バリアートショールーム オーナーブログ
2013.5.8

バリ絵画を愉しむヒント③ 作品に見るバリの文化と風習

こんにちは、坂本澄子です。GWも終わり、昨日から仕事に戻られた方も多いことと思います。久しぶりに出社する日の前の晩はちょっと憂鬱でも、一日過ぎてしまえば不思議といつものペースに戻っているものです。今週もどうか頑張って下さいね。

GW中、私も嬉しいことがありました。3月にブログを先行して開始し、4月18日に全面公開した、この「バリアートショールーム」ヘの来訪者が1000人を超えました。いいね!やコメントをいただく度に励まされ、さらに内容を充実させていきたいと気持ちを新たにしています。それについては、また改めてお話させて下さい。

今日はシリーズ第三回、前回に引き続き、実際の作品を例にバリの文化と風習を見ていきたいと思います。今回はヤング・アーティスト・スタイルの第一人者、ソキさんの「実りの季節」を取り上げます。まず作品をじっくり見て下さい。これからお話することはどこ描かれているでしょうか。写真をヒントに見つけてみて下さいね。

ソキ「実りの季節」 アクリル/キャンバス

ソキ「実りの季節」
アクリル/キャンバス

日本語タイトルを「実りの季節」とつけましたが、実はこの作品には、①収穫期を迎えた田んぼだけでなく、田植えの水田、まだ実の若い青田も描かれています。バリ島では稲の三期作が行われているため、一つの絵の中に異なる成長段階の田んぼが混在することは珍しくありません。それだけ肥沃な土地なのです。そのため、バリの人たちは神や大いなる自然に対して祈りを欠かしません。

バリのヒンドゥ教には様々な神が存在します。宇宙の創造を司る神ブラフマー、宇宙の維持を司る神ウィシュヌ、宇宙の終わりに世界の破壊を司る神シヴァの三大神、そして女神たちもいます。これらはただ一人の神(唯一神)が別の現れ方をしたものとされています。農業に関係するのはデウィ・スリ。田んぼや稲の女神で、右手に聖水の入った壷を持った姿で描かれます。②バリで田園地帯を歩いていると、田んぼのところどころに灯籠のような形をした祠が見られますが(写真左)、これはデウィを祀ったもの。毎日の祈りと供物はもちろんのこと、収穫の季節には厚い感謝が捧げられます。③女性は供物などを頭の上に乗せて運びます。男性が肩に乗せて運ぶのと対象的ですが、バリの女性は働き者で、最近では建築現場で資材を頭の上で運ぶ強者女性の姿も見られます。

④農作業はバンジャールと呼ばれる自治組織での共同作業で行われ、稲穂の部分だけを刈り取っているのがわかります。また、以前に比べると減りましたが、⑤農作業には牛も使われます。それから、⑥田んぼでよく見かけるのが家鴨(写真中央)。家鴨飼いの少年に誘導され、田んぼを順番に回っていきます。虫を駆除するためですが、田んぼの持ち主から謝礼をもらうのではなく、家鴨飼いは家鴨の肉や卵を売って生計を立てているそうです。⑦時折、鷺の姿も見られます。青々と育った稲を白い鷺の群れが一斉に飛び立つ様は清々しく、そして壮観です。

⑧作中にはペンジョールと呼ばれる竹飾りが見られます(写真右)。これはヒンドゥ教のお祭り「ガルンガン(ウク暦の正月)」に祖先の霊を迎えるためのもので、各家の前に飾られます。弓状に先をしならせた長い竹の先に椰子の葉飾りがついていますが、先祖の霊が迷わず戻ってこれるようにするもの。日本の七夕飾りも元はお盆行事の一部として祖先の霊を迎えるために立てられたと言われ、意外に共通点のある日本とバリ、ちょっと興味深いですね。

以上、バリの風物のご紹介でした。皆さんはいくつ見つけられましたか?

風物詩写真

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