選考委員の3氏(辻原登、高樹のぶ子、伊集院静)による座談会。特に、伊集院静さんのボソッとつぶやく発言は最高です。今回も「今の時代、みんな疲れて帰ってきて、小難しい本なんて読みたくないんだよ。そういう意味でも、この小説は素直に楽しめた」というコメントに、俄然興味を持ったというわけです。

ちなみに、3人というビミョーな数の選考委員、全員一致で決まることなど過去一度もなく、今回も激しいやりとりが繰り広げられた末、男性委員2人が推しまくった?というこの作品に決まったそう。

「落語を聞いているような軽快な文体で、ムダな文章がひとつもない」

この一言で駄目押し〜。実際、本当に面白く、一気に読みました。

寛政4年、14代将軍家斉が鷹狩りの後で、下屋敷の庭を通り抜けるという一大行事が決まり、大騒ぎの尾張藩戸山荘。御用聞きとして屋敷に出入りする大百姓の主人公外村甚平は、金儲けが何より好き。褒美金欲しさに、将軍を楽しませるためのアイデアを百姓衆から募り、不思議な滝、怪しい洞窟、お化け屋敷のような町屋と、まるで江戸時代のテーマパークを作るというストーリー。

グイグイと引っ張られるような早い展開ながら、登場人物たちの描写にも決して手を抜かず、気がつくと甚平やその周りの人たちを好きになっている。倹約の時代は現代社会の閉塞感にも通じるところがあり、爽快なハッピーエンドの中にも、じんわりとした余韻が残る作品です。いい作家さんが出てきたなあという印象で、二作目、三作目と、その成長を見守っていきたい、そんな気持ちになりました。

ところで、絵画のコレクターがある画家の作品を集めるきっかけも、これと似たところがあるかも知れません。技術的には多少至らないところがあったとしても、他の作家にはない魅力を感じて、次はどんな作品を出すだろうかと心待ちにする心境です。

「バリアートショールーム」では、そんな若手作家として応援している人がいます。

ボリ(Putu Antara BOLIT)。28歳、織田裕二似の好青年です。メッセージ性のあるモダンな女性人物画を得意としていますが、彼の描いた花の絵が見たくて、最近一枚描いてもらいました。期待通りの出来栄えに、春のキャンペーン「記念ギフトにお花のアートはいかが」の制作をお願いすることにしました。

異動の多いこの季節。一緒に仕事をした仲間から花束を贈られる方も多いと思います。その花束を「世界でただひとつの絵」にして、思い出と共に大切に残しませんか。

詳しくはこちらをどうぞ。

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