バリアートショールーム オーナーブログ
2015.4.29

伝統絵画 vs モダンアート

こんにちは、坂本澄子です。

ゴールデンウィーク突入ですね。このところ暖かい晴天が続いており、どこかへ出かけたり、まとまった時間をとって何かやってみたくなるような気分です。みなさまはいかがお過ごしですか。

さて最近、抽象画に関する話から、伝統絵画 vs モダンアートについて考えさせられることがありました。今日はそのお話を。

その人のお名前はKさんとしておきましょう。小柄でかわいらしい感じの姿からは想像できないような、エネルギッシュな抽象画を描く作家さんです。昨年はビビッドな赤を基調にした200号の大作で、東京都知事賞を受賞されました。個展に伺うと、大きな作品がずらりと並び、気持ちが高揚してくるほど。

そんな憧れの女性でもあるKさんとお話をする機会があり、以前から抱いていた抽象画についての疑問を投げかけてみました。実は、抽象画の真似事をしてみたことはあるものの、描いている本人もいまひとつ手応えがなかったのです。

「いつもどうやって作品の構想を練っておられるんですか?」

Kさんの場合、いつも母と子を最初に描くのだと話してくださいました。

「今回は子供は4人にしよう。お兄ちゃんと弟がちょっとケンカしてて、お兄ちゃんが手を出して、お母さんはたしなめるように二人を見てる。そこで、一番上のお姉ちゃんが…」

なんて、ストーリーをふくらませて色と形で描いていく。そのうちに、そこからどんどん絵が進化していくのだそう。最終的には、最初に描いた母と子は、上から塗り重ねた絵の具で見えなくなってしまうのだそうですが、原点としての作家の思いは、作品全体を貫くテーマになっているというわけです。

「絵が自ら動いていく感じで、楽しいでしょうね」

そう思うようなワクワク感がKさんの絵にはあります。

 

バリ島でも、抽象画やモダンアートを描く若いアーティストが増えてきました。そんな作品を見ていると、ニューヨークのギャラリーで見るものと、表現上それほど大きな違いはありません。土地柄というよりも、作家個人のメッセージや個性が前面に出ているからでしょう。冒頭にご紹介したKさんのように、画家それぞれに工夫された制作スタイルがあり、そこから生み出される作品の魅力があります。

 しかし、「バリアートショールーム」で扱っている作品は、それとはある意味対極にあります。作家自身の個性というよりも、伝統的に培ってきたテーマや技法、その背景にある世界観・思想など、集団としての文化が表現されているからです。そこには、私たちが忘れかけている大切な何かがあると思い、この「バリアートショールーム」を立ち上げました。(このあたりの経緯はプロフィールでもご紹介しています)

モダンアートは扱わないの? 日本人作家の作品は?と訊かれることもありますが、まだしばらくこのテーマにこだわってみたいと思います。

というわけで、バリ絵画の代表的なスタイル50点を一堂に展示する「春のバリ絵画展」、5月18日(月)から23日(土)まで、東京・京橋のK392ギャラリーで行います。今日ご紹介したような私の思いを感じていただければ幸いです。

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「春のバリ絵画展」開催のご案内

 

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