バリのお祭りガルンガン
こんにちは、坂本澄子です。
この時期、バリの人たちは大忙し。画家さんにお願いしている作品も「11月に入ったら着手するね。ごめんね」という感じです。それもそのはず、210日に一度巡ってくるバリで最も大きなお祭り「ガルンガン」の季節だからです。「ガルンガン」は世の中の善が悪に勝利したことを記念する祝日。この日、各家庭の家寺や村の寺院に神々や自然霊、祖先の霊が降り立ち、バリの人々は様々な供物でもてなし、祈りを捧げます。10日後の「クンニガン」に再び天上界に戻るまで、様々な儀礼が毎日のように続きます。もちろんその準備も大変なもの。
皆さんもバロンやペンジョールは色々なところで目にされると思いますが、この様子はバリ絵画の題材としてもよく取り上げられています。
「ペンジョール」は大きな竹をしならせるように作った竹飾り。各家庭の玄関の右側に立てられます。祖先の霊はこのペンジョールを目印に自分の家に降り立ちます。祖先の霊をお迎えするのは、日本のお盆と同じですね。ペンジョールの独特のしなりは聖山アグン山を表すと言われ、よく見ると先端には、ヤシの葉(シュロの葉が使われることも)を神様の形に切り抜いたラマックと呼ばれる切り紙細工のような人形が取り付けられています。ガルンガンが終わっても35日間はそのままなので、皆さんも写真のような光景をご覧になったことがあるのでは?
「バロン」は善を象徴する聖獣で、日本の獅子舞のように中に人が入って、写真(ソキ「バロンの行列」)のように村中を練り歩きます。子供たちがやっている子供バロンに遭遇することも。ちなみに、バロンに対して悪の象徴は「ランダ」と呼ばれる未亡人の魔女。時に子供を食いちぎるとんでもない魔物です。厄介なのは、死んだと思ってもすぐにまた生き返るゾンビのような性質。つまり、バロンとランダとの戦いは永遠に繰り返されるというわけです。なんだか、良心とちょっと悪い心の間で葛藤が繰り返されるのに似ていますね。「あ、またやっちゃった。成長してない」と自己嫌悪に陥るのもこんな時(^^;;
ところで、バリ島には古くから精霊信仰があり、ウブドの市街地にはいくつかの場所に「精霊の通り道」があります。わずか1〜2m程度の細い道なのですが、村の共同体や地方自治体がお金を出して作っているそうです。また、大きな木やチャンプアン(2つの川が合流する場所)には精霊が宿ると言われており、尊いものを表す黄色い幕が張られています。先祖の霊や自然に宿る霊を大切にしていることが随所に感じられますね。
こんなバリの風習と人々の生活を描いた作品を本場インドネシア料理を楽しみながら鑑賞いただけるミニ絵画展を企画しました。
バリ絵画展『五感を満たす食卓』
期間:11月12日(火)〜20日(水)
展示内容:
★アリミニ…バリの伝統絵画を女性ならではの色彩感覚と流れるような構図で描いた作品
★ライ …クリキ村に伝わる細密画。小品ながら1ヶ月以上かけて丁寧に仕上げた芸術作品
★ソキ …極彩色でポップな作風に思わず元気が出るヤングアーティスト・スタイル。
その第一人者ソキ氏の小品と若手作家ヌアダ氏の作品