バリアートショールーム オーナーブログ
2015.2.4

自由な表現ができるバリ絵画のキャンバス

こんにちは、坂本澄子です。毎日寒いですね。風邪やインフルエンザがはやっていますから、気をつけてくださいね。かく言う私も、少し前にひいた風邪の咳がいまだに残っていて、ちょっとハスキーボイスです^o^;  

さて、今日はキャンバスのお話。

バリ島で絵をご覧になって、「布に描かれているみたい」と、思われたことはありませんか。下塗りをしていない目の細かい綿キャンバスの方が、細かな描写や、下絵に墨で陰影をつけてから彩色するバリ絵画の伝統的な描き方に向いているんです。

ただ、耐久性という意味ではどうしても弱い。バリ絵画は14世紀から続く長い歴史を持ちながら、古い作品があまり残っていないのは、高温多湿という絵の保存に不向きな環境に加えて、薄い綿布に描かれていたことも影響しています。バリ島・ウブドのプリ・ルキサン美術館には、何百年も前の古い絵も展示されていますが、どれもかなりボロボロの状態..。

そこで、最近では厚手のキャンバスに描く画家が増えていますが、伝統的な描き方をするときは、下塗りがされていない織りの細かなキャンバスを用います。

こんなふうに陰影をつける写真は下絵に墨で陰影をつけているところですが、影の部分に墨を塗った後、水を含ませた筆でなじませていきます。このとき、下塗りがされていると水分がはじかれてしまうというわけです。この上からアクリル絵の具で彩色するため、全体としてやや暗めの仕上がりになります。キャンバスの端までぎっしりと描き込まれた重厚な作品は、この独特な描き方から生まれてくるんですね。

「バリアートショールーム」でご紹介している画家の作品を見ると、下塗りをしていないキャンバスに伝統的な描き方をしているのは、ARIMINI, RAJIG, LABA, RAIなど。写真左の『ウィシュヌとガルーダ』(ARIMINI)は、バトゥアン・スタイルという西洋絵画の影響をほとんど受けていない伝統的な技法で描かれています。花鳥画を中心としたプンゴセカン・スタイルも多くは陰影をつけてから着色しています。

 PB003 PP011 PP001

一方、下塗りをしたキャンバスを使用する作品はモダンなものが多く、陰影をつけずに着色に進みます。先日、作品展を行ったGALUH, WIRANATAはこちらのタイプです。

Galuh 30x50 C ブログ189_ウィラナタ新作

 

日本では20号とか30号といった規格サイズがありますが、バリ絵画にはこのような規格はありません。画家は作品の構図によって縦横の比率や大きさを、自由に決めています。 注文制作が多い画家のアトリエを訪ねると、部屋の壁の端から端まで広がる横長キャンバスや、吹き抜けに飾るのかと思われる縦に長〜いキャンバスなど、色々見ることができます。

こんなふうに、好きな画家に依頼して自由な大きさや題材で注文制作できるのも、バリ絵画の魅力のひとつなんですよ。新築・リフォーム・お引っ越しなどの機会にいかがですか?

 

 

コメントをどうぞ

※は必須