私を支えてくれたもの
こんにちは、坂本澄子です。
今日は『Moments of Flowers』を聴きながら書いています。このCDは、1989年の夏、郷里の広島に帰省した際に、あるお店でたまたま購入したものです。ドイツ人ピアニストGambheeraの奏でる繊細な音色とやさしい旋律に癒されます。
当時、私はITの会社で法人のお客様担当の営業をしていたのですが、3年目の大スランプに苦しんでいました。なにしろ、女性の営業なんてほとんどいなかった時代で、営業所の中でも紅一点。最初の年は上司や先輩がサポートしてくださり初契約、2年目もそのビジネスの継続でなんとか形になりました。しかし、3年目ともなると一人前の営業として結果を出すことが期待されていたのです。
気分を切り替えようと、休暇中はできるだけ仕事のことを考えないようにしていました。そして、手に取ったのが癒しの音楽だったというわけです。
確かに癒されました。心に沁みるような音色。情景が浮かんでくるような美しい旋律。でも、癒されることと、問題が解決されることとは別物だとわかるのに時間はかかりませんでした。仕事に戻ると、そこに現実の問題が待っていましたから。
問題の解決を助けてくれたのは、やはり人でした。私の場合は、あるお客様との出会いでした。娘のような年の私のつたない提案にも熱心に耳を傾けてくださり、その会社が抱えておられた問題を解決できないかを模索されていました。その方のお役に立ちたい一心で、会社に戻って似た事例がないか探しまわり、またお伺いするのを何度繰り返したでしょうか。そんな私を見た(見るに見かねた)先輩たちもこんな資料もあるよと持ってきてくださったり。こうして、頼りにされることが、少しずつ自信へと繋がっていったのです。
そのことは、ビジネスも結局は「人と人との繋がり」から生まれるのだと気づかせてくれました。相手を思って一生懸命したことは必ず伝わり、それが相手からプラスの波動となって戻ってくる、そしてまたそれに応えたいと思うといった相互作用です。その考えはその後も仕事をする上で大きな拠り所となりました。
絵画も音楽と同じで、問題自体の解決をしてくれるものではありません。でも、あの夏に出会った音色たちが、折に触れては頭の中に流れて私を力づけてくれたように、いい絵もよい脳内空間を作り出してくれることがあります。すると、不思議にもう少しだけ頑張ってみようという気持ちになれるのです。
そんな素敵な絵と出会うお手伝いをさせていただくこの仕事も「人と人との繋がり」以外の何物でもありません。11月29日(日) 第6回バリアートサロンでも、作品との出会い、そして、人と人としての出会いがあることを願っています。お申し込みをお待ちしています。
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