バリアートショールーム オーナーブログ
2017.9.25

人の心に寄り添える絵

こんにちは、坂本澄子です。

この秋最初の金木犀の香りに出会いました。9月もあともうわずかですね。

月日の流れる速さに、いつも驚かされます。

 

さて、今日は私の作品のことをお話させてください。

 

今年5月、私の作品ページをご覧になった方から、制作依頼のメールをいただきました。

大切な方を失くしてお力を落とされているところ、『星降る夜』とそこに書かれた文章を読まれ、背中を押されたと書いてくださっていました。

その作品は、5年前の冬、長年勤めた会社を辞めて、新しい世界に飛び出す決心をした頃に描いたもので、そのとき見た風景が私の背中をポンと押してくれたのでした。

状況は違えど、そこにご自身の心情を重ね合わされたそうで、その絵をもう一度描いてほしいというのがご依頼でした。(元の作品は10年来の友人がアメリカに帰国した際に贈ったため、手元にはありませんでした)

初めてメールをいただき、その方の哀しみの深さを想像すると、期待される絵が自分に描けるだろうかと逡巡し、しばらくお返事ができずにいました。

すると、その方は諦めずに何度かお便りをくださり、時間的な猶予がいただけるのであれば…ということでお引き受けしました。

二科展の方が一段落してから集中して描き、つい先日無事にご依頼主にお届けすることができました。

着手する際にイメージ作りのために作った詩を添えてお送りしたところ、とても喜んでくださいました。

「心に響きました。そうなのですね。そうなのです。何度も読み返しました」

そして、最後にこうありました。

「この絵と詩を毎日見て、勇気を持って歩いていきたいと思います」

私自身もそのお言葉に励まされ、絵を描くことを通じて、人の心に寄り添っていきたいと、思いを新たにしました。

 

最後に、その絵と詩をご紹介したいと思います。

 

星降る夜に

 

『星降る夜に』

キーンと澄み渡った冬の空に
こぼれる満天の星が瞬(またた)く

ほのかな明りを残す地平線
遠く山並みがシルエットを描き出す

人はどこから来て、そして、
どこへ行くのだろう

君と出会い、過ごした時間は
つかの間の宇宙の瞬(またた)き
眩(まぶ)しいほどの光を放ち
深い闇へと吸い込まれていった

ひとり残され
生きてく意味さえ、見つけられぬまま
僕は今日もひとり
この風景を見ている

葉をすべて落とした一本のケヤキ
冬の寒さを物ともせず
ピンと背筋を伸ばしている

細く張った枝のひとつひとつが
あふれる星の光を受けて
いま七色に輝き出す

凛とした君の強さを想い
冷たい空気を吸い込むと
少しシャンとした気分になる

「前を向いて、歩いて行きなさい」
そっと背中を押される声がした

一歩踏み出す勇気はまだないけれど
その声が今の僕を支えている

 

 おつきあいくださり、ありがとうございました。

人の心に寄り添える絵への2件のコメント

  1. 投稿者ひまわり

    地平線から夜空へかけて変化するブルーのグラデーションがとても綺麗で
    それを背景に凛と立っている木が、際立ち とてもひかれる絵だと思います。
    真の強さを感じるので、見ていて勇気づけられる様です!
    私もすごく好きになりました。

    1. 投稿者坂本澄子

      ひまわりさま コメントありがとうございます。とても勇気づけられました。これからも頑張って、よい絵を描いていきたいと思います!

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