挑戦し続ける画家 アンタラ
こんにちは、坂本澄子です。
画家には2つのタイプがあるのではないかと思います。
ひとつは作風が確立されており、得意とするモチーフで、安定した制作を行うタイプ。
もうひとつは、新しいものを取り込み、作風がどんどん変化(進化)するタイプです。
後者と言えば…真っ先に思い浮かぶのは、ピカソでしょうか。。
スペインからパリに出て、社会の底辺で生きる人々を悲哀を込めた色調で描いた「青の時代」、恋人を得て幸せな気持ちが作品にも表れた「ばら色の時代」。そしてその2年後には、ピカソは狂ったかとまで言われるほどに、一大センセーションを巻き起こした『アヴィニョンの娘たち』に始まり『ゲルニカ』で大成された、あの形を大きく崩した生き物たち。
生涯にわたってその作品は変わり続けました。
この2つ画家のタイプは、バリ島の画家さんにも当てはまりそうです。
注文する側からすると、前者の画家さんはある意味とてもラクです。
予想した通りの完成品を届けてくれます。
同じ題材が続くと、別ものも描いてみませんかと、お願いしたくなることも ありますけどね。
後者のタイプは、どんな作品になるか、期待半分、ハラハラドキドキ。
ただ、バリの画家さんたちはさすがプロ。ちゃんと注文主の期待値を汲み取って描いてくれますので、「ヒョエ〜!」なんてことは、今の所ありません。
そんな中にあっても、画家として常に新しい表現への挑戦を恐れない姿勢を垣間見るとき、熱いものが迫ってくるように感じることがあります。
そんな画家のひとり、アンタラさんのアトリエに久しぶりに伺いました。
9月に首都ジャカルタで行われる、ダンスをテーマにした企画展に向け、制作の真っ最中でした。
広いアトリエには、完成した作品、制作途中の作品がところ狭しと。
得意の人物を中心にすえた作風は同じですが、色使いにある変化がありました。
ビビッドな色。
それは、人物の動きのダイナミズムに呼応し、内面の明るさ強さを表現しているように感じました。
一方、そこには「アンタラさんの絵」という懐かしさも。
バリの伝統的な生活、文化を何よりも愛し、人を愛し、バリ島に暮らす自身を誇りに思う、
画家の思いが変わらずそこにあったからです。
イーゼルにかかった絵には、今まさにカーテンを開き、姿を現した女性が描かれていました。
まだ描き始めて間もないのに、ひょっこりとキャンバスから出てきそうなほどの存在感。
そして、カーテンの向こうの空間には何があるのだろう…と
想いを馳せて、しばし、見つめました。
今回ご紹介した作品に関する詳細は、お問い合わせからどうぞ。
5周年記念セールにもアンタラさんの作品がありますので、ぜひご覧ください。
今なら、額縁が2種類から選べます!