2015.1.17
ウィラナタ新作『満月の下で』を入荷
こんにちは、坂本澄子。
ウィラナタの新作が届きました。写真で見ていた何倍も素晴らしい作品です。
真っ先に目に飛び込んでくるのは山の向こうに昇った満月。その蒼白い光と水に映るもうひとつの月。幻想的なその光景は見る人を厳かな気持ちにします。
これは1960年代、村にまだ電気が届いていないころの情景で、石油ランプを使って灯りをともしています。とても重いので、これは頑健な成人男性の仕事だったそうです。人物の上半身が裸なのは、その頃のバリ島の風俗がそのまま表現されているため。
篝火を持って水面を照らしている少年は、田うなぎや水中の昆虫を探しています。画家が自身の少年時代を思い出しながら描いた、最も思い入れの深い部分。
これらの暖かみのある光にほっとするような気分を味わい、その光が照らすところに視線を移すと、丁寧な描き込みによって、素足に触れる草の感触までが、伝わってきます。耳を澄ますと、上の田圃から流れ落ちる水の音、虫の鳴く声などが聴こえてきそうです。
画家のつけたタイトルは”Fullmoon Galungan”。ガルンガンと言えば、バリで最も盛大なお祭りですが、ここでは家族でしめやかに祝う祭礼としての一面が描かれています。日本語タイトルは『満月の夜に』とさせていただきました。
実物でしか伝わらないこの繊細さをぜひご覧になってください。1月23(金)・24日(土)の2日間、「幻想心象風景画 作品展」でどうぞ。
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幻想心象風景画 作品展・・・有楽町線「銀座一丁目」駅から徒歩1分