瀬戸内海の小島でアート三昧の旅①
こんにちは、坂本澄子です。
前回のブログの予告編の通り、私はいま瀬戸内海のアートの島「直島」を巡る旅の真っ最中。「アート」×「建築空間」×「自然」、3つの要素のコラボレーションによって表現されたものを全身で受けとめています。
岡山県の宇野港を出発したフェリーで瀬戸内海の小島を縫うように進むこと20分。到着した直島はあいにくの小雨模様でしたが、緑滴る景色はしっとりとした空気に包まれ、時折聴こえる波の音。旅心にひたっていたら、驚いたことに、こんなのどかな島に実に多くの外国人。アートの島の名は国内だけでなく海外にも轟いていたのでした。考えてみたら、そうですよね。小さな島に安藤忠雄さんの建築物がゴロゴロ建っているんですもの。
今日はそんな安藤建築のひとつ「地中美術館」をご紹介します。
ここは建物のほとんどが地中にあるというとても珍しい美術館。3人の作家による9作品だけを展示している、とても贅沢な空間です。丘陵地を彫り込むように作られた建物は、シャープな直線、コンクリート、鉄、ガラスといった素材を用いた極めて人工的な作り。唯一、自然のものと言えば、各展示室の天井にもうけられた明かり取りの開口部から取り込まれた自然光くらいのものでしょうか。(時間の経過と共に表情を変え、これがまた素敵)
そんな安藤建築によるアプローチ部分を抜けて、最初に迎えてくれるのがモネの展示室です。ここは、白い小さなタイルが床一面に敷き詰められた白い空間。正面には幅6mの睡蓮の大作。そしてその脇を固めるように4点の連作が展示されています。
天井からの間接光と床面からの白い反射光がちょうど絵の真ん中あたりで交わるのですが、そのせいか、見る位置を変えるたびに睡蓮が青、緑、赤と色を変えるように見えるのでした。
そんな光による錯覚をさらに感じたのが、次の展示室のジェームス・タレルの作品(写真)です。黒い階段の上に青く光るスクリーンがあるように見えますが、中に手を差し込んでみると、この後ろに別の空間があり、中へ入れるんです。さらに、5mほど先の突き当たりが壁のように見えますが、実はこれも同じトリック。
「あ、危ないですからそれ以上前に進まないでください」
はい、確かにもうひとつ空間があるそうですが、そこには奈落のようにぱっくりと口を開いた段差が。あ〜、危ない危ない^o^;
最後は、地下3階にあるウォルター・デ・マリアによる巨大階段空間。ほぼ中央に直径2.2mの御影石の球体が設置され、磨き上げられた球面には階段やら壁やらが映り込み、昔懐かしいスマイル・ピースのように見えるんです。目を凝らすと豆粒大の自分の姿がちょうど鼻のあたりに。
もうひとつ面白いのが、前後左右の壁面に取り付けられた木の彫刻。金箔でコーティングされた棒状のもので、よく見ると、三角柱、四角柱、五角柱の3本からなっています。それぞれの置かれた場所(右、真ん中、左)によって27通りの組合せができますが、それが一定の規則に基づいて配置されており、まるで幾何学空間です。
一息入れたくなったところに、ちょうどカフェが。一歩足を踏み入れて驚きました。地下3階だと思っていたところに、瀬戸内海を一望する景色が広がっていたのですから。それまでの人工的な空間から一変して自然の風景。この突然の切り替わりは新鮮でした。「ああ、これがこの地中美術館の意図したものだったのかなあ」と。
美術館を出ると雨はやんでいました。行きは足早に通り過ぎた場所に睡蓮の咲く池がありました。池のほとりには柳の木。先程見たモネの睡蓮と同じじゃないですか。実際の景色と絵に描かれた風景。人工物と自然。人は対比によってものごとをより強く感じることができるのですね。アートという媒体によって、自然と自分自身の関わりを感じて、考えた一日でした。
写真出典:「ベネッセアートサイト」http://www.benesse-artsite.jp/chichu/
<お知らせ>
第2回「バリアートサロン」7月18日(土) 11:00-12:00
光の戯れを幻想的なタッチで描くガルー&ウィラナタの作品とその作風に大きな影響を与えたドイツ人画家シュピースの功績をご紹介します。
瀬戸内海の小島でアート三昧の旅①への2件のコメント
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直島行かれたのですね。いいな\(^o^)/
私も数年前から行きたいと思っている島です。
アートと自然、瀬戸内の景色、ついでに美味しい瀬戸内海の産物堪能してきてください。
18日のお声かけ、ありがとうございます。
残念ですが、3連休は名古屋と伊勢に行ってきます。またの機会にヽo(^▽^)o
「若い豹」は昨年購入した「リスと椰子の実?」と並べて、リビングのTVの上の方の壁に飾る予定なのですが、色々とどかさなくてはならず。何分無精な性格で・・・ 箱に入ったままの絵が4点になってしまいました。夏休みの課題(楽しみ)です!
HAVE A GOOD TIME!!!
コメントありがとうございます!直島の自然と建築物、そしてアートが美しく調和し、とても上質な時間を過ごしています。絵は掛け軸のように掛け替えるという手もありますね。動物シリーズで並べるもよし、掛け替えるもよし、夏休みに楽しみながらやってみてくださいませ。