この8ヶ月を振り返って
こんにちは、坂本澄子です。今年もいよいよ押し詰まってきましたね。週2回(水、土)お届けしているこのブログ、今回が今年最後になります。この1年間応援して下さった皆様のご厚情に心から感謝します!今日はこの一年を振り返りつつ、この「バリアートショールーム」がめざしていることを改めてお伝えしたいと思います。
3月にブログを先行スタートし、4月の第1回以来、3ヶ月に一回、毎回違ったテーマで展示会を開催し、”ほんもの”のバリ絵画をご紹介してきました。
第1回絵画展のテーマは、『青い海を描かない作家たち』でした。わずか数日の非日常を愉しむ”海辺のリゾート”としてのバリではなく、いつまでも心に何かを訴えかけてくるようなウブドを伝えたくて、このネーミングを使用しました。「バリの向こう側」と併せて、マーケティングに関する著書を何冊もお書きになっている中山マコトさんに命名いただいたものです。
ここに込めた想いは、最近色んな人がメッセージしていると感じています。例えば、12月18日のブログでご紹介した高畑勲監督の最新作『かぐや姫の物語』(スタジオジブリ)もそうですし、来年の公開予定のバリを舞台にした映画『神様はバリにいる』(堤真一さん主演)もそう。日本人が失いつつある大切なことを「忘れないでね」と語りかけているように思うのです。
私が出会ったバリ(ウブド)には、「大自然に繋がり、恵みを与えてくれる神様に感謝し、自分と関わる人たちを大切にして生きる」素朴な生き方が残っています。まわりを見渡せば、子供の頃におばあちゃんちの田舎で見たような懐かしい田んぼの風景が広がっています。それが第2回『緑に抱(いだ)かれる午後』でウブドの風景写真と共にご紹介した作品でした。
私もほんの1年前までそうだったのですが、現代社会で生活している限り、日々の慌ただしさに追われ、時に気持ちがささくれ立ってしまったり、人とのつながりがギスギスしてしまったりと、色々ありますよね。じゃあ、皆でバリに引っ越そうという訳にも行きません。そんなとき、自分を取り戻せる時間が一日の中にほんも少しでもあれば、今日はどんなに疲れていても、また、明日から頑張ろうと思えてくると思うのです。
そこで、自分自身に向き合うための時間を持ちませんかと発信したのが、第3回『秋の夜長に〜すてきなひとりぼっち』です。日本から4000km離れたバリ島ですが、その文化風習には同じ島国・農耕民族ゆえに共通するものがいくつもあります。それらをご紹介することで、日本人のある意味、心の原点に触れてみました。
美術館に行かれる方は多いですが、ご自宅に”ほんもの”の絵のある生活を送っておられる方は少ないと思います。あっても、リトグラフなどの版画(作品の右下に15/80といった番号がふられていますが、これは80点の版画を作ったうちの15点目という意味です)で、世界にたったひとつのオリジナルの作品をもつ人は非常に限られます。
理由は色々あると思いますが、一番大きな理由は絵が高価だからです。一流と言われる作家の肉筆には力があります。単に絵を描く技術だけでなく、想いがありそれが見る人の心を揺さぶります。でも、地元の美術館で作品が展示されているような作家の原画は少なくとも数百万円はします。ところが、インドネシアの物価はまだ日本の5分の1以下なので、最低価格が安定し、オークションなどの二次流通でも実積を持ったクラスの画家の作品が数十万円の金額で購入できるのです。「バリアートショールーム」でご紹介しているガルーさん、ウィラナタさん、ソキさん、アリミニさん、アンタラさん…、いずれもそうです。
ぜひ最もくつろげる場所に「世界で一枚のあなただけの絵」を持つ生活をして下さい。同じ持つなら一流作家の作品を。そして、そこに描かれた「バリの向こう側」を大切なものを思い出すきっかけとしていただければと思います。そのために、「バリアートショールーム」は来年もいい作品をお届けしてまいります。そんな想いに共感いただける方は是非来年もこのブログを読んでいただければ幸いです。次のテーマは『心の中の神様』です。画家さんたちにこのテーマで制作をお願いしました。その第一弾、新春1月にガルー作品展を日本橋Gallery KAIで開催します。詳細は来年1月10日にこのサイトを見て下さいね。
それではどうかよいお年を!