バリアートショールーム オーナーブログ
2014.5.31

アートとビジネスの接点

こんにちは、坂本澄子です。

テラスでひと仕事6月上旬にサイトのリニューアルを行います。このブログの中でも何度かお話してきましたが、「バリアートショールーム」を今後どんな方向に持っていきたいのか、また、いくべきなのか、その構想にかなりの時間をかけました。

私自身、人生の後半戦に入り、今まで何かと急ぐことばかりで、まわりの景色を楽しむ余裕もなくつっ走ってきたけれど、これからは風化した感性を改めて磨き、心豊かな時を刻んでいけたらなあという思いが日々強くなってきました。おそらく同年代の方は多かれ少なかれ、そんな気持ちをお持ちではないでしょうか。

 先日、たまたま遠山正道さんのお話を聴く機会がありました。遠山さんと言えば、三菱商事時代に社内ベンチャーを興され、すっかりおなじみとなったスープ専門店”SOUP STOCK TOKYO”やネクタイブランドの”giraffe”、リサイクルショップ”PASS THE BATON”(名前がいいですよね〜)、などいくつもの新事業を立ち上げて来られた、実業家としていわばビジネスサイドの真ん中にいる人。その一方で、サラリーマンをやりながら個展を開いて70点の作品を完売した経験を持つアーティスティックな側面も。

コロニアル建築2その講演は右脳と左脳がバランスして、とても刺激的でした。ビジネスの中で4つ大切にしていることがある。それが、①必然性、②意義、③やりたいこと、④他にはない価値、というお話の中で、思わずグイっと引き込まれたのが、「根っこにある必然性(個人的な動機)」と「共感によって仲間を増やす社会的な意義」の違い、そして「やりたいこと」と「ビジネス」のバランスでした。

SOUP STOCK TOKYOの場合を振り返ると、遠山さんにとっての必然性は「いつか社長をやってみたかった」ことで、意義は 「スープを軸に共感を広げ、生活価値、文化的価値を創ること」だったそう。「ボクの場合はなかなかビジネスとして利益が出ないのが悩みで…」と言いながらも、やりたいことが次々あって楽しくて仕方ないといった感じでもうワクワク感全開です。

そこで、私の場合はどうなんだろうと考えてみると、初めてバリ絵画に出会ったとき、こんなにすばらしい、しかも版画ではない本物の絵が手の届く価格で買える(インドネシアと日本の物価の違い)ことに感激、「これほしい!友達にも教えたい」と思ったのが、「バリアートショールーム」を始めるきっかけでした。

刈り取り直前の田んぼアートには見る人の想像力をかきたて、記憶を呼び覚まし、そこを起点にイマジネーションの世界を広げる力があります。そんな奥深さを感じる作品に出会うたびに、「これがいつでも鑑賞できたらなあ」と思い、雰囲気だけでも持ち帰りたいと、ポスターとかポストカード、時には複製画を買っていましたが、やっぱり本物とは似て非なる物と思わされていたジレンマがありました。

そして、絵を扱うことを仕事にすれば、いつも絵に囲まれていられるという個人的な動機は、次第に本物のアートを毎日の生活の中でふつうに楽しむ文化を日本に作りたいという気持ちへと広がっていきました。つまり、「根っこにある必然性」を「社会的にも意義あるもの」に昇華する工程に今こうして取り組んでいるわけです。遠山さんのお話をお聞きして、改めてそのことに気づかされました。

今回のサイトリニューアルも、バリ絵画の物販に留まることなく、日常的にアートに触れることの楽しさを含めてお伝えしたいという思い、そしてさらには、生きること自体をもっと楽しみませんかという私からのメッセージなのです。それがあなたの心にも響き、共感してくだされば嬉しいです!

「バリアートショールーム」のサイトリニューアル、6月10日公開予定です。

 

コメントをどうぞ

※は必須