蓮の涼をお部屋に
こんにちは、坂本澄子です。
ポンビドゥーセンター傑作展の招待券をいただきました。その期限が一昨日の金曜日だったので、娘と久しぶりのデート。千代田線乃木坂駅で降りて、待ち合わせした六本木の新美術館に行くと、チケットカウンターの表示がなぜか「ルノアール展」のポスターが。あれれ??確かにルノアールもあるかも知れないけど、メインは20世紀の画家のはず。おそるおそるチケットを取り出してみると、やっぱり。会場は上野の東京都美術館でした。
やっちゃいました〜。昔からこの手の思い込みによる間違いが多く、ほんと困ったものです(汗)「ポンピドゥーセンター傑作展」の書体が、私の頭の中で新美術館のロゴと結びついてしまったようです(汗)幸い東京都美術館は金曜日は20時まで開館、「今からでも行こう」と、こんな私に慣れっこの娘が明るく言ってくれたので、もう一度千代田線へ。乗り換えて上野駅から行くよりも、一本でいける根津で降りた方が早いと判断したのですが…。
ここでも私の弱みが発揮されてしまいました。Google Mapですから目的地も自分が今いる場所もスマホの地図上に表示されているのですが、それでも迷うのが私のダメなところ。動物園の横に出る道を見逃してしまい、気がつくと不忍池。蓮がちょうど見頃を迎えており、ついつい写真なんかとったりして。あの広〜い上野公園の外周をぐるーっと回ってしまい、時計を見るともう19時近くになっているではないですか。結局絵はあきらめて(ポンピドゥセンター傑作展は9月22日まで開催)、今しか見れない蓮を楽しんで帰りました。
蓮って、ぽってりとしたピンクの花もいいですが、私は葉っぱも好きです。風にしなやかにしなる茎や連なる葉。同じように見えて、ひとつひとつ皆かたちが異なり、緑のなかに様々な色が溶け込んでいます。空の色、花の色、水の色。絵の場合は、そこに画家の心の色が溶け込んでいます。どこまでも続く蓮池の向こうにビル街、東京らしい風景です。
バリ島にも蓮の花がたくさん咲いており、睡蓮とあわせて、絵の題材としても人気のモチーフとなっています。今日はそんなバリ島から蓮、睡蓮の作品をご紹介します。画像をクリックするとサイズ、額装写真等の詳細情報をご覧いただけます。
まずはTIRTAさんの作品。蓮の花は早朝に開きます。そんな朝の清々しさを感じる、青みがかった葉とピンクの花弁が美しく響きあっています。
こちらは人気の横長サイズ。80cmx40cmの画面にどこまでも続く蓮池を表現しました。
続いて、欧米にもファンが多い花鳥画の鬼才RAJIGさんの作品。日本では睡蓮はピンクか白ですが、熱帯のバリ島には様々な色の睡蓮が咲きます。中でも青い睡蓮はとてもエキゾチック。鮮やかな色使いが、モダンなお部屋をさらに洗練させてくれますよ。
こちらもRAJIGさんの作品ですが、孤高の日本画家、田中一村の影響を受けていた頃のもの。和室にも合いそうです。
夏本番、あなたのお部屋に涼やかな蓮の花をいかがですか?
ニューヨークでアートな休日 グッゲンハイム美術館編
こんにちは、坂本澄子です。
NYのアートシーン、最終回は前衛アートを得意とするグッゲンハイム美術館です。
セントラールパークの向かい、メトロポリタン美術館から北に10分ほど歩いたところにあります。外見からしてとてもユニーク。上にいくほど広がる建築は珍しい。
展示室は真ん中の吹き抜けを取り巻くように螺旋状に設けられ、ゆるやかなスロープをのぼりながら作品を鑑賞します。高さによって視界の変化が楽しめるところも魅力。最上階(6F)の天井ぎりぎりの高さまで上ると、そこで展示は終わり。下を見下ろすとくらくらしそうな高さ、ついでにぐるぐる目も回りそうです^o^;
企画展は戦前に活躍したドイツ人作家MOHOLY-NAGY展(1895-1946)をやっていました。抽象画を中心とした当時の前衛アートで、80〜90年経った今見ても、十分新しい感じがします。
キャンバスだけでなく、金属、アクリルなど様々な素材を支持体として用い、切り抜いたり、実体と影とを交錯させたり。私が一番気に入った作品はこちらです。日常と非日常が隣り合わせに存在しているみたいな、どこか不思議な感じがしませんか?
ニューヨークでアートな休日 MET編
こんにちは、坂本澄子です。
前回のMoMA編にコメントをいただきました。展示していない作品(Not on view)も、事前に言っておけば見せてもらえることがあるそう。そういうところ、アメリカっぽいというか、素敵だなと思いました。さて、今回は所蔵点数300万点を超える世界最大級の美術館、メトロポリタン美術館です。
あまりに広く、見どころありすぎ、結局何をみたのかわからなくなってしまった前回。確か20代後半で、アートよりもショッピングに興味があった頃。ニューヨーク出張の際に同僚たちと来て、「じゃあ、◯時にここで待ち合わせ」とロビーで別れた後は、広い館内をただあてもなく歩いてました。そんな反省を踏まえ、今回は見たいコーナーを絞りじっくり鑑賞しました。
10時の開館前、正面出入り口には既に長い列。チケットを買って、展示室に入るまで30分近くかかりましたが、巨大な建物を2Fへ直行する途中、他の人たちは次々と展示室に吸い込まれ、フェルメールの展示室に着いた時には、他に人影もなく独り占め状態。世界に30数点しかないフェルメールの作品が5点も展示されており、30㎝の至近距離から、こころゆくまで鑑賞することができました。特別フェルメールのファンというわけではないですが、やっぱりすごい、鳥肌ものでした。
展示室の中にはお部屋のように内装されているところもあり、個人宅に招かれたような感覚で名画を鑑賞できました。
建物の中はところどころ吹き抜けになっています。天窓から燦々と差し込む自然光の下には彫刻作品が展示されていました。
展示室は500室以上ありますが、よく見ると、各部屋の上部には◯◯ギャラリーと表示があります。実は、膨大な所蔵作品の多くはコレクターから寄贈されたもの。アメリカでは美術品を寄贈すると税金から控除されるため、作品が集めやすいのです。中にはコレクターの蒐集意図が感じられるコレクションもありました。
例えば、印象派の画家ドガの作品はバレエの踊り子たちを描いた作品で有名です。一見、華やかな場面を描いているようで、実は、社会の底辺であえぐ人々を描いているんです。
踊り子のほとんどは恵まれない家庭環境に育ち、家族を助けるために、舞台で脚を上げ、エトワールをめざして稽古に励んでいます。エトワールになれれば給金も上がり、病気のお父さんを助けられ、苦労しずくめのお母さんを楽にしてあげられる、そんな一心。
踊り子の作品には、可憐な少女とはおよそ不釣り合いなオジサンがちょくちょく登場していますが、それは彼女たちを愛人に品定めしているパトロンというわけです。(注:上の絵のオジさんは舞台監督)
モデルを前に制作を行うドガは、そんな踊り子たちのひとり、14歳の少女に様々なポーズをとってもらいスケッチを行いました。それをもとに蝋のフィギュアを何体も作ったほど、しなやかな身体の動きを精緻に再現しようとしました。のちにブロンズに鋳造された10数㎝ほどの小さな彫刻が展示室にもずらりと並んでいました。また、半ば娼婦に身を落とし客待ちをする姿をパステルで描いた連作も多く展示されています。
伝統的な絵画技法を重んじる官展の前で印象派は異端だった時代。芸術の世界で懸命に闘っていたドガは、恵まれないながらも懸命に生きる少女の姿に、魂に共振する何かを感じたのでしょう。よく絵画は時代を映すといいますが、コレクターもそんな背景を捉え、作品を集めていったのかも知れません。
ところで、MoMAもそうでしたが、エアコン寒すぎ。これって何とかならないものでしょうかね^o^;
ニューヨークでアートな休日 MoMA編
こんにちは、坂本澄子です。
先日、4日間ほどニューヨークに行ってきました。きっかけは1枚の絵。以前このブログでもご紹介した原田マハさんの「楽園のキャンバス」に登場するアンリ・ルソーの『夢』。どうしても本物が見たくて、いてもたってもいられなくなりました。ルソーは南のジャングルをモチーフにした作品を20点以上手がけていますが、私をバリ絵画へと導いてくれたのは、これらの作品だったのです。
思い立ったが吉日でニューヨーク行きを決めたものの、なんと、MoMA(ニューヨーク近代美術館)に『夢』はなかったのです。どこかに貸し出し中だったのか、隅から隅まで見て歩きましたが、ついにご対面はならず。とても残念でしたが、MoMAには他にもすばらしい作品がたくさんあり、アドレナリン出っ放し。建物全体がアートな空間になっており、どこを切り取っても絵になるのはさすがです。
1997年以来、20年ぶりの再訪。クイーンズに一時移転しての全面建て直しを経て、前回とはまた違った顔を見せてもらいました。今度こそ『夢』を見に、また来よっとw
次回はメトロポリタン美術館から。
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家族の肖像
こんにちは、坂本澄子です。
毎日暑いですね。先日、陽炎が立ち上る猛暑の中、横浜美術館で開催中の、印象派の女流画家、メアリー・カサットの30年ぶりとなる回顧展を見に行ってきました。
今回初来日した『桟敷席にて』は、そんな凛とした画家の性格が窺える作品です。
一方、メアリーは母子像を描いた、優しい作品をたくさん残しているんです。母と子の一瞬の表情を実によく捉えており、そうそう、子供ってよくこういうことするよねと、私も昔娘にほっぺたを引っ張られたことを思い出しました。子供を抱く母の腕は、弾けるような生命力を受け止める優しさと強さに溢れていました。そんな画家を見込んで、家族の肖像画を依頼する人も多かったそう。こんなふうに描いてもらえたらステキですよね〜。
同じように温かな眼差しを母と子に向ける画家がバリ島にいます。イ・ワヤン・バワ・アンタラ、二児の父親でもある彼は、妻と子供をモデルに多くの作品を描いてきました。砂を下地に混ぜることで、光を吸収してふんわりとした立体感を出す独特の手法が生きています。
見ているだけでやさしい気持ちになれる、まさにそんな作品。お子様とのいまの思い出を絵に残し、将来独立されるときや嫁がれるときにプレゼント、なんて、絶対ステキです。スナップ写真をお送りいただければ、サイズや構図などもご相談に応じます。お問い合わせはこちらからどうぞ。
ちなみに、私も以前、自分自身のポートレートを木炭画で描いてもらったことがあるのですが、実物より若く描いてもらえて大満足でしたw
那須で緑の休日
こんにちは、坂本澄子です。
先週のブログでLABA氏の絵をご紹介したら、無性に夏の里山が見たくなり、ドライブがてら那須に行ってきました。数年前、大好きな写真家の澤野新一朗さんが月の写真展を開催された石の美術館に行って以来、那須は私のお気に入りリストにランクイン。御用邸もある関東の伝統的な避暑地、洗練された軽井沢とはまた違った魅力に溢れています。
朝家を出てから車を走らせること2時間半。
まずは、いつも立ち寄るダイニング・カフェ「ボリジ」でひとやすみ。窓際のテーブルは雑木林に面しており、溶け込んでしまいそうなほど、一面の緑に溢れています。丁寧に入れられたハーブティと自家製スイーツをいただくと、もう至福の時間。
このお店のこだわりはアンティークの家具。使いこんで飴色になった皮や木製の椅子は、テーブルごとに違うものが置かれています。異なる個性を組み合わせて統一感を生み出すセンスはさすが。異国で集めたオブジェとも美しく響きあっていました。
休日を楽しむ心の準備ができたら、次は昭和天皇もよく訪れられたという沼ツ原湿原へ。湿原までの山道を含めて、往復一時間の遊歩道がちょうどいいお散歩コース。ニッコウキスゲや湿原ならではの珍しい季節の花を楽しみながら、たっぷり自然と対話できます。
遊歩道の中程を過ぎると、戦後の木材不足を補うために植樹されたカラマツ林に。雰囲気の違う2つの風景が楽しめるので、何だか得した気分です。私が行ったときには、湿地帯を覆うように靄がかかっており、ご覧の通り、ちょっぴり幻想的な雰囲気を醸していました。
林の中には独特の緑の薫りが漂っています。これはフィトンチットと言って、有害な微生物を寄せ付けないために木々が分泌している化学物質。健康促進やストレス解消にも効果があるそうですよ。
湿原を出たところで、かわいい赤ちゃんを連れた野生のサルに出会いました。クマも出るそうなので、そちらは要注意^o^;
こうして那須で自然を満喫した後、悩ましいのが帰りの高速渋滞。回避しようとあるとき下道に降りたら、偶然、日帰り温泉を見つけました。杉戸温泉・雅楽の湯(うたのゆ)です。
コンコンと湧き出る46℃のお湯をそのまま使った正真正銘の源泉掛け流し。内湯から出ると広いお庭。そこに、2つの岩風呂、ひとりでゆっくり寛げるつぼ湯、木々がそよぐ空を見上げる寝湯、そして、汗がじわ〜っと出てデトックス効果の炭酸風呂が配置されています。岩盤浴も温度の異なる3つのスペースがあり、女性専用コーナーもあるのでひとりで行っても大丈夫。
さらに嬉しいのは、地元のお野菜をたっぷりいただけるビュッフェ。フリードリンクも充実しており、今回のお気に入りはきゅうりとマンゴのスムージー。宮崎の郷土料理「ひや汁」もあり、汗をかいたあとの水分補給もバッチリ。
これから本格的な暑さを迎え、最近ちょっと夏バテぎみ…と思ったら、こんな休日の過ごし方はいかがですか?
夏の風物詩
こんにちは、坂本澄子です。
雨も上がり、おひさまが顔を見せてくれました。梅雨明けもそろそろでしょうか。昼間は蒸しましたが、夕方からいい風が吹いてきたので、ケンを連れてお散歩に行ってきました。
うちの近所はオリンピック施設の建設予定地で空き地になっているところが多く、草刈りをしても追いつかないほど、たくましい夏の雑草たちにしっかりと覆われています。そこは虫たちの住処。夜になると、澄んだ鳴き声がサラウンドで聴こえてきます。
先日、ラジオを聴いていたら、井上陽水さんの『少年時代』が流れて、今年も夏が来たんだなと感じました。遠い夏の日を懐かしんで綴られた言葉の数々。美しいメロディとともに染み渡っていきました。
日本の夏の風物詩と言えば、
簾の向こうの朝顔
蝉の鳴く声と麦わら帽子
おひさまと向日葵
稲の青い匂いと温んだ水の音
スイカと蚊取り線香 …
言葉が共鳴し合って、情景が次々と呼び起こされていきます。
LABA氏の『少年たちの情景』を見たときにも、同じような懐かしい風が心の中を吹いていきました。遠く離れた島どうしなのに、根っこの部分ではどこか共通することが多いと感じるバリ島です。
今年も夏がきた。そんなちょっぴりワクワクした気持ちを、この絵とともに感じてみませんか?ご注文後、3日でお届けします。作品詳細はこちらをどうぞ。