バリアートのある暮し⑩ バリ舞踊を通じて繋がった縁
こんにちは、坂本澄子です。
3月の1周年記念展示会、大雨の中来てくださったNさんから写真が届きました。
東京郊外にご主人とお住まいのNさんはバリ舞踊を始めて10年。現地の先生から直接指導を受けるために毎年バリに渡っては、技術や表現力を磨いておられます。最近は舞台に立つことも多く、私がNさんに初めてお会いしたのも、渋谷のバリカフェ「モンキーフォレスト」でのライブ講演でした。
ブラウンを基調にシックにまとめられたリビングからも、バリに特別な思いを寄せておられることが伝わってきます。バティックがタペストリー風に飾られた壁面にANTARAさんの木炭デッサン画がしっくりと馴染んでいますね。
最初は花鳥画にも惹かれておられましたが、画家のANTARAさんがバリ舞踊を題材に子供たちを描いているのを見て、ご自身のバリに対する思いに繋がる何かを感じられたようです。
そこでバリ舞踊について色々と教えていただきました^_^
「バリ舞踊は毎日どこかしらの寺院で行われているオダランに神様をお招きして喜ばせるものなんですよ」とNさん。
オダランというのは各家にあるファミリーテンプルもあわせるとバリ島の人口に匹敵すると言われるほどの数にのぼるお寺の創立記念祭、バリ暦にそって210日に一度行われています。奉納舞踊は観光客向けのプログラムとは異なり、お寺の境内で舞う神聖なもの。
「今でこそ誰でも踊れるようになりましたが、昔は選ばれた人しか踊れないものでした。たくさんの子どもが集められ、そのなかから選ばれた子どもが寺院に預けられて踊りを習ったという、いわば巫女的なものだったそうなんです」
ー なるほど、それでNさんはANTARAさんの作品集をあんなに熱心に見ておられたのですね。
「舞踏用の衣装はほとんどが寺院やサンガル(踊りや楽器のグループ)やバンジャール(村組織)の所有物です。 有名な踊り手さんの場合は自分の衣装を持っていたりしますけど。 なかでもグルンガン(冠)には神様が宿ると言われ、寺院に保管されて門外不出のものごあったり、使う前にお坊さんにきちんとスンバヤン(ご祈祷)してもらったり、絶対に腰よりも低いところに置かないなど大切に取り扱われているんですよ」
ー バリの人々にとって舞踊は特別なものなんですね。
「本当に奥が深くて、やればやるほど自分がまだほんの入口にしか立っていないと痛感します」
ー なんだか、またバリに行きたくなりました。日本でバリ舞踊が見れる機会ってあるんでしょうか。
「8/2(土),3(日)に東京・阿佐ヶ谷の神明宮という神社で、阿佐ヶ谷バリ舞踊祭という大きなイベントがあります。 関東のバリ舞踊家が100名くらい出演する大きなイベントで、ガムランの生演奏もすごい迫力です!」
舞踊だけでなく、絵画、音楽、彫刻、織物、金銀細工など、バリの芸能・芸術は降臨された神様をもてなすことから始まりました。バリ絵画に向き合うとき、愛や平安な心、厳かな静けさといったものを感じるのは今でもその源流が受け継がれているからかも知れませんね。
<関連サイト>
ANTARA作品ページ ページの下の過去作品のコーナーにかわいらしい子供たちがいますよ
阿佐ヶ谷バリ舞踊際 昨年の写真がたくさん掲載されています