すてきなひとりぼっち
こんにちは、坂本澄子です。「バリアートのある暮らし」は一回お休みして、今日は別の話題におつきあい下さい。
先日、ジュンク堂書店をぶらぶらしていた時のこと。文芸コーナーの書棚から谷川俊太郎氏の詩集が目に飛び込んできました。それが今日のタイトル『すてきなひとりぼっち』です。その時の私の気持ちにピタリとハマって、抜けなくなってしまいました。
実は、秋の絵画展のテーマ『秋の夜長を愉しむ』もまさにそんな気持ちでつけたのです。秋は空が澄んで、中秋の名月と言われるくらい月がきれいですよね。バリでも満月の夜は寺院祭礼を行うほど、特別な夜なんです。確かに蒼白い光に包まれた世界は何とも言えない不思議な魅力がありますよね。
上の写真は初めてバリに行った時に、思わずシャッターを押していたもの。空がかなり明るく写っていますが、これ完全に夜です。しかも街灯がほとんどない村です。
蒼白い月夜の晩を描いたのがオランダ人画家、アリー・スミット(写真左)。以前もブログで紹介させていただきましたが、この色使い、なんとも言えませんよね。祭礼が終わり女性たちが帰っていくところですが、不思議な静けさがあたりを支配しています。彼の作品の中で一番好きな絵です。
この雰囲気を私も絵にしてみました(写真下)。秋の絵画展の図録の表紙に使おうと思っていますので、会場で見かけられたら、「あ、これね」と笑って見て下さい。
こんな夜に、お気に入りの音楽を低くかけて、好きな絵を見るのはこの上なく贅沢な時間。こんな時は想像力をかきたててくれる細密画をおすすめします。どうして田植えをしている横で稲刈りをしているんだろう…とか、田んぼにいる家鴨は夜はどうしてるんだろう..とか、次々と疑問が湧いてきます。こんな素朴な疑問をつなげていくと、その背後にバリに暮らす人々のある世界観が見えてくるのです。10月6日のバリ絵画展、17時からのギャラリートークでは、こんなお話をしたいと思っています。そして作品をもう一度見ていただくと、「?」→「!」になっているはずです*^^*
<関連サイト>
2013/4/3ブログ バリ絵画に色彩を与えたオランダ人画家アリー・スミット
すてきなひとりぼっちを愉しむ作品を集めました
ライ作品 … 細密画発祥の地でクリキ村で伝統絵画を守り続ける
アリミニ作品 … 女性ならではの柔らかな色使いと流れるような構図
ソキ作品 … ポップな色使いでバリの伝統を描くヤング・アーティスト・スタイルの第一人者