バリアートショールーム オーナーブログ
2013.10.23

なぜウブドには画家が多いのか?

こんにちは、坂本澄子です。朝晩、ちょっと肌寒くなってきました。これから冬に向かうわずかな間、日本の素晴らしい秋を楽しんで下さいね。

庶民の足バイク。雨が降ろうがたくましいこと南緯8°に位置するバリ島には季節がほとんどありません。あるのは雨期と乾期です。先日、ブログをお読みいただいたtomu様から「バリに住む友人が、雨期に入って洗濯物が乾かないと嘆いてます」とお便りをいただきました。雨期と言ってもずっと雨が降り続くのではなく、昼過ぎ頃からスコールが1〜2時間降るという感じなのですが、湿度が90%を超えることも多く(ちなみに梅雨時の東京で平均75%)、晴れ間に洗濯物を干しても大人のTシャツだと2日くらいかかりますし、その辺にパンでも置いておこうものなら翌日にはカビちゃってます(^^;;これでも山側のウブドは海側に比べるとまだしのぎやすい方なのですけどね。

さて、私が初めてバリ(ウブド)を訪れるきっかけとなったのは、「画家が集まっている芸術村」があると聞いたことから。興味津々出かけてみてビックリ、本当に画家が多いんです。「バリアートショールーム」がおつきあいしている画家さんたちも、お父さん、兄弟、ついでに隣の家のオジサンまで画家という環境に生まれ育ち、「物心ついた頃にはもう絵筆を握ってました」という人がほとんど。最近は美術学校に行く画家も増えましたが、身内から手ほどきを受け、見よう見まねで描き始め、次第に自身のスタイルを確立していくのがウブド流です。

カマサン・スタイル

『ラーマーヤナ』の場面を絵巻物風に描いた古典絵画

それにしても、どうしてここまで画家が多いんでしょう?その理由は歴史の中にありました。バリ州の現在の8つの県の原型は17世紀、8つの王国が群雄割拠していた時代に遡ります。特に、イスラム勢力から逃れたジャワの知識階級が住み着いたクルンクン王国には様々な古代ジャワ文化がもたらされ、絵画の分野では、物語の場面を描いた古典絵画(現在のカマサン・スタイル)が発展しました。

ところで、バリのヒンドゥ教の神様というのは普段はお寺にはいません。ガルンガンなど特別な時に降臨する神様を楽しませるためのいわば捧げものとして、舞踊や音楽、絵画・彫刻などの芸術が育まれたのです。そのため、他の7王国にもそれぞれに腕のいい職人がいました。

ウブド王宮

ウブド中心部にある王宮は観光スポットのひとつ

ところが…、東インド株式会社を設立したオランダはその勢力をインドネシアにも広げ、19世紀末になるとその支配はバリ島にも及びました。他の王国がオランダに徹底して抵抗する中で、ギャニャール王国(ウブド)だけはオランダと同盟し他王国を滅ぼすことに加担したため、王族中心の旧体制を維持することに成功したのです。芸術のスポンサーは主に王族ですから、弱体化した他王国から多くの職人がギャニャール王国に移り住み、シュピースボネなどの外国人画家を招聘し積極的に絵画を保護したウブドに画家の多くが集まったというわけです。こう言うと、仲間を裏切り、芸術の中心となったウブドに対して複雑な気持ちを抱かれるかも知れませんね。でも、ウブドにも古代培われた素晴らしい文化がありました。この話は是非別の機会にさせて下さい。

今でもデンパサールからウブドに続く地域は『芸術街道』と呼ばれ、様々な文化が集まっています。木彫りのマス村、銀細工のチュルク村などは、お土産を探しに行かれたことがあるのではないでしょうか? それから舞踊はプリアタンが有名ですね。ウブド市街地にはたくさんのギャラリーがあり、これらを回ってみるのはバリ観光の楽しみのひとつです。ただし、画家が多いということは作品の質も玉石混淆。中には、お土産用に同じパターンで大量製作された作品もありますから、気をつけて下さいね^_^

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今週から、一点から見れる『プライベート絵画展』をやっています。前日のお昼12時までにご覧になりたい作品と時間枠を予約いただくだけ。10月の開催日は23, 25, 26, 30日です。詳しくは開催案内をどうぞ。

<関連サイト>

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