バリアートショールーム オーナーブログ
2015.7.26

絵の値段はこうして決まる

こんにちは、坂本澄子です。

 郊外に出掛けてきました。新宿から電車で約一時間、その後、バスに20分揺られ、歩くこと25分。猛暑の坂道はツラかったですが、冷たい渓流の側でのBBQは気持ちよかったですよ。

さて、今日は絵の値段についてです。バリ島七不思議のひとつとも言われるバリ絵画のお値段。交渉しているうちに、半額以下になったなんてよくある話ですよね。

ブログ220_バリ島のギャラリー一般的に絵の値段は画家のランクとサイズによって決まりますが、バリ島では作家とギャラリーの関係や流通の仕組みが欧米や日本のように確立されていないため、画家の多くは自分で価格を決めて売っています。そのため、よく言えばかなり柔軟で、交渉によってはやった〜と思う金額が出てきたりするわけです。果たしてそれは本当にお買い得だったのか。

バリ島の画家にはピンからキリまでざっくりわけて3つの層があります。

著名作家はギャラリーからの注文制作がほとんど

①いわゆる著名作家。バリの伝統画家名鑑「BALI BRAVO」が参考になります。

彼らには大手ギャラリーがついていて、サイズごとの販売価格はほぼ決まっています。また、絵画オークションなどの二次流通価格も目安があります。人気作家になるほど価格交渉は難しく、アトリエに行っても在庫はほとんどありません。

ブログ220_自宅ギャラリー②実力作家。①に次ぐ層として、現地である程度名前を知られており、ガイドが観光客を連れてきてくれたりと、お客を呼び込む力があります。自宅の一角をギャラリーにして作品を販売している他、ホテルでの展示販売や企画展にも声がかかります。販売価格は画家自身が決めますが、交渉によって大きく下がることはあまりありません。

 

③大多数を占めるのが、その他大勢の画家たちです。画業だけでは生活できないので、ガイドなど副業をしながら絵を描いている人もいます。地元の観光客相手のギャラリーや②の画家のところに作品を置かせてもらい、価格はある程度お任せで販売を委託しています。

バリ島に観光に行って七不思議が起こる多くは、③の画家の作品でしょう。しかし、バリ絵画のすごいところは、店の裏でオバちゃんたちが流れ作業で量産しているお土産物の絵は論外としても、③の底のレベルが高いことです。特に技術的な面では間違いなくそう言えると思います。

7月18日のブログでもお伝えしたように、神様へのささげものとして神話をモチーフとして描くことから始まったバリの伝統絵画は、徒弟制度の中で師の描いたものを寸分違わず再現する、いわば職人技として受け継がれてきました。ウブドの画家の多くは父親、叔父といった身近な人から絵の手ほどきを受けた人が多く、技術的な面での伝承は、今もこの形態が広く残っています。そのため、ある決まった題材を上手に描ける画家が多いのです。

一方、絵を描く能力にはこういった技術的な面の他に、絵作りというもう一つ別の側面があります。後者が画家としてのオリジナリティであり、絵の魅力にも大きく影響してきます。今このブログを読んで下さっている皆様がいつか絵を購入される際には、この2つの面を兼ね備えた作品をと思っておられることでしょう。そうなると、①、②からしっかりと作家を選ぶ必要があり、それが私がこの仕事を始めたきっかけでもあります。

「バリアートショールーム」は①の著名作家(「美術館に選ばれた作家たち」)と②の実力作家のなかからこれだと思った画家の作品(「気軽に飾れるバリアート」)を選んでお届けしています。どうか安心してご利用くださいませ。

 <お知らせ>

第3回バリアートサロン「見れば見るほどおもしろいバリ島の風俗画」を8月23日(日)に開催します。詳しくはこちらをご覧ください。

 

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