自然によって覚醒するのは女性?!
こんにちは、坂本澄子です。
先週、『日経小説大賞』の授賞式を見せていただく機会がありました。今年の大賞作品は『スコールの夜』というキャリア女性が主人公の作品です。ちょうど今本屋さんに平積みされているので、ご覧になった方もあるのでは。
東大法学部卒でメガバンクに初の女性総合職として入社、42歳で女性として初めて本店管理職に登用。暴力団や総会屋に利益供与を行ってきた子会社の解体といういわゆる汚れ仕事で女性の力が試されるという設定です。半沢直樹の女版といった感じ。
作者の芦崎笙さんは’83年に大蔵省(現財務省)に入省され、現在大臣官房参事官というお立場。銀行の方と一緒にお仕事されることも多いのでしょうね。仕事の現場の描写がリアリティに溢れているというのも選定理由のひとつだったようです。お忙しい時間をぬってよくこれだけの作品を書かれたなあとビックリすることしきり。
授賞式に続いて、芦沢さんと選考委員(辻原登、高樹のぶ子、伊集院静:敬称略)の座談会。男女の違いについての話題でひとしきり盛り上がりました。
面白かったのが、男性の作者が女性の主人公をどこまでリアルに描けるかという議論。物語の最後の方に、組織の壁に阻まれ主人公環の心が折れそうになる場面があります。そのとき、激しい雨に打たれて、環は「もう一度頑張ろう」と覚醒するのですが、高樹のぶ子さん曰く、「女性は男性に比べてプリミティブな存在。こんなふうに自然の力に打ち据えられて何かに目覚めるのは女性ならでは」。作者の女性観察眼を絶賛されてました。ちなみに、男性は社会的な生き物なので、責任感とか人間関係によって動かされるとか。
本当にそうなのかはぜひ男性の皆様のご意見をお訊きしたいところですが、女性については「確かにそうかも」と思いました。私自身がそうだったので(^o^;
私は25年以上に渡り、組織の価値観の中で生きてきましたが、ウブドを初めて訪れた時、自然と共存することにより豊かさを手に入れてきたバリの人々を見て、魂を揺さぶられるように感じたのです。自然の圧倒的な大きさの前でちっぽけな自分を全身で感じた、まさにそんな感じです。(初めてバリを訪れた時の心の変化は「手記」に書かせていただいています)「会社員を辞めて、バリ絵画を伝える仕事を始めよう」、無謀とも言える決断(実際たくさんの方に心配していただきました^^;)は、実は女性的思考ゆえだったのかと、妙に納得してしまいました。そう言えば、女性の方がよくぽんと思い切ったことをしますしね。
ただ、最近は男の中の男、あるいはとても女性らしい女というのがだんだんと減ってきて、その真ん中に位置する両性部類的な人が増えてきているように思います。せっかくこの世に男と女という違う性があるのだから、男らしい人、女らしい人が多い方が楽しいと思うのですけどね。
バリに行ったことでそれまでの自分とは違う価値観に出会った私ですが、今もその思いは変わっていません。「バリアートショールーム1周年記念 展示即売会」、全作品(約40点)の一挙公開します。絵画を通じてバリの精神性の一端に触れていただければ幸いです。お待ちしています!
日経小説大賞 受賞作品『スコールの夜』についてはこちらをどうぞ