バリ絵画に見るシュールレアリズムの薫り②
こんにちは、坂本澄子です。
最近、東南アジアの方々とお会いする機会が増えてきました。最近ではお顔を見ると、この人はタイの方かなとか、カンボジアの方かなとか少しずつ見分けがつくように^_^ そして、銀座には観光客が戻ってきました。こちらはやはり中国の方が圧倒的に多いですね。交通機関には、英語、中国語、韓国語による案内が増えてきました。
ずっとJAPAN LOVEの私ですが、この仕事を始めてから、アジアのことが気になるようになりました。経済はもちろんですが、文化的な意味でも日本がハブ的な役割が果たせるようになるといいなと思う今日この頃です。
さて、今日は「バリ絵画に見るシュールレアリズムの薫り」第二弾として、ウィラナタの作品を取り上げます。『満月の夜に〜Fullmoon Galungan』(写真)は、これまでも何度かご紹介しましたが、前回に続き、同画異空間の観点でお話したいと思います。
『光の風景』もそうですが、この作品も逆光に描くことで、夢の中にいるような非現実感をうま〜く表現しています。そして、2つの月。空に浮かぶ月と水に映る月。どちらも蒼白い光。一方、手前で人物を照らすランプとたいまつには暖色を用いて、対照的な光の描写をしたところ、何ともニクイですね。
向こうが天上なら、こちらはさしずめ下界です。バリ島には、聖峰アグン山のある山側をカジャと言って、聖なる方角として海側(クロッド)と区別する風習があります。どの家でもファミリーテンプルがアグン山に向かう敷地の角に建てられているのはそのため。ウィラナタもそんなことをイメージしながらこの絵を描いたのかも知れません。
私がこの絵を好きなのは、壁にかけたときに、開いた窓の向こうに別の風景を見ているように感じるから。たとえあわただしい都会にいても、窓のすぐ向こうには田園風景が広がっているように思えます。そして、その中には、もうひとつ別の世界があるというわけです。
ね、ちょっとシュールな薫りがしてきたでしょ?
ところで、今ウィラナタさんにこの絵のイメージで小さな作品を描いてもらっています。「この絵すごく好きなんだけど、飾る場所がね」と仰るお客様のご希望でご注文制作中です。満月の夜のこの雰囲気を小品の中でどんなふうに出してもらえるか、お客様と一緒に楽しみに完成を待っているところです。
7月18日(土)の第二回「バリアートサロン」は、ウィラナタをはじめとする幻想的な熱帯風景画をご紹介します。彼らに強い影響を与えたドイツ人画家シュピースの半生を追いつつ、作品の魅力を解明します。詳しくはこちらをご覧ください。
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