バリアートショールーム オーナーブログ
2015.4.22

年に2、3度見たくなる絵

こんにちは、坂本澄子です。ようやく春らしいお天気になってきました。つい数日まで外出にコートが手放せなかったのに、もう藤やつつじが咲いているのには驚きました。自然は私たちの気づかないところで、着実に次の季節の準備をしているんですね。

最近、「絵とはこんなつきあい方もできるんだ」と思ったできごとがありました。

今年1月、ある公募団体の展示会で、一枚の絵が目にとまりました。壮年期の白人女性をモデルにしたその作品は、沈んだ色の背景に溶け込むような淋しさ、孤独、不安といったものが感じられ、新春らしい華やかな作品が多い中で、そこだけ違う空気が漂っていました。

私がその絵をじっと見ていると、会員のFさんが近づいて来られて「その絵、どう思う?」

適当な言葉が見つからず、「ええ…」と濁していると、

「側に置いておきたくなるような絵だよね」

確かにとても気になる作品ですが、リビングに飾るには…と思い、黙ってしまいました。そしてつい先日、Fさんとたまたまお会いする機会があり、またその絵の話に。

「◯◯先生の絵、覚えてる?」

すぐに何のことかわかり、「ええ」とだけ返事をすると、「あの絵をどう思う?」

また同じ質問です。

「リビングに飾るにはちょっと重い…ですよね」

「不安そうな顔だしね。でも、年に2回か3回、何かあったとき、そっと出して見たくなる絵だと思わない?」

意外でした。Fさんはかわいいお孫さんが3人もいらっしゃり、ご家族がよく見に来ておられました。写実的なとてもいい絵を描かれ、大きな賞を受賞されたばかりで、順風満帆の人生のように思えたからです。人の心の奥深くまでは窺い知ることはできませんが、もしかすると、あの女性が抱えているものに対して、身につまされるようなシンパシーを感じておられたのかも知れません。

絵はお部屋に飾れるだけでなく、心の部屋の中にも飾れるものだと感じたできごとでした。そんな絵に出会えると、またひとつ人生が豊かになりますよね。

さて、5月18日〜23日、バリ絵画の様々なスタイルから50点を厳選しご覧いただきます。これまでバリ絵画でイメージされていたものとはひと味もふた味も違う作品に出会えるかも知れませんよ。詳しくはこちらをどうぞ。

 

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